購入価格 ¥250・手荷物価格40万円の場合
昨日、飛行機輪行(ただし国内・行き)バージン・ブレイク!まさに「やってみたら予想外にコストもかからず簡単だった」状態。翼に乗ってどこまでも行ってみたいけど我が子同様の自転車が心配な皆様の参考になれば僥倖。でも最後の注意書きもよく読んでね、お願い。
◆行程
東京・羽田空港→北海道・新千歳空港→札幌市最果てにある実家。新千歳空港からはJR北海道おなじみ快速エアポート。
◆キャリア
ANA、ちなみにマイレージ特典航空券で普通席、マイレージはノーマル会員。つまり特別扱い一切なし。
夏休みシーズンのため、ほぼ満席。大荷物を運ぶということを考えると一番条件悪いかも。
諸事情によりLCCはメリットがないので私自身は一切使わない。それはさておきとしても、飛行機輪行はエクストラな対応をキャリアにお願いするようなものなので、ここはケチらず、レガシーキャリアの方がいいと思う。
普段あまり飛行機に乗らない方は実感しにくいかもしれないけど、飛行機ほど価格とサービスがえげつなく連動しているものはないのよねぇ。(ついでに顧客を階層化した対応も)
◆使用した物
輪行袋:grunge B-Wever Carry(レビュー投稿済)
エンド金具:フロントとリアの両方、定番OSTRICH
段ボール:スーパーでトマト4個入りを買ったときのもの
はい、輪行袋がいきなり掟破り。箱やケースにしてバラバラにばらしてプチプチに頑丈に包んで飛行機輪行に臨む猛者が多い中、まさかの「普通の」輪行袋。
エンド金具を買いに行ったときのショップのおにいさんはこれを聞いて開口一番「うーん、しょっぱいですねぇ」えー、やっぱり~?でも、airheadなりに考えた末のことなのよ。
もちろん、最初の検討は飛行機輪行の定番OSTRICH OS-500。お値段は....た、高い。初期投資とはいえ、ちょっと引く。
それと、実家はJR最寄駅から3kmちょいあって普段は路線バスを使う。だけど、輪行袋でバスに乗せてくれという勇気はさすがにない。そもそもバス混むのよね、無理。
すると「車で誰かがお出迎え」という選択肢がないので、タクシーしかない。駅の乗り場ではいつもたくさんの車が客待ちしているけど、ワンボックスタクシーは見たことがない。あるのか?ちなみに本州の方は頭の隅に入れておくといいのだけど、北海道のタクシーは小型車も多い。少し前まで中型車にはわざわざ「中」ステッカーが貼ってあって、皆お高い「中」は敬遠していたくらい。となると、トランクは厳しそう。だいたいトランクだと自転車を寝かせることになる。後部座席は、輪行袋に入れていたとしても拒否られるかも。
残るは駅で自転車組み立てて「自走」、仕方ないねこれ一択。でもね、OS-500はデカい、嵩張る。どんなに畳んでも座布団2枚状態不回避。これはどう頑張っても背負って自走は無理。
ということで、消去法的に普通の輪行袋となり、手持ちのB-Wever Carryを選択。OSTRICH定番L-100よりは生地が厚いしホイールカバーがついているからまあいいか、と。OS-500と較べると、厚いといっても気休めにしかならないけどさ。
さて、エンド金具。普段の電車輪行ではB-Wever Carryにエンド金具不要。あったほうがいいけど、なくてもOKなのがこれを含めた横持ちタイプの輪行袋のメリット。とはいえ、飛行機輪行ではいくらなんでも自殺行為な気配が漂う。ということでフロントは元々持っていたけど、リアも調達。
トマトの段ボールは後程。
◆他の荷物は?
私はリモートワーカーなので、実家でもお仕事するためにノートPCが必須、もちろんこれもハンドキャリー。となると、最寄駅から自走するにはバックパックが必要。スーツケースを持つことはもちろん無理なので、これは宅配便で先送り。
◆事前調査と手配
実はmy 自転車師匠に「実家にロードバイクを持って行こうと思う」と相談したところ「国内線は普通の輪行袋で問題なし。気になるならお金払って保険かけられるよ。料金も安い」とのこと。ググル先生に訊いてみると「従価料金」というらしい。
ANA Webサイトによると、
・価格申告のない手荷物の賠償限度額は15万円まで
・実際の価格が15万円を超える場合は、従価料金制度がある。Ask 空港係員
更に「従価料金 自転車」でググル先生に訊く。すると飛行機輪行で実際に使った例を僅かだけど見つけた。料金も高くない模様。
でも先達の記事で何より心奪われたのは、この仕組みを使うと荷物の扱いがとても丁寧になるらしい。だって、職員の扱いが悪くて壊れたらキャリアは賠償しないといけないから。
荷物の手渡しお願いは厳しい昨今、従価料金のかけた荷物はリクエストが通りやすいとも。
「これはイケる」ということで、キャリアに電話。従価料金はあまりWebサイトにも説明がないの。
最初は自転車持ちこみについての質問。
terrie:#***のフライトで、手荷物として袋に入れた自転車を運びたいのですけど。
ANA:大きさは「縦・横・高さ」を足して203cm以下ですか?
terrie:は、はい大丈夫です。(ありゃ、鉄道会社より基準がえらい小さいじゃないの....ま、そうだよねぇ。飛行機だし。フレームサイズが小さいとはいえ、ぎりぎりかちょっとヤバいけど、まあ、ぱっと見で明らかにオーバーしないかぎりは大きさについてはキャリアはアバウトだから....)
ANA:重さは20kg以内ですか?(キャリアがシビアなのはこっち、燃料コストに跳ね返るから。20kg越えると超過料金だからねぇ。以前はちょっとくらいはお目こぼしだったけど、最近厳しいのは合点承知)
terrie:はい、もちろん キリッツ(ママチャリじゃないんだからさ)
ANA:他にお荷物はありますか?
terrie:ノートPCを入れたカバンを機内持ち込みするだけです。(自走するから荷物は先送りするよん)
ANA:では、大丈夫ですね。
ここから本題。
terrie:手荷物に保険をかけられると聞いたのですが。従なんとかっていうやつですけど。
ANA:はい、「従価料金」ですね。手荷物価格が15万円以上であればできますが、おいくらですか?
terrie:40万円です。(ざっくり。フルアルテのカーボンDomaneちゃんなので)
ANA:それでしたら大丈夫です。
terrie:料金はおいくらですか?(どきどき)
ANA:それは当日手荷物カウンターで確認しないとわからないです。(えー!)
terrie:りょ、料金はカウンターで払うんですね?(100円/1万円とか言われるのか?だとしたら掛け捨て保険としてはいいお値段だよん...)
ANA:はい、そうです。
うーん、実際いくらかかるか知りたかったんだけどな....仕方なす。
それから飛行機で特別なことをするときに大事なことを確認しないと。
terrie:出発何分前までに申し込む必要がありますか?
ANA:出発1時間前までにお手続きをお願いします。(やはりそう来たか。飛行機でちょっと特別なことお願いするときは大抵1時間前手続きなのよね、仕方なす)手荷物カウンターでは誓約書にもご記入をお願いしますので。
terrie:他に何か手続きや申告する必要はありますか?
ANA:特にありません。
これで飛行機に関しては完了。あ、もちろん一番最初にやることはフライト予約ですからね。
次は、空港までの手段。ここでも空港までのリムジンバスは乗れないのは明白。仮にOKとしてもバス底面の荷物エリアにスーツケースに混ざって横にして置くことになる....うーん、それはちょっと。ということで、ワゴンタクシーを予約。これで約1万円が飛んでいく....飛行機の超過料金と合わせて1万円で収まるか....若干不安。
それから宅配便でスーツケースを先送り。
◆パッキング
最初にタイヤの空気圧をどうする考える。実は諸事情によりしばらく乗っておらず、空気も入れていなかった状態。だぶん空気はそこそこ抜けている。ということでこのままで行くことに。機上では貨物室は圧力が低いため、タイヤバーストの恐れが、とはいうもの、8気圧maxのタイヤなら6または7気圧くらいで平気らしい。(動物がいれば与圧されるけどこればかりはその日の運ってことで)最寄駅から自走するのだから乗れる程度には入ってないとまずい。
それからフロント・リア共にエンド金具を付け、輪行袋に自転車を詰める。フレームサイズ52cmまで対応している袋なので、47cmのDomaneちゃんには十分大きいので、ペダルもサドルもハンドルも外す必要なし。っていうか、ハンドル外したら最後、自分で付けられる自信なし、ペダルもアーレンキーでOKとはいえ力がないからどうだろう。ということで、外す選択肢がない、とほほ。Garminマウントとサドルバッグは付けたまま、ただしサドルバッグは空にしている。
パッキングした姿は、ちょっと大きめのスーツケースレベルの大きさに。最後に自走するからヘルメットとシューズも必要、これも問題なく入る。
気になるのが「リアディレイラー」。ググル先生に先達の智恵を訊くと、外してプチプチにくるんで持って行けと。うーん、困った。念のためっていうのは判る、判るよ、でもね、付け方知らないのに外せるわけじゃん、基本的なとこだけどさ。ということで無理、断念。
で、どうするか。出発まであと1時間切ったところで思いついたのが、段ボール。ちょうどスーパーでトマトを買ったときのやつがあったので、気休めにこんな感じ。気休めにもなってないか?
あ、タイヤを外した後、リアのギアを一番ロー側にしてディレイラーをできるだけ引っ込めるのは基本らしい。チェーンもエンド金具に通してたるまないように。
◆出発空港の手荷物カウンターで
電話で言われた通り、出発1時間前に手荷物カウンターへ。「これ、自転車なんですが、荷物に保険をかけたいのですが」と申し出る。「従価料金ですね」と話はすぐに通じる。
対象の価格は15万円以上100万円以下とのこと。そういえば電話では上限は言われなかったな。(注:もしかしたら上限150万円だったかも、カウンターでバタバタしていたから、ちょっとうろ覚えなの)
気になる料金。荷物のお値段は40万円と言うと「料金は250円です」えー、そんなんでいいのぉ!かなり拍子抜け。これで特別扱いしてくれて荷物の補償もしてくれるならタダみたいなもの。
するとカウンターのおにいさんは誓約書に署名をしてと言う。これも想定内。「飛行機の揺れなどによる破損は免責となります」なるほどね、職員がミスッて壊れた場合は補償されるけど、飛行機の揺れやエアポケットにはまって壊れた場合は不可抗力ってことね、ま、仕方なす、サイン。
するとおにいさん、「これから手続きとりますので10分くらいかかりますが、お時間大丈夫ですか?」もちろん、全然余裕。おにいさんが手続きで裏に引っ込んでいる間にこちらも機内持ち込み荷物の整理。
待つこと数分、おにいさんが戻ってきて、いよいよここからが交渉っていうかお願い。
「荷物はこの向き(横持ちのサドルを下・エンドが上の状態)で扱ってもらえませんか?それとハンドキャリーでお願いしたいのですが。バゲージクレームでも手渡しにしていただけませんか?」
するとおにいさん、後ろの荷物が流れている荷物用のベルトを指して、「ここだけはどうしても横にしてベルトに通さなくてはいけませんが」と言う。そっか、ベルトはやっぱり不回避なのね。これも想定内、となれば、ディレイラー側を上にしてもらうべしなので、それをお願いする。袋のロゴマークがあるから指示はしやすい。するとおにいさん、このベルト以外はハンドキャリーで、搭載のときも指定した向きで置いてくれると言う。これは従価料金の威力なのか?
従価料金のチケット。
◆到着空港のバゲージクレームで
ほぼ満席便だったので、人も荷物もいっぱい、ワンコの鳴き声も響く。さすが夏休み。これでは荷物が出てくるのは最後かなぁと覚悟していたら、さほど待たずに輪行袋を肩に背負ったお兄さんが登場。無事、自転車を受領。
さっそくファスナーをちょっと開けてディレイラーを確認。段ボールは少しずれて上のチェーンが段ボールからはみ出ていたけど、ま、まあ、どうせ気休めだし....
受け取った自転車。手渡し希望タグと、壊れ物・自転車・従価料金のタグが。
袋に天地無用と置き方・持ち方を指示したステッカーが正面に張られていた。
◆自転車の状態
自転車を組み立てたところ、出発前と外観に変化なし。Garminマウントも破損なし。肝心のディレイラーは、変速もOK、特に問題なさそう。
えっ、傷はどうかって?元々擦りキズだらけのDomaneちゃんなので、実はそもそも気にしてない。とはいっても特にこの飛行機輪行が原因でついた傷はなさそう。両輪共ホイールカバーに入れていたしね。
というか、傷を気にする人は傷を付けても気にならない自転車を使うか、輪行なんぞしないで床の間に飾っておくのが一番では....
◆おまけ:飛行機以外の行程
<JR北海道・快速エアポート>
これが予想外に困った。快速エアポートは1両だけ指定席車両があり、そこには荷物置き場もある。300円払うとその車両に乗れるのだけど、荷物置き場の幅が狭く、自転車を横置きでは通路入口ドアに少しかかってしまう。普段はこの車両、ガラガラに空いているので、となれば座席2つ使うのだけど、さすが夏休みシーズン、ほぼ満席ときたもんだ。
それと人がいっぱいということはスーツケースもいっぱいなので、これが自転車に倒れかかってきたりした日には目もあてられない。ということで一つだけある通路入口前の一人掛け座席の後ろと壁の間に自転車を横置きし、出発するまで自転車前に立つ。検札にきた車掌さんに自転車の幅が入口ドアにかかってしまうことを言うと車掌さんは「固定していますか?」え、そっち?座席と壁の間に置いているので倒れはしないと言うと「倒れないように気をつけてください」やっぱり、気にするのはそこ?
考えてみれば、この車両は指定席券の無い人は入れない。つまり通路に立つ人はおらず、また、ほとんどの乗客が空港から乗った後は終点まで降りないし、この車両に途中乗車する人もほとんどいない。つまり、出発してしまえば、人の出入りを気にしなくていいってことだからか、なるほど。
でも、帰りの行程は3座席分買うことに決めた。私の実家は空港から遠いので早くから乗っていることになるのだけど、途中の駅でも人が乗って来るから出入りの邪魔なので。それでも900円だからまあよしとしよう。早めに予約しないとね。
<タクシー>
実はJR最寄駅に降りたところで雨ざーざー、よりによってその日の一番雨がピークの時間帯だったようで、自走断念。普通のタクシー輸送にトライすることに。たまたま私の順番にあたったのはTOYOTAプリウスのタクシー。後ろのトランクはやっぱ無理、入らなかったので後部座席に置くことをお願いするとあっさりOK。で、あっさりシートに鎮座する。うーん、拍子抜け。帰りも素直にタクシーだな。
◆まとめと注意事項
100万円の自転車でも従価料金は1000円もしないということだと思うので、飛行機輪行ではむしろ積極的に利用したほうがいいかと。高額手荷物であることをお金を支払って明示して得られる取り扱いの安心感。
荷物の扱いでキャリアに口頭でお願いしたことが守られずに破損した場合、賠償になるのかどうかはよくわからない。
なお、更に安心感を得たいならOS-500や輪行箱といった先達の教えに従うとなおよし。
利用するときは、事前にキャリアに確認して指定された時間までに手続きを済ませることが肝要。大抵こういうのはどこも1時間前(国内線の場合)特別な荷物を丁寧に扱ってほしいときは、お互いに心と時間の余裕が必要。チェックインぎりぎりに持ち込むのはかなり迷惑なはず。
飛行機の揺れによるものは免責なのでそこは注意。ガタつくことがゼロってことはないので、やはり無傷でいたい自転車や、傷に耐えられない繊細なライダーは飛行機輪行には全く向かない。
補償は金銭であって「元の自転車に戻す」ものではない、当たり前なんだけど。私はうちの子のDomaneちゃんをこよなく愛しているけど、再起不能になったら補償額で買い換えでいいかという割り切りの元、利用したけど、親の形見のバイクのような唯一無二でお金の補償で済まない自転車には向かないかもしれない。
最後に私も「行き」はOKだったけど、「帰り」はこれから。で、帰りが同じように無問題かどうかはまだわからない。このレビュー(ただの体験談だけどさ)を読んで、このお気軽飛行機輪行を決行するか、良い子の大きいお友達の皆様には、自己責任ということでお願い。
ひとつ言えるのは、この通りにやって自転車がぼろぼろにならない保証はどこにもない。飛行機は揺れるもの。乗客が皆ゲロ袋使いまくってキャビンに酸っぱいにおいが漂う程、エアポケットで縦に揺れる(落ちる?)ことがあるのも飛行機だから。こればっかりはキャリアには責任ない。ただ、人的ミスを減らすことはできそうだよ、という話。
価格評価→★★★★★(ほんの数百円で得られる安心感)
評 価→★★★★☆(従価料金ですべてカバーされるものではないので。パッキングと輪行袋についてもかなりの割り切りの元なので)
※ManInsideサマことマスターが先達としてすでにレビューを投稿されていたとは露知らず、無い知恵とわずかな経験を絞って、初級者のくせに飛行機輪行にトライしちゃたよ....