購入価格:£65 (@ wiggle、うち£20分バウチャー支払)
今年2月に月間賞当選して頂いたwiggleバウチャーを購入に当てさせて頂きました。
改めまして、ありがとうございましたm(_ _)m
・購入前の背景と動機
サイクリング用では胸に巻くのが主流だった心拍モニター。ほとんどのサイコンは専用HRMにチェストストラップ式を採用してきましたが、腕時計タイプのモニターにもANT+対応のものがボツボツ出始めていたので、気になっていました。Mio Link導入以前はなぜか半年以内でほぼ確実に壊れて使い捨てになるGarmin Premium HRMを悪態を吐きつつも使い続けていましたが、いい加減嫌気が差して乗り換えに踏み切ったという状況が背景にあります。その前はPolarのWearLink+も使っていましたが、程度の差こそあれ発汗による浸水や腐蝕・洗濯に伴う電極の破損などは避けがたいことのようで、HRMストラップはどれも使い捨ての消耗品という認識でした。GarminのHRMなどは、箱に堂々と洗濯回数を抑える旨の指示を書く程の開き直りっぷり。それでも壊れるセンサーやら断線ストラップが溜まっていく一方なのは精神衛生にも環境にもよろしくないので、購入前にMio Linkに期待していたのはなによりも耐久性の向上でした。
・使用環境と頻度について
本機をANT+経由でペアリングして使っているのはGarmin Edge 500と800。Bluetooth経由でiPhoneやAndroidスマートフォンにも繋げますが、私はバッテリー消費が気になるのでそちらはほとんど使用しておらず、アプリも含め本レビューの対象外です。使う頻度は週3回程度。週末に外で走るのが主な使用シーンですが、屋内でのローラー回しにも使います。手元にあるMio Linkは1個のみで、複数個の使い分けや他のHRMストラップとの混在はせず本機だけを6ヶ月間、使用する度に洗って使用し続けました。
・サイズや重量、素材に関すること
S/MとLの2サイズ展開で、バンドの色も複数色あります。S/Mサイズは手首周長121~175mm、Lが149~208mmとなっています。Mioの公式サイトに便利なサイズチャートがあるので、参照してみると良いでしょう。
http://resources.mioglobal.com/docs/mio_link_sizing_chart.pdf (注:pdfファイルが開きます)
印象としては通常のメンズ腕時計バンドより若干タイト(>10mm)な印象ですが、調整幅がかなり大きいので体格が大きく骨太な人でなければS/Mサイズで対応できると思います。実測で30gとかなり機能を削ぎ落として軽量に仕上げてある印象。予めプリセットされた心拍ゾーン通知と電池残量警告のためにLEDの点滅色が変わる機能がついていますが、Mio Link本体に与えられたデータ機能はそれだけで、その他は全てANT+通信に対応するサイコンあるいはMio GOという専用アプリがインストールできてなおかつBluetooth通信に対応するスマートフォン側にゆだねられています。何かしら他のデバイスが無いとほとんど役に立たない潔さの代わりに実測で30gという軽さを実現しています。実際装着してみても、重さを意識させられることは皆無です。
バンドはシリコンゴム製、センサー部分が外せてゴシゴシ洗えるので衛生的にも問題ありません。測定に電極を使わないタイプなので、断線を恐れて洗うのを躊躇う必要がありません。使用後にセンサーだけ取り出して殺菌効果のあるハンドソープで手もみ洗いして干しておけば清潔に保てます。センサー本体も30m耐圧になっているので、洗面所で軽く洗う位なら浸水の心配は要らないでしょう。樹脂なので中性洗剤を薄めて洗うのがベストでしょうが、いちいち使い分けるのは面倒なので、私は本体もバンドを洗うのと同じハンドソープで洗っています。それで変色などの問題は出ていません。
・実使用に伴う快適性について
購入後、冬・春・夏とスリーシーズン6ヶ月間使ってみて、メリット・デメリットが大体見えてきました・・・
ではまずメリットから。
1. 圧迫感や異物感が圧倒的に少ない
やはり胸から圧迫感がなくなるのは圧倒的な解放感、呼吸が楽になります。
軽量コンパクトなので、腕時計を装着すると左右の腕が感じる重さがアンバランスになって気になる、という人でも受け入れられる余地があります(私もそうでした)。
ただ、リストバンドは少しキツめに締めて手首に密着させないと計測エラーが出やすくなる(理由は後述します)ので、通常腕時計をつける時よりも強めの圧迫を手首に感じます。装着直後はどうしても手首への圧迫感が強調されますが、バンドに使われている素材が柔らかめのシリコンゴムなのでしばらくすると違和感は薄れていきます。調整代はかなり小刻みになっているので、安定した動作と程よい装着感を両立できるポイントを見つけるのはそう難しくありません。厳冬期に着込む長袖ジャケットや手袋は姿勢変化で生じる手首周りの隙間を埋めるため相当量の布地がオーバーラップするよう作られていますから、ちょうどその重なるエリアの真下にリストバンドが埋もれて若干ゴワゴワします。測定や無線通信には特に影響ありませんが、そもそも腕になにかモノを装着する感触が嫌いという人は、気になる部分かもしれません。
2. 装着前に肌を濡らす必要がなく、乾燥していても計測エラーが出にくい
Mio Linkはオプティカルセンサーで血管の動きを読み取る原理を採用しており、心電計ベースの心拍モニターと違って通電性に依存しません。1.で述べた少しキツめに締めないとエラーを吐く、というのは血管を上手く読み取れなくなるから。逆に冬の乾ききった肌が原因で計測エラーが出る心配はなく、装着前に濡らしたストラップを胸に巻きつける時”#$%&')!!!”と声にならない悲鳴を上げる、キモチワルイミニコントも演じなくて済みます。
3. LEDでバッテリー残や心拍ゾーンが分かる
冬は長袖の下に隠れてしまうので役に立たないのですが、内蔵されたLEDの色が変わるのでヒルクラ中一杯一杯の時でもチラ見だけで心拍ゾーンが分かるのは結構便利です。心拍ゾーンの振り分けは専用のスマホアプリ経由でカスタマイズが可能。
4. 耐久性は今のところ一切問題なし
まだ半年しか使っていないので断定してしまうのは早いでしょう。しかし過去に10本以上は使ってきたチェストストラップHRMを遡ってみても、そのうち半年以上使えた個体は3本くらいしかなかったのを加味すると、一発目から半年を突破したMio Linkは期待が持てそうです。これまでのストラップは早ければ3ヶ月目位から異常な数値を吐き出す頻度が高くなり始めて半年使うと半分は計測すらしなくなり、1年を超えて使えるのは1本もないという成績。
・・・とこんなところでしょうか。主に私がHRMに対して抱いていた不快な思いのモロモロがキレイに払拭されています。
もちろん良いところばかりではありませんでした。
以下、デメリットについても語ります。
1. ランタイムが短い
充電式のリチウムポリマー電池を用いているのでコストパフォーマンスは悪くないのですが、満充電でも10時間程度しか動作できないのが不満です。長時間連続して使うことが多い人や、毎日使う人は頻繁な充電サイクルが煩わしく感じることでしょう。私はぶっ通しで10時間超走ったりしないので、都度充電を忘れなければ走行中にバッテリー切れになるようなこともないのですが、もうちょっと使用時間が増えればなぁと思います。個人的な都合ですが、せめてあと3時間長かったら週末2日連続で走っても充電不要でクリアできるので・・・リチウムポリマーですから頻繁な充電によるメモリー効果を気にする必要がないのはせめてもの救いですが、電池の改善による更なる性能向上は難しく、使用時間を稼ぐには電池を大型化するしかなさそうです。となると重量増も避けられませんから、現行型のコンパクトさを保ったままでの改善を求めるのは無理な気がします。
これと関連して、無料で使用できるMio GOという専用スマートフォンアプリの利用価値が限定的になってしまっています。本体のランタイムがもっと長ければ一日中Mio Linkを装着してスマートフォンでデータを拾い連続測定するといった使い方ができるのですが、現実的にはハード性能が追いついていない印象です。Mio GOからMio Link自体に様々な設定変更を施せるので初期設定の時に少しだけ触りましたが、後は起動すらしないまま。Bluetoothを常時使うとスマートフォンのバッテリーを浪費するのもあって、Mio Link含めBluetoothデバイスとスマートフォンを組み合わせてサイコン的な使い方をする発想は、まだまだ未成熟という印象。
2. 測定が歯飛びすることがある
ANT+経由での他デバイスとのペアリングは安定していて、突然謎の通信ロストをすることがあるGarmin EdgeとGarmin純正HRM間よりもよほど優秀な位です。そこは問題ないのですが、通信そのものに問題は無い状態で比較すると、電極を用いるチェストストラップタイプと比べると測定中の安定性が若干劣る気がします。光学的に血管の動きを読み取っているので、角度や位置がズレると正確な測定ができなくなるのがでしょうか。チェストストラップでも肌の乾燥などで通電状態が悪くなると心拍を取らなくなったり異常な数値を吐いたりはしますが、ハード的な問題が原因でなければ乾燥する冬限定という印象。でもMio Linkは似たような測定エラーが(頻繁ではないものの)季節問わず満遍なく出る気がします。原因はいろいろあると思いますが、手首という動きの激しい位置で測定していることが一番大きいのでは、と想像しています。使い始めたのが冬だったので静電気が怪しい気もしてたのですが、季節が変わってもそれほど変化がないので汗のかき方や乾燥はあまり関係なさそうです。
・・・以上、それぞれの要素を天秤に掛けてみて、メリットの方に心が傾くなら買っても後悔しないでしょう。私にとっては、優れた耐水性と上々な装着感を併せ持ったMio Linkはもはや手放したくない存在で、余程信頼性の高いチェストタイプHRMストラップが出てこない限りもう戻りたくありません。他社のHRMストラップやセンサーがすぐ壊れるというのは私がムキになって洗い過ぎているせいもあるかもしれませんが、やっぱり汗臭いものをきちんと洗わず水洗いだけで放置しておくのは私にとっては耐え難いこと。壊れるから洗うのを控えろ、というのなら他の機能が多少覚束なくともガンガン洗ってもへこたれないMio Linkを支持します。
・おまけ
Mio LinkにはVeloというANT+ブリッジ機能を備えたバージョンもあります。具体的になにが違うかというと、Mio LinkはそもそもANT+とBluetoothでのデータ発信に対応していますが、Veloは他のANT+デバイス、例えばケイデンスセンサーやスピードセンサーなどが発信するANT+のデータも拾い上げて、スマートフォンなどへBluetoothで再発信できる、という機能がついているそうです。価格差はおよそ4,000円。Garmin EdgeなどANT+対応デバイスで各種測定を行っている場合は不要の機能ですが、ANT+のサイコンではなくスマートフォンアプリでスピード・ケイデンス測定をしたいならVeloが必要になる、ということです。スマートフォンに飛ばしたいのが心拍データだけならばVeloでなくともできるので、Veloはなにもかもスマートフォンで一元管理したい人向けということになります。
価格評価→★★★☆☆(Garmin Premium HRMの倍以上、耐久性とランニングコストで元を取りたいところ)
評 価→★★★★☆(細かな不満はあるものの、快適性に関してはかなり満足できる)
年 式→ 2014
カタログ重量→ S/M 29.7g、L 33.7g (実測重量 S/M 30g)