BLUE GIANT(に登場する自転車シーン)小学館刊 石塚真一著
※本件は、一度、単行本を撮影した画像を用いてレビューに用いておりました。 しかし、この方法では著作権者にご迷惑をおかけする場合もあるだろうと判断し、画像を用いずに再投稿いたします。
購入価格:¥2,492(1〜3巻は各108円、4〜8巻を各360円。9巻368円)
著者 : 石塚真一
定価 : 552~600円(税抜)
発行 : 小学館(BIG COMICS SPECIAL)
発行日: 2013年12月4日(1巻)~2017年3月15日(10巻)
「ジャズマンガの主人公の重要な気持ちの変化、環境の変化を現す重要な小道具を自転車が担っている。エモーショナルバイク」。
「坂道のアポロン(小玉ユキ著。小学館 フラワーコミックス)」を読み、ジャズに少し興味はあったのだ。
現在、金沢に勤務しているが、最低でも月に一度、福井方面への出張がある。
昼前後に打ち合わせが入ることが増えたのだが、社内の先輩に「不愛想なマスターがいるカレーのうまい喫茶店」を教えていただいた。
行ってみると、そこはジャズが流れる喫茶店で、チキンカレーが実にうまいのだが、不愛想(実はそうではなかったが)なマスターはマンガ好きで、その膨大なコレクションが店内にあふれているのだ。
その店で出会った、このBLUE GIANTは、独学でテナーサックスを毎日練習している主人公、宮本大(みやもと だい)が、世界一のジャズプレーヤーを目指す物語だ。
読んでみて、音が溢れて聞こえてくるような画に圧倒されるとともに、随所での自転車の描写が印象的だった。
大は、高校3年生で経済的に裕福でもなく、日常の足は、自転車。
それも、ロードバイクやマウンテンバイク、クロスバイクでもなく、所謂、ママチャリ、軽快車だ。
物語の冒頭は、川原でのテナーサックスの練習シーンに続き、自転車で疾走する登校のシーンだ。
(画像)
※ここでヘッドフォンをしている点については、スルーしていただきたい。
※このシーン以降、大がヘッドフォンをして自転車に乗るシーンが描かれることは、ない。
※私自身は、ヘッドフォン、イヤフォンをして自転車に乗ることを推奨する気は皆無だが、「音楽が好き」であることを表現したいという意思は見ることができる。
次に印象的なのは、バスケットボール部最後の試合を「負け」で終了し、部を引退した次のシーンだ。
大は、バスケトボールではこれ以上上に行けないと見切りを付ける一方、音楽に、ジャズに希望を見出す。
(画像)
その気持ちの切り替えが、自転車の疾走として表わされている。
次は、雨が降り、いつもの川原でサックスの練習ができない時だ。
楽器店でサックス用のリードを買うにあたり、店主に練習できる場所を聞いた、大。
そこは、陸上部のエースも自転車で上り切れなかった坂の上にある。
(画像) 苦しく、足を付きたくなる坂を上り切る。
一日も欠かさず練習を続ける。 (画像) その場にたどりつく。
これが、次のステップなのだろうか。
独学でサックスを吹き続けていた大は、指導者を得る。 正しい吹き方、技術を覚える。 サックスを吹くのが楽しい。 今まで好き勝手に吹いていたが、初めて系統だてた技術を習う。 そこを覚え、一つずつステップを上がって行くのを実感している。
(画像)
早く次のステップへ行きたい、そんな気持ちが現れている。
今度は、疾走でも、ヒルクライムでもない。
荷台に座布団を括り付け、水泳部の三輪さんを乗せ、坂の上の公園に連れて行く。
(画像)
好きな人を乗せ、ゆっくりと、高校を出たらどうしたいのか将来を重い、語りながら、坂を上る。
※ここでも、2人乗りだなんて、というご指摘はあるかと思いますが、スルー願います。
いつもは、焦りや次のステップへの渇望の表れとしての自転車の疾走が、打って変わってのどかな場面。
それでありつつ、坂を上る。 楽しくありながら、力を込めねば越えられぬ坂。
二人の仲がどうなるのだろう。 今はいいけど前途多難なのかも知れない。
次のシーンでは、大の兄の家への疾走。
ジャズプレーヤーになりたい。 そのためにしたいこと。 その決心を、もっとも信頼する兄に伝えたくて、走る。
(画像)
大は高校卒業後、東京へ出る。
衝撃的な出会いを得て、バンドを結成する。
俺様で超絶技巧のピアニストと、ドラムス初心者。 そのドラムス初心者の成長を目の当たりに感じ取り、大は興奮する。
(画像)
東京で初めて迎える年越し。
年越しでのサックスの練習に向かう道すがら、チェーンが切れる。
(画像)
大晦日。 自転車屋は閉まっている。 チェーンの切れた自転車を、大は押して進む。
このシーンがあったのが8巻。 この作品は10巻で一旦完結し、BLUE GIANT SUPREMEとして再開するが、このチェーン切れを最後に自転車が登場しないのは残念だ。
しかし、音のしない紙面からサックスの音が聞こえてくる、この作品において、自転車がエモーショナルなシーンの重要な小道具として、大のサクソフォンに次ぐ相棒として描かれているのが嬉しく、このcbnで伝えたかったのだ。
価格評価→★★★★★ 評 価→★★★★★ <オプション> 年 式→2013年〜2017年
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