LONG RIDERS 3.75
購入価格 ¥1,000(やっちゃばフェス)
ロングライド専門の自転車同人誌、LONG RIDERSの新刊です。今号はAb氏による海外遠征ブルベの特集号。イラストやデザインなどは他の人なので実態は違うのですが「個人誌」という懐かしい言葉を思い出します。
レポートされる海外での1000kmオーバーのブルベは5本(内3本は再録)。エクストリームの極みとも言える凄まじい内容です。そのため、番外編として掲載されている台湾200kmがいとも容易く行われたと錯覚してしまうほどです。
距離に伴う苦労はもちろんですが、海外の、よくいえばおおらかな運営やお国柄に悩まされる様は、国内ブルベのレポートとは違った味わいがあります。 海外で1000kmを越えて走る。レビュワー個人はこんなシチュエーションとは完全に無縁です。歴史上の出来事と同じくらい手が届かない話、というのが正直な気持ちですが、それでも、描かれている疲れや不安、そして喜びには強い共感を抱きます。
ロングライダースのレギュラーライター陣の記事には、特定の絵師がイラストを添える事が多く、ビジュアルイメージの統一に一役買っています(例えば、CBNレビュワーでもあるbaru氏の記事は、すべて武蔵屋長元坊氏がイラストを描いています)。 Ab氏の記事は逆に、すべての記事で別のイラストレーターとなっています。内容と語り口調で他の記事との区別は容易ですが、それでも“不統一”を不思議に思っていました。こうして一冊に纏まると、イラストレーターが統一されていない事がうまく働いて、適当に開いたページでもどの記事なのか一目で分かります。
Vol.01もまだ新品で手に入るので、再録本の需要はそれほどないのかもしれません。今号は書き下ろしの記事も多く、既存の読者も満足できるかと思います。逆に、新規の読者が最初の一冊にこれを読んでも、ロングライドの多種多様な有り様が伝わらないのではないかと、お節介にも心配してしまいます。
ロングライダースの再録本がこれからも続くとしたら、baru氏の東海道三部作、アザミユウコ氏の佐渡イチもお願いしたいと思います。
価格評価→★★★★★ 評 価→★★★★☆
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