購入価格: ¥7,350 (税込)
標準価格: ¥6,480 (税込) ※後継のNEOS BLACKの価格
『高機能だが操作性が悪く、スムーズに使うのが困難。基本的なデータを見るだけなら比較的快適に使える』
■ 高機能なANT+対応サイコン
「GIANT NEOS PRO」は、ANT+に対応したサイコンだ。販売当時は、上位車種の埋め込み式ANT+センサー「RIDESENSE」にも対応する多機能なサイコンという位置付けだった。2016年現在は「NEOS BLACK」という後継機が販売されており、ユーザーズマニュアルを見るかぎりでは、NEOS PROと同じ仕様のようだ。
私はNEOS PROを約4年間使い、先月新しいサイコンに買い替えた。NEOS PROのレビューは以前も投稿したが、まとめとしてもう少し詳しく使い勝手を書いてみようと考えた。このサイコンのメリットとデミリットは以下のとおりだ。
GIANT NEOS PRO ※エクステンションマウントは塗装済み
■ メリット
●走行中に接続が途切れない
NEOS PROの最大のメリットは、走行中に接続が途切れないことだ。このサイコンにはデメリットも多数あるが、私がこれまで使い続けることができたのは、ANT+の安定した接続のおかげだ。特に接続が不安定なアナログワイヤレス式のサイコンと比べると感動できるレベルだ。
●表示が大きくて見やすい
上段表示データには走行速度が表示される。これが大きくてとても見やすい。さまざまなデータを切り替えて表示できる中段・下段表示データも、パッと見て把握するのに十分な大きさだ。
●エクステンションマウントでさらに見やすくなる
NEOS PROにはエクステンションマウント(いわゆるアウトフロントマウント)が付属する。サイコンをステムの前方にマウントすることで目線の移動が少なくなって、画面を確認しやすくなる。同時に安全性にも貢献する。
●マウント部の耐久性が高い
4年間で何度も着脱を繰り返したにもかかわらず、レバーが折れたりガタが生じたりすることなく快適に使えた。
●ANT+の各種センサーに対応
NEOS PROは多機能なサイコンだが、中でもケイデンスセンサーと心拍計に対応するのがうれしい。これらのセンサーのおかげで、長時間走行する際にペースを保ちやすくなった。ちなみにパワーセンサーにも対応する。サイコンを買い替える際にも、ANT+のセンサーは引き継ぐことができるのも良い点だ。
●低価格
GIANTらしい低価格もNEOS PROの魅力だ。いくつか気になる点はあるものの、走行中の安定した接続や各種センサーへの対応を考えれば、コストパフォーマンスは高いといえる。
特に速度が大きくて見やすい(左)、アナログワイヤレスのAXACT PRO+よりも快適に使える(右)
■ デメリット
●スリープ解除後の接続が不安定
NEOS PROのスリープモードが解除されると、画面の表示が「SLEEP」から「SEARCIHG」になってセンサーの検索を開始する。センサーの検索の最長時間は30秒だが、それ以上の時間が経っても各種センサーにつながらないことも多い。つまり、一度接続されれば途切れないが、接続までに時間がかかることがある。
センサーがつながらずに検索を終えた場合は、バイクデータを1から2に切り替えたり、スリープボタンとELボタンを同時に長押ししてセンサーを検索したりすれば対処できる。やっかいなのは「SERCHING」のままフリーズした場合で、この場合は電池を入れ直す必要がある。
●バッテリーの消費が早い
NEOS PROには電源ボタンがなく、各種センサーが5分以上スリープすると、NEOS PROもスリープモードに移行する。スリープモードはクランクを少し動かすだけで解除されるが、クランクを回し続けないと画面が「SERCHING」のまま検索を続けてしまう。
つまり、自転車を室内保管するとスリープと検索を繰り返すことになり、無駄にバッテリーを消費する原因になる。最悪の場合、約1カ月半くらいでバッテリーを交換したこともあった。この点はNEOS PROをマウントから外し、センサーから遠い位置に保管することで対処できる。
●画面の一部がごくまれに消える
画面の表示の一部が表示されないことが3〜4回くらいあった。速度以外の表示が消えたり、速度しか表示されないといった感じだ。これは本体背面のACボタンを押して、工場出荷時の状態に初期化すれば元に戻る。だが、当然ながらデータは戻らない。
●Macには未対応
別売りの「PC-LINK DOCKING FOR NEOS PRO」を使えば、走行後のデータを取り込んだり、NEOS PROの設定をバックアップできるようになる。動作が不安定なNEOS PROに必須のアクセサリーだが、残念なことにMacには対応していない。
Windows環境(MacならBoot Campや仮想デスクトップ)がない場合、不意のデータの消失に備えて、総走行距離等の累積データを手書きでメモしなけらばならない。また、走行後の各データを専用ソフトで見直すことができなければ、多機能なNEOS PROの魅力も半減する。
●表示データの切り替えに時間がかかる
NEOS PROは多機能だが、その分何度もボタンを押して表示データを切り替える必要がある。中段表示データを切り替えるにはボタンを5回、下段表示データは9回も押さなければならない。しかも、センサーの数によっては押す回数が増える。
「オートスキャン(自動スクロール)」があれば、表示データを素早く切り替えられるのだが、NEOS PROには搭載されていない。表示データのカスタムも中段・下段表示データの2つだけで、それ以上増やすことはできない。
●バイクデータの切り替えにも時間がかかる
本体右下のSボタンを長押しすれば、表示データがどのモードでも走行データをリセットできる。だが、バイクデータの表示切り替えには、下段表示データの「平均速度の表示画面」で本体左下のMボタンを押さなければならない。前述したとおり、下段表示データの切り替えるのに何度もボタンを押すのは面倒だ。
●毎回のストップウォッチモードのON/OFFが面倒
NEOS PROはセンサーの検索が終わるたびに、「RECORD STP?」と表示され、ストップウォッチモードのON/OFFを選ばなければならない。いわゆるラップデータを取るかどうかを走る前に選ぶわけだが、早く出発したいときにこの操作はストレスだ。しかも、RECORD STP?」の表示のまま走りだすことも多かった。ラップデータの取得の有無は、走行前ではなく設定画面で行うべきことだと思う。
●入手性が悪い
GIANT製品は通信販売で手に入れることができない。GIANTのサイコンはCATEYE等に比べるとマイナーであり、実店舗で確実に手に入るとはかぎらない。NEOSシリーズのアクセサリーも同様だ。GIANTストアならすぐに手に入る可能性が高いが、エクステンションマウントは取り寄せに2カ月もかかった。
NEOSシリーズはマイナーなサイコンゆえ、いつまで販売されるかわからない。販売終了後は、エクステンションマウント等のアクセサリの入手がますます困難になるだろう。だから、破損や紛失には十分気をつけなければならない。
入手に約2カ月かかったエクステンションマウント
■ 基本的なデータを見るだけなら快適
NEOS PROはGIANTの最初のANT+対応サイコンということもあって、動作が不安定で作り込みにも甘い部分がある。従来のサイコンのUIのまま高機能にしたためにボタンを押す回数が多くなり、お世辞にも操作性が良いとはいえない。
速度・走行距離・ケイデンス・心拍数などの基本的なデータを見るだけなら、比較的快適に使える。使い勝手が悪い部分はあるが、ボタンを頻繁に押す必要はなくなり、走行中に電波が途切れないANT+の良さを満喫できる。
2016年現在、GIANTはNEOS SYNCとCONTINUUM SYNCというANT+対応サイコンもラインアップしている。これらのサイコンに比べると、後継機のNEOS BLACKの仕様は古いと言わざるを得ない。だから、NEOS BLACKに買い替えるかどうかは、慎重に検討したほうがいい。
価格評価→★★★☆☆ (ANT+対応サイコンの中では安価)
評 価→★★★☆☆ (4年も使えて満足しているが、わずかな使い勝手の悪さによるストレスが蓄積した分マイナス)
<オプション>
年 式→2012年
カタログ重量→34g