購入価格 ¥2205円(税込)
1990年代のバブル崩壊から失われた20年の果てに、なぜか活気づく日本の自転車業界ですが、景気の浮沈に耐えつつ(?)歴史を重ねてきた八重洲出版のおなじみ「サイクルパーツオールカタログ」の最新版は、440ページ超の大作。カタログ部はオールカラーで紙質もよく、これを書店で立ち読みすると重くて腕が疲れます。というわけで何と20年ぶりに買ってしまいました。
今時、ネット上で各社パーツカタログや、国内外数多の通販店舗の品物を閲覧できる便利な時代になってはいますが、本の状態でじっくり眺めるのもいいなあ、と、改めて感じます。溢れんばかりのパーツ点数で重量級の本ですが、内容はよく整理されています。
しかし、6000点を網羅してもなお、全てをカバーしているとは言えないのが自転車パーツの世界。気になったパーツ・メーカーのラインアップが、本当は(笑)どうなっているのかは、ネット検索や直接問い合わせなどで確認する必要がありそうです。例えばNITTOのハンドル・バーの掲載点数が少なすぎ!!
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さて、例えば、最近、自転車に目覚めた若い人がこの本を手に取ったとします。好きこそ物の何とやらで、興味があるから片っ端から貪り読んで、パーツカタログのどこに何が載っているのか、憶えてしまったりします。
この際、パーツ群ごとに整理された状態で憶えることになり、自然と自転車全体のパーツ構成とバリエーションが頭の中に入ってきて、一端のパーツ評論家になれる、というわけです。
こうして、好きこそ物の・・・の勢いで憶えた知識というのは、長期記憶として脳に定着し、その後長らく、その人の自転車知識のベースを形作っていきます。最近自転車に乗り始めて楽しくてたまらない人が、2013年版のオールカタログを買ったならば、今後、長きに亘って、その人のパーツ基準は2013年時点でのパーツ群像、ということになるでしょう(多分)。
幸いにもその後も自転車に乗りつづけるならば、例えば30年後の2043年になった時、その時点で入手できる自転車やパーツを、恐らくその人は2013年のパーツと無意識に比較することでしょう。そして、2013年以前のパーツに対しても2013年時点と比較することでしょう。
「ええっ、2043年だって?30年も先のパーツなんて今と似ても似つかないんじゃないのぉ??」
そうかもしれませんし、そうじゃないかも知れません。でも、30年なんて意外と、あっという間です。2013年版にも掲載されているNITTOのステム 「パール」 は、いつから製造されているのか知りませんが、私が通勤ロードで使っている2本のうち一本は30年近く前のものです。また、あのベルナール・イノーがツールに初出場して優勝したのが1978年ですが、この時、なぜかイノーはパールを使っています。35年前の話です。
2013年版に掲載されたパーツの中のいくつかは、2043年版にも掲載されることでしょう。
というわけで、自転車パーツ知識の整理棚が自分の頭の中に構築され、そのあとはそこに新たな知識や経験を加えていく。そんな整理棚を知らないうちに自分の中に作ってくれるのが、八重洲出版の「サイクルパーツオールカタログ」なのではないか、と、思うわけです。おっと、勝手な思い込みで書きすぎてしまいました。
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私みたいな中年のオッサンには字が小さいのがつらいですが、いずれにしても大変よくできたパーツ総覧本です。今、自転車に夢中な人!この2013年版を手に取ってみてはいかがでしょうか。
また、いい歳した私としては、30年前にサイスポ編集者として大活躍していた「鉄人」こと小林徹夫さんが、各パーツ・カテゴリ毎に、的確で滋味あふれる「鉄人アドバイス」を書いてくださっているのが本当に嬉しいです。分厚いパーツ本の要所要所にちりばめられた鉄人のお言葉をかみしめてしまいます。なるほど、と言いたくなるアドバイスは、読む価値あり! です。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★(初めて買った人には永久保存版になるでしょう…多分)
年 式→2013
実は次に買う日が訪れるかどうかわからない(笑)