購入価格: CBNのモニター企画による提供
標準価格: ¥29,400 (税込)
『デザインも魅力的で、服装や小物に合わせやすい高級感のあるヘルメット』
■はじめに
前回の投稿から気温は更に高くなり猛暑日が続いたけど、Vertigoの涼しさや快適さのおかげでサイクリングを積極的に楽しむことができた。前回から3週間以上使ってみて、夏の使用感は前回の投稿の通りいい意味でほとんど変わりはない。
だから、ちょっと早いけど2回目のレビューを投稿することにした。前回の予告通り、主に使い勝手以外の部分、具体的にはデザイン、服装や小物との相性、安全性、価格に関するレビューをお届けする。
■洗練されたイタリアンデザインが魅力
VertigoはUrban Vintageと同様、イタリアメーカーらしいオシャレなデザインが魅力的だ。私はロード用ヘルメットのデザインが苦手だったが、これはとても気に入っている。最上級モデルらしいラグジュアリー感がライド中の気分を高めてくれる。デザインはベンチレーションとエアロ形状をスッキリとまとめあげた機能美という感じだ。
前後左右への張り出しが少なく頭部に沿った自然な丸みをしているので、キノコ頭になりにくく頭が小さく見える。”キノコる”ことのない形状はどのライダーにも嬉しい点だ。これは前回投稿した通り。
また、ロード用のヘルメットにありがちな大きな模様や複数の原色の組み合わせがないのが良い。ホワイトやブラックをベースカラーにし、ベンチレーションのつなぎ目やヘルメット後部に差し色をしてシンプルに仕上げている。カラーバリエーションも多いので、服装や自転車にも合わせやすいのではないだろうか。シンプルな外観はゴテゴテした模様や色使いが苦手な人にも受け入れられやすいと思う。
私がモニターするホワイトはちょっとグレーがかって品がある。各パーツに光沢感、素材感、濃淡の異なるホワイトを使うことで、単調になりがちなホワイトに変化をつけている。ホワイトだけはEPSフォーム(発泡スチロール)がグレーなのもデザイン上のこだわりを感じる。

アウターシェル、STRENGTHENING FRAME、EPSフォームで異なったホワイト

樹脂と革の素材感と光沢感の異なるホワイト
ロゴのデザインはブランドのイメージを大きく左右する大事なものだ。KASKはロゴはシンプルでかっこよく、Vertigoの見た目を引き立てていると思う。欲を言えば、MojitoのようにUP'NDOWN TECHNOLOGYのダイヤルに、イタリアの国旗かKASKのロゴの立体的なシールを貼ってほしかったかな。

KASKのデザインと色使いは基本的にシンプル
■サングラスとの相性はVertigoの試着時にチェック
①Vertigoとサングラスの見た目の相性
Vertigoは正面から見て先端が下に少し伸びている。被り心地の深さと相まって額の露出が小さい。だから、サングラスをかけるとヘルメット下部との隙間が小さくなり、ヘルメットとサングラスの一体感が出てかっこいい。スポーツサングラスの方が相性がいいが、カジュアルサングラスでも悪くないと思う。

上からOAKLEY RACING JACKET、OAKLEY JULIET、ノーブランドのサングラス
②UP'NDOWN TECHNOLOGYとテンプルの干渉
OAKLEYのようなテンプルが真っすぐのスポーツタイプのサングラスをかけると、UP'NDOWN TECHNOLOGYとテンプルが干渉してしまう。だが、テンプルがUP'NDOWN TECHNOLOGYの上に被さるように装着しても最適なフィット感を得ることはできた。ただし、ノーズパッドの低いサングラス等は横にズレたり顔から浮いたりするかもしれない。

RACING JACKETならUP'NDOWN TECHNOLOGYの上からでも抜群のフィット感
耳にかけるタイプのサングラスやメガネの場合、UP'NDOWN TECHNOLOGYの上からかけると若干ノーズパッドが浮いて左右にズレることがあった。この場合にはテンプルの先端を下に通せばフィットさせることができる。
尚、スポーツタイプのサングラスでもUP'NDOWN TECHNOLOGYの下にテンプルを通してフィットさせることは可能だった。UP'NDOWN TECHNOLOGYの上からサングラスがフィットしない場合はこの方法を試すのが良いと思う。この状態でもVertigoの被り心地は特に変わりはない。
②Vertigoのこめかみ付近とテンプルの干渉
Vertigoはこめかみ付近が出っ張っている。テンプルの前方が太いRACING JACKETでは、こめかみの部分とのクリアランスが5~6mmと小さいが干渉するほどではなかった。RACING JACKETのテンプルの一番太い部分が約14mmなので、よっぽど太いテンプルでない限り他のサングラスでも問題ないと思う。外国人女性のように頭が小さく深く被れる人の場合は、ヘルメットがテンプルに対して下がって干渉するかもしれないけど。

Vertigoはホールド性が高く走行中でもぶれないので、テンプルがこの部分に当たることはない
③Vertigoの後頭部付近とテンプルの干渉
Vertigoは後頭部付近が少し垂れ下がるような形状をしている。テンプルが長いと後頭部付近と干渉してサングラスがズレてしまうかもしれない。これは②同様、深く被れる人ほど問題になると思う。
RACING JACKETはテンプルが短いので干渉しなかった。JULIETはギリギリ干渉しなかったが、もう少しテンプルの先端が太かったら危なかったかも。テンプルの先端が内側に曲がっているものや曲げられるものならば、UP'NDOWN TECHNOLOGYやヘルメットの内側にテンプルの先端をしまいこめば干渉を回避できると思う。

RACING JACKET

JULIETはテンプルが長いので干渉ギリギリ

テンプルが曲げられるものは、ヘルメットの内側に先端を入れられる。
④サングラスの保持
サングラスを使わない時に、テンプルをベンチレーションに刺してしまえるかどうかは気になるところだ。RACING JACKETはテンプルをベンチレーションに刺して保持することができた。テンプルの先端が頭部に干渉して若干突っ張るけど、この状態で保持して走行することはできた。保持力も強いので落下の心配はなさそう。テンプルの短いサングラスなら、大きなKASKのロゴの下のベンチレーションに刺せる可能性がありそうだ。

テンプルの短いサングラスなら、使わない時にこのようにしまっておくことができる
ノーブランドのカジュアルサングラスも保持できた

フレーム前面からテンプル先端まで16cmくらいのものなら対応できそうだ。
RACING JACKETのテンプルのみの長さは約12.5cm
だが、テンプルの長いスポーツサングラスは、ベンチレーションに刺して保持するのが難しいと思う。というのは、ベンチレーションは奥に行くほど狭くなっていて、テンプルが奥まで刺さらないからだ。
ベンチレーションを大きく開口すれば、テンプルの長いサングラスでも刺せそうなのに、KASKがそれをしないのはは何らかの理由がありそうだ。 空気の流れを最適化するためなのか、強度が低下しないようにするためなのか、何かKASKのこだわりがあるのだろう。

テンプルが長いと奥まで刺さらない。休憩の時は大丈夫そうだが、走行中に保持するには不安定
テンプルが長いサングラスは前後逆にして耳にかけて保持するのが良いと思う。この方法で何度か走行したが、意外に安定していて落ちたりズレたりすることはなかった。私の使い方ではレースのように脚を止めたくないというわけではないので、停車してバッグの中にあるサングラスケースにしまうことも多い。

サングラスを使わない時にはこのように保持した
⑤試着はサングラスと一緒に
私の場合はサングラスとの相性に特に問題はなかったが、サングラスの種類によっては相性が良くない場合もあるかもしれない。人によって被る深さも違うので、ヘルメットの縁に干渉するかもしれない。Vertigoを試着する際は、念のため愛用のサングラスを持っていって相性をチェックした方がいいと思う。

RACING JACKETはフィット感が良く、ベンチレーションでの保持が可能
OAKLEYのサイトやカタログには『ヘルメットとも相性の良いフレームシェイプ』とある
■キャップとの相性は良い
私はサングラスをかければキャップを被らなくてもあまり眩しさを感じないが、夕方に太陽が沈む方に向かって走行する時に眩しさを感じることがあるので、その時はキャップをカバンから取り出して被る。
下にキャップを被るとUP'NDOWN TECHNOLOGYのダイヤルを3~4クリック分くらい緩めてちょうど良かった。頭囲で言えば約1cmちょっと大きくなった感じだろうかだろうか。私の頭囲は55.5~56cmくらいなので、キャップを被ってもMサイズで問題はなかった。

上: キャップを被らない状態 下: キャップを被った状態
Vertigoの被り心地の良さは下にキャップを被っていても感じられる。頭のどこにも圧迫感がなく窮屈さを感じない。インナーシェルの横幅が狭いヘルメットの場合、キャップを被ると側頭部が圧迫されて不快かもしれない。頭囲にもよると思うが、Vertigoの場合は横幅が広いのでそのようなことは起こりにくいのではないだろうか。
また、通気性がとても良いのでキャップを被っても思ったよりも蒸れなかった。キャップありでも走行中の風を感じることができる。真夏でも比較的涼しい夕方なら不快感は少ない。さすがに昼間は蒸れを感じるし、キャップの額と側頭部のが濡れてしまう。Vertigoは通気性とパッドの機能が高いので、炎天下で競技のような激しい動きを続けるということでなければ、汗止めのためにキャップやバンダナを着用する必要はほとんどないと思った。
キャップをファッションアイテムとして考えた場合、Vertigoとの相性はとても良いと感じた。すっきりした外観はキャップを被っても損なわれず、Vertigoの違ったスタイルを作ることができる。真夏には夕方以外に使わないが、寒くなったら防風と保温のために積極的に使うことになりそうだ。

左: Rapha Cap 右: GIANT CAP
キャップを被ったシルエットも良い。同系色のキャップも他の色のキャップも似合っていると思う

Vertigoに色を合わせたRaphaのキャップ
■私服との相性も良い
自転車に乗る時の服装を大きく分けると以下のようになる。※コスプレは除く
・サイクルジャージ(競技用、街乗り用)
・自転車用のカジュアルウェア(rin project、narifuri等)
・自転車用ではないカジュアルウェア(私服や普段着)
私服にヘルメットやグローブ、メッセンジャーバッグやサコッシュ等と合わせれば、誰が見ても自転車に乗る時のファッションになるというのが私の考えだ。私は安全のために必ずヘルメットを被る。ヘルメットは全体で特に目立つ部分なので、何を被るのかが重要になる。今回、ロード用のVertigoと私服との相性をチェックしてみた。
○夏の服装 (真夏)

トップス : ATELIER SAB MEN
ボトムス : ZARA バミューダ
ヘルメット: KASK Vertigo
サングラス: OAKLEY RACING JACKET
グローブ : Bicycle Line Gloves ITALIA
シューズ : SHIMANO SH-SD66L
インナー : Wizard メッシュインナーパンツ
バッグ : KNOG MUSETTES サコッシュ
その他 : KRYPTONITE Evolution Mini 5
○冬の服装 (12月上旬くらい?)

アウター: ZARAのブルゾン
トップス: ロングスリーブのTシャツ
ボトムス: EDWIN 503 ブルートリップ WILD FIRE
ヘルメット: KASK Vertigo
キャップ: Rapha Cap
サングラス: OAKLEY RACING JACKET
グローブ: GIANT CHILL
シューズ: DGR blue lug black
インナー: Wizard メッシュインナーパンツ ※
バッグ: Rapha Musette
その他: KRYPTONITE Evolution Mini 5、GIANT LEG BAND
※もっと寒い日はアームウォーマー、レッグウォーマー、シューズカバー、フェイスマスク等で対応
夏服にはかなり合っていると思う。Vertigoが見た目にも涼しげで、スポーティーでアクティブな感じを強調している。冬服との相性も思った以上。ブルゾンとデニムの暗めの色でも、グレーっぽいホワイトのおかげで違和感なく溶け込んでくれた。他のカラーでもホワイトかブラックを基調にしているため、自転車や服装と合わせやすいと思う。
最近は私服との相性を考えて街乗り用のヘルメットを使っていた。ロード用のヘルメットは私服に合わないと思っていたが、Vertigoと私服との組み合わせは私の視野を広げてくれた。見た目でも季節を問わずに積極的に使えると感じた。
■付属品はヘルメットバッグのみ
Vertigoにはヘルメットバッグが付属し、持ち運びや保管時にヘルメットが傷つくのを守る。Urban Vintageには付属していなかったのでちょっと嬉しい。通気性の良い布を使っているので、ある程度湿気がある状態で入れても大丈夫そうだ。肩に担ぐにはストラップが短い上に不安定なので、脱いだヘルメットを持ち歩くならサコッシュの方が良いと思う。

KASKのロゴが所有欲を満たす。日本の代理店もオプションでこれを用意してほしい

中が透けて見える通気性の良い素材。※分かりやすくフラッシュを焚いて撮影
■安全性を高める技術
Vertigoは他のメーカーの上位モデルと比べても軽いというわけではない。むやみに軽量化すると強度が低下するし、安全のための技術を投入すると重量増を招く。Vertigoは安全性にも配慮した結果、この重量になったようだ。
Vertigoは転倒時に破断しないように工夫されている。ヘルメットの内側と後部もポリカーボネートで覆い、EPSフォーム内にはケージを内蔵して安全性を高めている。また、ショップで見た限りでは、Vertigoは他社の軽量ヘルメットよりもEPSフォームが多めで厚みがあると感じた。ヘルメットを両手で持ってひねりを加えてもVertigoには全然たわみが生じない。
KASKのfacebookには転倒後のヘルメットの画像が出ていた。確かに粉々になっておらず、万が一の時には安心だ。かっこいいヘルメットだから絶対に転びたくないけど。Vertigoを大切にするためにも注意して乗ろうと思う。

ヘルメットの内側と後部にもポリカーボネートを配置(MULTI IN-MOULDING TECHNOLOGY)
エントリーモデルのGIANT ORIONは内側と後部が剥き出しで傷つきやすかった

EPSフォームに内蔵されるケージ(STRENGTHENING FRAME)の一部は露出している
また、ヘルメットの後部のステッカーとストラップには、夜間走行での安全性を高める反射素材が使われている。視界の悪い条件下で視認性を高めるHIGH VISIBILITY STICKERSとは大きなKASKのロゴのステッカーのことだと思うが、こちらは反射素材が使われているわけではないようだ。

ヘルメット後部とストラップには夜間走行の安全性を高めるリフレクター

HIGH VISIBILITY STICKERS。反射素材ではないようだ。大きいロゴだから目立つってことなのかな?
■価格
Vertigoの国内での販売価格は¥29,400円と高価で、ちょっと手を出しにくいというのが正直なところだ。クロスバイクから始める人が最初に買うヘルメットではないと思うが、エントリーモデルからのアップグレードならKASKが候補に挙がる。
私はロングライドとフィットネス用にMojitoかK.50 EVOを検討していたのだが、幸運にもVertigoのモニターに選ばれた。Vertigoの被り心地と快適性は1回目の投稿の通り最高で、こんなに高性能だと分かっていたら自分でも買いたいと思うほどだ。
高い値段だけど後悔しないと思う。3年は使えることを考えるといい買い物ではないだろうか。せっかくなのでこのVertigoはできるだけ長く使いたいが、買い替える際にはVertigoや後継モデルが出ていればそれを使うだろう。
■ここまでのまとめ(2回目の投稿)
○洗練されたデザインが魅力的である。
○私服、サングラス、キャップとの見た目の相性が良い。
×サングラスによっては、テンプルがヘルメットの縁やUP'NDOWN TECHNOLOGYに干渉する。
×サングラスによっては、テンプルをベンチレーションに刺して保持できない。
○キャップを下に被っても圧迫感がなく、通気性が良いおかげで意外に蒸れない。
○持ち運びに便利なヘルメットバッグが付属している。
○安全性を高める様々な技術を投入している。
○値段に見合った出来 (販売価格がもうちょっと下がると嬉しいけど)
○: 良い点、×: 残念な点
Vertigoは服装、サングラス、キャップと合わせやすい。街乗り用ヘルメットは通気性が悪く重いものが多いが、Vertigoならデザインと機能の両方を備えている。VertigoをはじめKASKのヘルメットはデザインが良くキノコ頭になりにくいので、ロード用ヘルメットの見た目が苦手な人にも受け入れられると思う。値段は高いが最初のヘルメット(特にエントリーモデル)からアップグレードすれば高い満足が得られるだろう。
■KASKのヘルメットは被り心地が良くておすすめ
Vertigoは被り心地、快適性、安全性、デザイン等のヘルメットに求められる要素のレベルがどれも高いので自信を持っておすすめしたい。さすがKASKの持つテクノロジーの全てを盛り込んだだけのことはある。各要素をバランス良く高めた結果、ロード用ヘルメットとしては特別軽いというわけではないが、被り心地や重量の配分で軽く感じさせている。過度に軽量化せず、被り心地、快適性、安全性に妥協しないメーカーの姿勢にはこだわりを感じる。
Vertigoで特に素晴らしいと思ったのが被り心地の良さだ。ショップでMojito、K.50 EVOを試着したらVertigoと同様の被り心地だった。頭を包み込む優しい被り心地を体験すると、ヘルメットはKASK以外には考えられなくなる。ロード用ヘルメットを他に使ったことはないが、被り心地の良さからKASKはおすすめ。横幅が広いので日本人にフィットしやすいのも、私がKASKをおすすめしたい理由だ。

Vertigoのバランスの良さのイメージ ※あくまでイメージ

軽さを最優先させたヘルメットの私の勝手なイメージ ※これもただのイメージ
■最後に
今回のレビューは、最上級かつ高価なモデルであるKASK Vertigoの購入の参考になるように、できるだけ多くの情報量と写真を心がけた。この中に求めている情報があれば嬉しく思う。
KASK Vertigoをモニターの機会を与えていただき、いきなりヘルメット選びの終着駅に到達してしまった感じがする。これほどのデザイン、快適性、被り心地なので今のところは他にヘルメットを探すということが想像できない。大変満足できるヘルメットだ。
これから先の季節もメインのヘルメットとして使っていきたい。秋や冬場にどんな活躍をしてくれるのかとても楽しみだ。これ以降も気がついたことがあったら追記していきたい。
価格評価→★★★☆☆ (使えば納得の値段)
評 価→★★★★★ (被り心地と高い快適性に大満足。キノコ頭になりにくい)
<オプション>
年 式→2013年
カタログ重量→270g (実測では289g)
(謝辞)
商品を提供していただいたKASK様、企画の実施と私をモニターに選んでいただいたCBNのマスター様に改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。