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馬鹿野郎!
ひさしぶりにサイコン、GPSのレビューを漁ってみれば、
どいつもこいつも「道に迷った」だの「方向音痴の俺にはGPSは必須」だの軟弱なコメントばかりしやがって!
自転車乗りでありながら、ちょっと走るコースを間違えたくらいでうろたえるとは何事だ!
自転車乗りたるもの『新しいコースを開拓したった!』くらいの気概があるべきなんだよ!
かく言う俺にも、通勤初日で桜坂に行くつもりが春日に着いてしまったり、
唐津を目指していたはずなのに気がついたら久留米をさまよっていたりするなど少なからず前科があるんだ。
どうやらここは俺の体験談を話さなければ納得は得られないだろうな・・・
あれは俺がLOOK 586 UDを購入した頃のことだ。
俺はショップで常連たちとサイコン談議に花を咲かせていた。
最近、俺の行きつけのショップではGPSで取った走行ログを「STRAVA」というSNSで走行データを共有し、
決められた区間のタイムを競うのが流行していた。
たまたまその場に居合わせた謎の客の得意げな声がこだまする。
「ガハハハハハ!やっとKOMをひとつ獲ったんですよ。嬉しいなぁ」※1
KOM、だと・・・?
どうやら黙っているわけには行かないようだな・・・
現状では俺は話題についていけないのでそそくさと俺はショップをフェイドアウトし、
その夜はSTRAVAとやらを検索し、アカウントを登録し、近所の有名ヒルクライムスポットを検索することにした。
デヤァーーーッ!
俺の気合が真夜中のディスプレイにこだまする。
登録は簡単。
facebookのアカウントを持っている人はワンタッチで終了。
そうでなくても、メールアドレスとパスワードを設定する、普通の登録方法でも可だ。
did you know?
直訳すると「ねぇ、知ってた?」豆しばのようなstravaからのメッセージがこだまする。
登録が終了し、uploadのボタンを押すと、edge500内に入っていた過去の走行ログが自動的にアップロードされる。※2
ただし、edge側で手動で消去したログはuploadされないので注意が必要だ。
次々と検索される近所のコースのリザルトに俺の意識は一喜一憂となった。
俺「フハハハハハ!どうやら白糸TTでは敵なしのようだな!」
「何・・・?桜坂を3分6秒、俺より速いヒルクライムをしている、だと・・・?」
ふと見ると、桜坂の近くに、見慣れぬコースの名前が目についた。
俺「『赤い豆の木』か。どうやらなかなかセンスあるネーミングのコースだな。行ってみるか。」
翌日、退勤後。
俺はまだ見ぬ「赤い豆の木」を求めて、都市高下を一路東へ向かった。
今日は通勤バイクなのでRNC7。
スピードはGPSで検出してくれるので、マグネットなどは必要ない。
購入時に2つ付属のバイクマウントをつけておけば、edge500のみポン付けで使いまわしがきくので、まことに便利である。
強いて面倒を上げれば、今乗っている自転車を「586 UD」から「RNC7」に切り替えることくらいなのだが、
それさえも積算距離を自転車別に計算したいのでなければしなくてもよい。
strava上のデータであれば、あとでPCから入力しなおすことも可能である。
edge500「heading SE」
edge500の方角表示が小さなディスプレイにこだまする。
初めて通る道では必ず迷子になる俺にとって 方角表示してくれるのは非常に心強い。
確かにディスプレイは小さいが、8分割まで何分割して何を表示するか自由に選べるし、
「レース中に見たい画面」「今日のここまでのアベレージを見たい画面」
などと複数セッティングしておき、ワンタッチで画面切り替えも可能だ。
難なく目的地周辺に到着した。
どうやらここが上り口のようだな・・・
デヤァーーッ!
平尾中学校前に俺の気合がこだまする。
傾斜が0%になったあたりでストップボタンを押した。※3
どうだ・・・初見ながら、どうやらなかなかいいペース配分で走れたようだな・・・
KOMは獲れたのだろうか?
スマホなどの手段でその場でアップロードできない俺は、不安と期待でそわそわしながら帰宅の途に就いた。
しかし「赤い豆の木」に俺のリザルトは表示されていない。
「馬鹿な・・・どうやらコースを間違えたというのか・・・」
その瞬間、ディスプレイの向こうにいた謎のフォロワーの上腕二頭筋が荒々しく隆起し、俺に落雷のようなダイレクトメッセージを叩き込んだ。
「馬鹿野郎!もうちょっと東!」
薄れ行く意識の中で次に届いたこんなメッセージが心に残っている。
「つよし、『新しいコースを開拓したった』くらいに思っておけばいいのじゃよ」
あなたはもしや・・・死に別れたおじいちゃん?
俺がその問いを発するより前に、謎のフォロワーはオフラインになっていた。
俺は悟った。
stravaなどでタイムを競う行為は、はいわば「自分自身をコントローラーとしたゲーム」的側面があり、
それはモチベーションの高揚に効果があるのだが、それが目的化しては危険であること。
そしてGPSは方向音痴の根本的解決にはならないと―――
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【要点をまとめます】
GPSおよびサイコンでできそうなこと、できてほしいことは考えうる限りすべてできる優秀なGPSサイコンである。
私が購入したセットには、バイクマウント2つ、心拍センサー、ケイデンスセンサーとマグネット、スピード計測用マグネットが付属。
全部セットで使ってもよいし、部分的に使ってもよいし、全く使わなくてもよい。
全く使わない場合は、GPSでできる機能だけが使用できることになる。
ちなみに私は、586 UDにケイデンス・速度センサーを付けて全部入りで使用。
RNC7はGPSでできる機能+心拍計(通勤時は心拍計はつけない)で運用している。
ANT+対応のパワーメータ―を持っていれば、それから送信されるデータを表示できる。
精度、エラーについて・・・
GPSの精度は「平地では」おおむね正確で、ホイールにつけたマグネットで計測したものと速度・距離ともにほぼ狂いはない。
ただし山の中(とくに木立の陰が苦手っぽい)、勾配の急な坂では速度表示などに狂いが生じることがある。
トンネルをくぐると、走ったコースがおかしなことになっている。そういった状況でも正確を期す場合は、ホイールマグネットから速度を拾おう。
方角は正確。
高度、勾配は多少誤差あり。
気圧、気温の変化によりおかしな数値を出すこともある。
気温の変化を参考にしているので、朝、寒い中を通勤→取り外して、職場のデスクの引き出しへ→夜、温かい室内から外へ などとやると、
帰宅スタート時に「高度 -50m」などと表示されていることがある。どこだよその海底王国は。
その場合、しばらく走っていると、何らかのタイミングで0mに戻っていることがある。
また、計測を一度リセットすると、その場で0mに戻る。
これらを理解しておけば、実用上問題はないレベルである。
気温は当てにならない。
直射日光に当たっていると50度を超えていることも。
屋外、日なたで使うことの多い自転車用途では、正確に気温を測定するのは難しいのだろう。
GPSゆえエラーもある。
ときには海を越えて遠いパラオまで飛んでしまうこともありうる。
すると、こうなる。
やっぱRNC7スゲー。海も越えれるし2877.6km/hで巡航できる。
どうやらこれ一発で年間走行距離とか平均速度とかメタメタになってしまうようだな・・・
まぁそこまで気にすることもなくネタとして楽しめば良いかと。
電池について・・・
マニュアルによると「満充電で18時間ほど」の使用時間らしい(満充電からゼロになるまで使ったことがないので伝聞形)。
実際に私が使った限りでは、週末、4時間ほどのトレーニング×2(その間充電せず)で電池残量は「50%」になっているので、だいたい合ってる。
ケイデンス・速度センサーの電池(よくある入手性の良いボタン電池CR2032)の寿命は、約1年(走行距離5000km程度)。
心拍センサーの電池(これもCR2032)の寿命は約1年が経過したが、まだ尽きていない。長いな・・・
ちなみにEDGE500本体にはリチウムイオン電池が内蔵されていて、利便性を度外視してバッテリーを長持ちさせるなら
「電池残量50%を超えないようにして運用する」「長期保管するときは電池残量20%くらいで」が良いらしい。
反対に、電池残量が多い状態で頻繁に充電するのが最もよろしくないのだとか。
バイクマウントについて・・・
2つ付属しているのがありがたい。
ちょっと丈夫な輪ゴムでステムやハンドルにとめる。
質実剛健というか、必要十分というか・・・所有欲が満たされる類のものでは全くない。
しかししっかりと固定されていて、落としたことはもちろん、落ちそうな不安を感じたこともない。
約1年が経過したが輪ゴムの劣化などもなく、耐久性を含めて優秀といってよいだろう。
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総じて、サイコンとしては高価だが、それだけの価値はある。
ケイデンスが表示されないのに目をつぶれば、手持ちの自転車すべてをこれ一台でカバーすることもできる(というかかなりそれがおすすめ)。
ポケットに入れてジョギング用途に使うことも可能。
ケイデンス・スピードセンサー、心拍センサーのみを買い増しすることもできる。
最後に、今の私が「買ってよかった」と思える点を3つ。
・サイコンとして高性能
サイコンとしての基本性能がしっかりしているのはもちろん、高度、勾配、方角など、GPSならではの情報は走る上で貴重。
ヒルクライムレースでも有力な武器。
・自転車複数台(サイコン複数台)状況下で走行データを手動(exel)で管理していたのだが、その煩わしさから解放された。
・stravaなどのsnsを利用することによるモチベーションの高揚。
それを通して走る仲間もできた。
※1
KOM・・・king of mountainの意。
stravaでは地図上のあちこちに設定された区間があり、
garmin edge 500 などGPSのデータを入力すると自分の区間タイム、速度、心拍、ケイデンス、パワー・・・等が表示される。
その区間を走った無数の自転車乗りのうち、最も区間タイムが速かった者に「KOM」の称号が与えられるという仕組みだ。
なお、この区間は自分で設定することもできる。
※2
edge500本体内にログがたまってくると、アップロードにかかる時間が長くなる。
ゆえに、ある程度で本体のログを消去しなければならないのだが、
私が使っているファームウェアのバージョン(3.0)では、一個ずつ手動消去するのがうまくいかない。
(表題だけは消えているのだが、中身は残っているっぽい?)
となると、「全消去」となるのだが、なかなかそれに踏み切れずにいる・・・
通勤とかはどうでもいいので全部消しちゃっていいのだが、レース時とかコースレコード達成時とかのログは残したい。
strava、garmin connect などにアップロードしておけば、
あのちっこいディスプレイの本体でログを見ることはない、とわかってはいるんだけども・・・
※3
stravaの区間タイム計測はスタート地点・ゴール地点を通過すると自動的に計測されるので文中で私がしたような
「ストップウォッチのオン・オフ」操作は必要ない。
また、それは逆を言えば、途中で休憩をはさむと異様に長い時間を要したことになる(休憩時間も時間の加算はストップされない)ことを意味する。
また、勾配などそのあたりの土地的な雰囲気から勝手に「ゴール!」と思い込んで足をゆるめると、実はゴールはもうちょっと先だった、
というちょっと悔しい事態も起こりうる。
価格評価→★★★★☆(高価だがそれに見合う性能)
評 価→★★★★★(もはやこれを避ける理由が見つからない)
wiggleの梱包。
しっかりしたものでした。