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CATEYE社の新作サイコン、スマートフォンと連携し、各種の情報を表示、ログを記録する「ストラーダスマート」です。
200km/10時間ほど使用したので、サイコン本体であるCC-RD500B、スピード/ケイデンスセンサーのISC-12、心拍計のHR-12をまとめて、同社のCC-RD400DWと比較する形でレビューさせて頂きます。
レビュー環境は下記の通りです。
・iPhone5s(docomo)
・iOS7.1.2
・CATEYE Cycling1.3.1
OSやアプリのバージョン次第で色々と異なるかもしれませんのでお含み置きください。
まず外見ですが、CC-RD400DWよりフラットでスクエアで、すっきりしています。表示面も若干広くなっています。表面処理は「さらっ」としていて、何度も取り落としそうになっています。CC-RD400DWは「ぺたっ」としているのでここは改悪でしょうか。
スピード/ケイデンスセンサーもコンパクトになりました。大きさよりも形ですっきりさせています。
CC-RD500Bにはサイコンと連携して使う「ミラーモード」と、サイコン抜きでCC-RD500BとISC-12とHR-12をリンクさせて、通常のサイコンと同じように使う「ダイレクトモード」の二種類の使い方があります。CC-RD500Bを買う人の大半はミラーモードで使うつもりだと思うのですが、余計な物を付けたくないレースの現場や、スマフォのバッテリーが乏しい状況でダイレクトモードが選べるのは安心感があります。
ミラーモードでは走行ログはスマフォ側のCATEYE Cyclingに保存されます。CC-RD500Bは「スマフォのCATEYE Cyclingの情報を表示するためのサブディスプレイ」という扱いになります。
ダイレクトモードでは、走行ログは一旦CC-RD500B本体に保存され、完了時にCATEYE Cyclingに転送されます。必要ならそこからさらにCATEYE AtlasやSTRAVAにログをアップ出来ますが、位置情報と標高はCC-RD500Bでは計測出来ないので、当然ログにも残りません。
電話の着信やメールの受信をサイコンに表示する機能もありますが、今のところ使っていません。iPhoneはステム上に設置しているのですぐに気付くのです。
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ストラーダシリーズ共通のClickTecはCC-RD500Bでも健在です。3年間使って数え切れないほどクリックして、さらに3回は洗濯機にかけてしまったCC-RD400DWと比べると圧倒的に固いです。アウトフロントブラケット(OF-100。未レビュー)では付け根から回ってしまいそうな不安を覚えます。クリックだけでなく、ブラケットに填めるのも固く、さらっとした表面処理もあって手から逃げていきそうになります。
CC-RD400DWでは各種の設定が非常に面倒でした。小さなサイコンの裏側の小さなボタンを押して、長押しして、また押して……とかなりうんざりする作業でしたが、CC-RD500BではスマフォのCATEYE Cyclingで設定し、転送するだけで完了します。比べ物にならない簡単さです。
CC-RD500Bで表示できる項目は下記の通りです。
よく使う項目とまったく使わない項目は人それぞれだと思いますが、基本的なところは抑えてある……ように見えて、痛すぎる欠点がありました。
・走行時間(Tm)
・現在値(速度、心拍、ケイデンス)
・標高(Alt)*ミラーモード時のみ
・走行距離(Dst)
・走行距離2(Dst2)*センサーダイレクトモード時のみ
・平均値(速度、心拍、ケイデンス)
・最大値(速度、心拍、ケイデンス)
・積算距離(Odo)
・時刻
・パワー
上段は「速度」「心拍」「ケイデンス」からひとつ、常時表示する項目を選びます。
下段はクリックで項目を切り替えるのですが、不要な項目は設定で非表示にして、飛ばすことができます。
CC-RD400DWではライド中に走行距離、走行距離2、時刻を頻繁に確認していました。他の項目は「なんとなく気になった」とか「走った後の振り返り」などで確かめるくらいだったので、「走行距離から1回クリックで走行距離2」「走行距離2から4回クリックで時刻」「時刻から3回クリックで走行距離」と無駄に多くのクリックが発生していました。CC-RD500Bではこの無駄クリックが非常に少なくなります。
しかし「走行時間」と「現在値」は非表示に出来ません。「現在値」はともかく、ライド中に「走行時間」を確認することがない(どう役立てていいのか分からない)ので、痒い所に手が届かない感じがします。
パワーにも走行時間、現在値と同様のチェックが入っているので非表示に出来ない雰囲気なのですが、対応機器を持っていないので、本当に飛ばせないのかは未確認です。
非表示に出来るのも痛し痒しで「なんとなく気になった」非表示項目はスマフォのCATEYE Cyclingで確認しなければなりません。
CC-RD500Bでは上段に心拍を常時表示させています。どう役立てるのかはまだきちんと考えていません。ただ単純に、いままで分からなかったことが目に見える数値になるのを楽しんでいます。
センサー類は他のハードやアプリでも使いまわせるはずです。私は心拍ゾーンの記録と振り返りにiPhoneアプリのPOLER Beat1.4.3を使っていますが、CATEYE Cyclingと同時に起動して問題なく使えています。
ただし、一度に複数のハードウェアとは接続出来ません。例えばセンサーダイレクトモードでCC-RD500BとHR-12をペアリングさせているとiPhoneのPOLER Beatでは心拍計がアクティブになりません。これはおそらくBluetoothの仕様だと思われます。
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センサーダイレクトモードで記録したサマリーデータと、CATEYE Cyclingで記録したGPSログを後でニコイチにして保存できれば良かったのですが、残念ながら出来ません。それぞれ別個のトリップとして記録されます。
なぜそんなことをしたいのか?
上記した通り、ミラーモードでは「走行距離2」が使えないからです。
全体の走行距離とは別に、ある区間での走行距離を確認するシチュエーションは多々あります。次に曲がる交差点までの距離だったり、ブルベでの次のPCまでに距離であったりしますが、そういう時にCC-RD400DWで「走行距離2」を多用していました。
センサーダイレクトモードでは走行距離2が使えるので、ニコイチにしたかったわけですが叶いませんでした。
CC-RD500Bでどう運用していくかは、次のブルベシーズンまでにじっくり考えます。
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CATEYE Cyclingのレビューでも指摘しましたが、獲得標高はダメダメです。100%完全に無意味です。が、これはCC-RD500BやCATEYE Cyclingの問題ではなく、iPhone5s側の問題(あるいは“仕様”か“制限”か“限界”)です。CATEYE CyclingはiPhone5sが獲得した情報を表示しているだけで、CC-RD500BはCATEYE Cyclingの情報を表示しているだけなんです!
と、擁護はしてみたものの、獲得標高が使い物にならないのは事実で、改善も難しそうです。少なくともiPhone5s環境では。
一度に表示出来る項目の少なさも気になる所です。CC-RD400DWと変わりはないのですが、獲得出来る情報が増えた分、一目で把握できないのがもどかしくなります。必要ない項目を非表示にすれば少ないクリックで確認出来るのですが、クリックが物理的に重たいので億劫です。
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まだ使い込んでいないので、ファーストインプレッションとして読んでください。
「ストラーダスマート」として手堅くまとまっています。
表示項目が少ないのも、バックライトがないのも、ゾーンが設定できないのも、すべてストラーダシリーズとしては標準です。別の言い方をすると「V3Nスマート」ではない、ということです。
全部載せのハイエンドではなくボリュームゾーンに新しいコンセプトのモデルを投入したのは、今後の報告性を占う観測気球のようなものなのかもしれません。
肝となるのはCATEYE Cyclingのサポートとアップデートです。レビュー執筆時点ではiPhone6及びiOS8への対応は検証中となっています。この検証と、必要ならアップデートをどのくらい迅速に行うのか(あるいは行わないのか)が試金石となるでしょう。
CC-RD400DWは非常に堅牢でした。落としても、洗濯しても、びくともせずに動作してくれています。CC-RD500Bがどれくらい頑丈なのか、さすがにテストするつもりはありませんが、なんらかのアクシデントで心ならずも検証する羽目になったら追記したいと思います。
ミラーモードに走行距離2がないのが致命的に痛いので★ひとつ減です。アプリのアップデートで対応してくれることを切に願います。
価格評価→★★★★★(頂き物なので)
評 価→★★★☆☆(ソフトのサポート体制とハードの耐久性を見極めたい)