購入価格 追加で¥4,000円ぐらい(結線の材料)
先日、Shimalin RR500の後輪が
PEラインによるスポーク結線
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13714&forum=106&post_id=23797#forumpost23797の実験台(笑)になりました。
結線の効果について追加レビューします。
[結線の概要]
ホイールのパーツ構成は変更無し。結線前に点検をしましたが、大きな振れ等は無かったので蟹光線ブログで有名な某ショップ様と同じく非フリー側のみ結線を行いました。交差しているスポーク同士を手で握ってスポークテンションを確認すると、結線前はホイールの左右側でスポークテンションに差がありましたが、結線後はスポークテンションの差がほぼ無くなっていました。
[乗り心地]
このホイールは元々直進性が良く、スルスルと伸びるような滑らかな加速を得意とするホイールでしたが、それに更に磨きがかかりました。ダウンヒルの高速コーナーの安定性も劇的に向上しました。そして一番大きな変化が、強く踏み込んだ際の『ギュンギュン』といういつもの感触が一切無くなり、限りなく滑らかで、柔らかい弾力のある感触になった事。これは今までに乗った事の無い不思議な感触で、大変面白いです。
しかし、加速と登坂は前より重く感じられるようになりました。単に重いというよりは掛かりが良過ぎて重厚(?)になったような感じでしょうか。
結線前はホイールの左右側でスポークテンションに差があったため、ハブの駆動トルクがスポークを介してリムに伝わる間に力が若干逃げていましたが、
結線後、駆動力がしっかりリムに乗るようになったため、その反力が脚に返ってきて重いと感じたようです。
[次のホイールに向けての考察]
以前から薄々感じていたのですが、ホイールのリムセンターには、
①静的リムセンター
⇒ホイールを組んだ時にセンターゲージを当てて測る寸法。
②動的リムセンター
⇒加速・減速・コーナリング・路面の凹凸による衝撃等の外力が加わった時にリムのセンターが保持出来るか否か。
があるように思います。
①は出ていて当り前。①と②の両方がちゃんと出来ているホイールが俗に言う「掛りが良い」とか「安定感のある」ホイールであると考えます。
という事は、
・左右のスポーク断面積の総和が同じ
・左右のスポークの材質が同じ
・左右のスポークテンションが同じ
・左右の組み方が同じ(ラジアル同士 or タンジェント同士)
というホイールが理想という事になります。(今更過ぎますがw)
リヤハブの形状がほぼ左右対称のシングルスピードなら何も考えずにホイールを組めばおおよそ静的・動的なリムセンターが出ると思いますが、ロードの場合ホイールのオチョコ量が多いせいでそう簡単にはいかない。
対策案は、
A案.動的リムセンターのバランスを無視して、ちょっとやそっとの外力では変形しない程ガチガチのホイールを作る。
B案.動的リムセンターが出るようにパーツ構成を工夫してバランスを取り、左右非対称のホイールを作る。
以上の2つです。
今思えば、世の中の完組みホイールはだいたいこの2案のどちらかか、その両方の合わせ技で出来ているように思います。
それを踏まえたうえで手組ホイールを作る場合、A案は組んですぐは良く走るが、しばらく使うとスポークが伸びてきて静的/動的センターがずれる。B案はバランスを保ったままホイールの剛性を自由に変えられるが、カンコツ作業のトライ&エラーを経て作るしかない。
趣味のホイール作りとしては個人的にB案の方が面白そうなので、次のホイールはこっち方面に向かいたいと思います。世の中に左右非対称フレームが存在するのなら、左右非対称設計の最適バランスを突き詰めた手組ホイールを自分で研究して組むのもアリでしょう。
[総評]
今回作ったホイールは加速でキレのある反応を示すタイプではないですが、バランスが非常に良くツーリングにはピッタリ。独特の踏み心地もあり、とても面白いホイールに仕上がりました。前輪に引き続き一応の完成形を見る事が出来たと思います。
価格評価→★★★★★(コスト的には安い改造でした)
評 価→★★★★★(嗚呼、素晴らしきホイールの世界!!)
<オプション>
ここまでの改造のまとめ。
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[前輪]
改造①
WH-R500のリムをKINLIN XR-300に変更。
スポーク径をφ1.6-1.8mmに変更。(剛性不足でNG)
改造②
リムはそのまま。
スポーク径をφ1.8mmに変更(剛性OK)
一応完成形となる。
改造③
装飾されてウェディングホイールに進化。
半永久的に我が家の玄関に飾られる。
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[後輪]
改造①
WH-R500のリムをKINLIN XR-300に変更。
スポーク径はφ2.0mmのまま、スポークパターンをフリー側4本組み、非フリー側6本組みに変更。
改造②
非フリー側のみ結線。
一応完成形となる。
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ここまで魔改造ホイールのレビューにお付き合い頂いた皆様へ。
完成車に付いてくる激安ホイールを自分なりに弄ってみることで、私は趣味人として沢山の得る物があり、楽しい時間を過ごす事が出来ました。
私の好奇心の軌跡たるこのレビューが、皆様の参考になれば幸いです。