購入価格 ¥700
ロードレースには参加したことがない私でさえつい毎号買ってしまうほどおもしろい雑誌、情熱のサイクリスト・マガジン「BICYCLE21」。私の目当ては、伝説の自転車選手・三浦恭資の文章だ。連載「男なら勝負しろ」だけでなく、謎の多いサプリメント「ウィグライ・プロ」への特別寄稿文章が最高におもしろい。
先月もまた、私は「ウィグライ・プロ」の広告から読み始めた。
「12月後半、沖縄に集合した若き獅子たち。クリスマスも正月も関係ない。練習漬けの毎日が始まった。俺は自転車愛好家ではない。選手はそのことを知っている。俺は戦える選手を養成するためにこのような機会を作ったのである。」
これを読んでまず、バリバリの自転車愛好家である私はギクッとする。まるで三浦恭資が、見ず知らずの私に遠くから喝を飛ばしているような錯覚に捕われる。彼はひょっとしたらエスパーなのではないか。練習などせずに金属パーツの美しさにうつつを抜かしている私に「お前それで本当にいいのか」と語りかけているのではないか。「お前花粉症気味とか言って、本当は練習をサボりたいだけじゃないのか。違うのか。」なんだか悔しくなってくる。
「俺の組み立てる練習は普通じゃない。当然、暖かい所で楽しいサイクリングなんてものはない。」
ここまで読むと確信はさらに強まる。俺は暖かい所で楽しいサイクリングをするのが好きだ。というか寒い所で辛いサイクリングなどできればしたくない。しかし何故だろう、俺は三浦恭資の文章に強く惹きつけられてしまう。そういえば一人称が「私」から「俺」に変わってしまっている。三浦恭資は私の内なる野生を呼び覚まし、「私」を「俺」に変貌させるのだ。
「当然、弱い選手は容赦なく振るい落とされ、自分の情けなさだけが心に響き渡る。」
三浦は間違いなくエスパーだ。このあいだ、俺が向かい風の中で時速25km/hを維持できなかったことを奴は知っている。
「・・・筋肉が破壊されても動き続ける能力を鍛え上げていく。その筋肉をリカバリーしてくれるのが「ウィグライ・プロ」。激しく走るためには必要不可欠なサプリメントである。」
そうだ、「ウィグライ・プロ」を飲めば、俺も変われるかもしれない。ポタリングなどとというぬるま湯の世界から、厳しい勝負の世界へと身を投げられるかもしれない。そうだ、「ウィグライ・プロ」だ。「ウィグライ・プロ」を買わなければ・・・
サプリメントに限らず、自転車フレームであれ、ホイールであれタイヤであれ、三浦恭資が「特別寄稿」した途端、それは絶対に必要な何かに思えてくるに違いない。三浦氏の情熱がほとばしる文章にはそんな不思議な力がある。私はこれからも、ウィグライ・プロの広告と「男なら勝負しろ」を読み続けるためだけに、BICYCLE21を買い続けるつもりである。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★