購入価格 ¥36800-(税抜き、今売れる商品を値引きして売る店舗はないと思われ)
パイオニア、SGX-CA600。
前作CA500から丸五年、モデルチェンジを果たしたこの商品、概要並びに詳しい商品レビューは8440氏が詳細に行っているし、今更「OSMが~」とか書いても仕方ない。
かといって実戦投入で600km同じように走って、その上で使い勝手の話を書けるか?というと、そんな技量も持ち合わせてない。
なので、何か違う切り口で…と言う事で、重箱の隅をつつく?様な話を挙げさせて頂こうと思う。
箱を開けてCA600の電源を入れると早速QRコードが出てくる。
読み込ませるとパイオニアの専用アプリ「Cyclo Sphere Control」をインストールするところから始まるのだが、CA600自体で設定できることはごくわずか。
全てはこの専用アプリで操作、設定する形となる…のだけど、ちょ~っとばかり「慣れ」が必要なようにも感じた。
家電の世界でもパイオニアは昔からそうなのだけど、「職人気質」と言おうか、やたらと設定が細かい。(今はパイオニアでも部署が違うがAVアンプ、BDプレーヤーなんかは特にそう)
CA500はペダリングモニターセンサーとして非常に優れた機種だったが、CA600でもそれは健在。
設定画面をアプリで開くと、ま~その細かさたるや。
自分の様な初級サイクリストにち~っとばかり毛の生えた様な、あえて言うならサイクリストの思春期の人間には到底理解できない設定項目が並ぶ。
これは良い事でもあるし悪い所でもあるのだが、パイオニアの拘りなのだろうが例えば語句一つとってみても「ロギング」と書いてあって。
ロギングって機械用語じゃん!因みにロギングとは「機械等の記録を残す事」なのだけど、つまりログを残す、でロギング。
ってか「開始」とか「スタート」でいいんだよここは!
まあ、これが無くなるとパイオニアではなくなってしまうのかもしれないし、海外ではロギングと言う方が主流なのかもしれないので、見なかったことにする。
データフィールドの項目と内容は変更可能。
項目は最小3つから最大15まで。ただ、15も項目を作ると細かすぎて何がなんやら、これを使用する人が果たしているのか。
ページ数を最高10ページまで拡張できる(と、言うか始めから10ページある)ので、データフィールドの項目を1~2ページでまとめた方がしっくりくると思う。
ただ、この項目を増やす、もしくは減らす設定なのだが、項目のデータフィールド画面がはっきり言って好みのデザインがない。
サンプルページから選択、もしくは内容自体を入れなおすカスタマイズの二種あるが、できるならデータフィールド画面自体をカスタマイズさせて欲しかった。
さて。
とりあえず比較するためにiGPSPORTの低価格GPSサイコン、例のポンプならぬ「例のサイコン」で静かなブームが訪れつつある…と勝手に触れ回ってる「iGS618」と二台同時に使用してみた。CA600を所有している人はいくらでもいるだろうが、iGS618と同時に使用したのは自分だけだろうて。
(iGS618レビューページ :
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=16405&forum=85)実際に50km程使用してみての感想なのだが、「画面の視認性ならびにナビの画面は非常に見やすい」。
写真を見てもらえば一目瞭然だろうが、圧倒的にCA600の視認性の良さが素晴らしい。(常時点灯、明るさは一番最小の「1」に設定)
これは液晶の質もあるだろうし画面の色使いもあるだろう。
このあたりは流石にカーナビで慣らしたパイオニアの面目躍如と言うべきか。
設定したコースは緑色で道の色が示されて、もし設定していないコースに入ったりすると即座に「コースアウト」と言う表示と共に、電子音での短い警告音が流れる。
リルートの機能があれば言う事ないが、十分な機能だと思う。
設定したゴール画面に近づくと軽快な電子音と共に画面には「ゴール」の文字。
心憎い配慮だ。
ナビ画面は50m~50kmまで倍率を変える事が可能。
ただ、断言できるが絶対に50kmは使用しない。50kmで使用すると俯瞰すぎて何がなんやら。わしゃ人工衛星か。
実際に使用する倍率は100~200m程度かと思われるのと、ナビのページ数をはじめから二枚用意して100mのページ、200mのページ別々に切り替えた方が楽だと思う。
走行データに関してはスマホ経由並びに家庭内のWiFiでCyclo Sphereに転送、Cyclo SphereのHPよりデータ解析並びにSTRAVA、Twitter等に投稿する事が可能。
が、筆者のWiFiの速度にもよるかもしれないが、Cyclo Sphereの転送はともかく、STRAVAとTwitterの投稿が遅い遅い。
無線という事も関係しているかもしれないが、PC上で投稿ボタンを押してトイレでお花を摘んで戻って来てもまだ投稿されてない。「え、俺何か操作間違えた?」と思ったくらいだ。
で、ここまで書くと「パイオニア、機能的に色々あるかもしれないけれど、今回はそれでもそつのない造りで攻めてきたね」とお思いだろう。
だが!
駄菓子菓子!(誤字)
今回比較したiGS618が優れている点が一つある。
ルートに関しては今回ルートラボから落とし込んだが、二つのサイコンが並んだ画面でも分かるように「ルートラボから落とし込んだルートでもiGP618は主要道路に関しては1km前からピープ音、矢印と共に左右の方向を支持してくれる」と言うところ。これはデカい。
CA600に関しては8440氏が書かれているように「Ride with GPS」にてルートを作成してアプリ経由でダウンロードすると、右左折するポイントになるとポップアップ画面や、画面上にキューシートまで表示できるのだが、ことルートラボからのデータを利用すると、キューシートはおろか方向の指示なんぞしやしない。
なので、そこに関してはiGS618凄い。たとえバグがあって、ノースアップの項のチェックを外しても地図上では変わらなくても、そこだけは今の時点ではCA600に勝っている。
パイオニアのこの機種は日本だけではなく世界で発売するであろう機種、…ってかもう発売してるのか。
世界的にマーケットシェアを考えた場合に「ルートラボ」よりも「Ride With GPS」に対応させた方が得策だろう。それはわかる、良く分かる。
だけど、パイオニアの技術があればルートラボからでもポップアップの一つくらいできるだろうよ。なぜやらないパイオニア。
「いや、Ride With GPS使えよ」と言う話なのかもしれないが、日本ではルートラボが主流を占めている昨今、多くのロングライドイベントやブルベのコース案内でもルートラボが使われている。
ガジェットの機能としての選択肢の広さはそれだけ遊びの幅にもつながる。
ここは是非とも今後のアップデートで対応してほしい所だ。
余談だが、パイオニアとアメリカのメーカーWahooは現在協力体制にあり、このCA600とWahooのWahoo EREMNTは形こそ違えぞ機能的によく似た機種となっている。
パイオニアは「全く違います、私どもの独自設計です」と見解を示すだろうが、世間はそうは見ていない。
「Ride With GPS」に関してはWahoo側の意見が強かったのではないかと思ってしまう。
(WahooEREMNTは何から何まで全てアプリ経由での設定、コースのダウンロード(転送)もアプリ経由だが、CA600はPCと接続するとデバイスとして認識し、前述のRide With GPSやSTRAVA、ルートラボのコースファイルをCA600に保存できる。ここはよくぞ残してくれたと思う)
SGX-CA600はサイコン、ペダリングモニターとしてのブラッシュアップに留まらず、GPSナビとしても他社に引けを取らない機種に仕上がっている事は確か。
ただ、それだけに「かゆい所にもう0.5cm程届かない」仕様が惜しい。
今後のアップデートに期待したいと思う。
価格評価→★★★★☆(←ガーミンの牙城を崩せるか?)
評 価→★★★★☆(←最終的な評価を下すのは時期尚早)
<オプション>
年 式→ 2019
カタログ重量→ 92g