AZ チェーンルブ ロードレース B1-004
購入価格 ¥試供品
私がAZのチェーンオイルを使うのは、安いからではありません。安い割には品質が良いからでもありません。
「オイルとして値段は全然安くない。 しかし、値段に見合った性能をもち、それは他社製品と比べても絶対的に高い。 さらには入手もし易い。」
ので使い続けています。 後にまた理屈を並べますが(クセなんで許して下さいw)、AZがケミカル界のユニクロのように言われるのは大きな誤解です。
今まで使っていた「ロードレースSP」が残り少なくなったので、今度は「ロードレース」を試してみることにしました。 使用したチェーンはCN-7701です。
早速横道に逸れますが、例えば車やオートバイのエンジンオイルの場合、新車時の推奨粘度が10w-30だったとしても、旧車になって延命第一となると20w-50の固いオイルに変えたりは普通です。 現在燃費至上主義の国内での推奨粘度が0w-20だったとしても、同じ車を全く仕様を変えないまま欧州に輸出すると、普通に推奨粘度が5w-30に変わったりします。欧州だと10万キロ程度でエンジンにガタが出るのなんて許されないせいだと思います。
ちょっと自転車に話を戻しますと、私は今年シマノのSAINT PD-MX80というペダルを買いました(べた惚れ♥)。 出荷時のグリスがとにかく固く、松井稼頭央ばりにスナップを効かせてはじいてみても、指先が離れた瞬間に回転が止まる状態でした。 それが自転車に取り付けて100km少々も走ってみると、手ではじくと「クルクルク・・・」くらいには回るようになりました。
何が言いたいかというと、出荷直後・運用中・終わりかけの状態に応じてメンテをするのが個人的に好みという事です。
今回注油をしたCN-7701は、まず新品から150km程度は何もせずに使用しました。 表面はサラサラしていましたが、乗るとすぐにリンクの中から黒い汚れを含んだグリスが溶け出てきましたので、洗うことも注油もせずに使いました。 その辺りで雨に降られたので「ロードレースSP」を注油しましたが、この時点でもチェーンの洗浄はしていません。
新品から大体250km程度を「慣らし運転」としてそのまま使い(現在サイコンを外しているので距離はおおまかです)、フロント変速時の音の質が変わり始めたのでようやく今回の「ロードレース」を使用してみる事にしました。
まずはAZのチェーン洗浄器で二回洗浄をしました。 使用したのは灯油ですが、まめに注油をしていれば油膜が汚れやリンクの削れた鉄粉をそのまま溶かしこんでくれているので、リンク内の汚れも簡単に綺麗にしてくれます。
何度か拭きながら時間を置いて灯油を飛ばし、ようやく注油です。 オイルおたくなので、意味もなく時間を置いて二度行いました。
で、ようやくインプレですが
「こりゃ気持ちえぇ~。ええなぁ~、ええなぁ~」
と意味もなく、温泉につかったジジイのごとくに呻いてしまいました。
使用した自転車は、ロード用3速STIにMTBの8速FDと9速クランクを組み合わせています。 当然互換性無視なので変速が上手くいかなくとも文句を言えた筋合いではないのですが、ロード用STI3速分とMTB用FD2速分の引き量はほぼ同じなので、この組み合わせでフロントをセンター・アウターのみの二枚運用で使用しています。
そのはずが、CN-7701新品交換からしばらくは、レバー一度の押し込みだけで「ヌチッ」とアウターに乗ってくれていました。 個人的な事で恐縮ですが、私が自転車に乗って一番気持ちよさを感じるのはフロントをアウターに乗せる際の感触です。
それが雨天使用などをするうちに、レバーを二度押し込まないとアウターに乗らないようになりました。 注油をすると直後は一度で乗るようになるのですが、その際の音というか感触が、「ヌチッ」から「カシッ」に変わってきました。 変速自体は確実に出来ますし、速さも変わりません。単に感触だけの問題です。
これが、自分なりの慣らし運転を終えてから今回洗浄・注油をしてみると、もう絶妙! チェーン新品時同様にレバーの押し込み一回でフロントが「ヌチッ」とアウターに乗ってくれます。 インナー(ホントはセンター)に落とす際には、「あれ?」と思うくらいに音もショックもありません。
もぉぉぉぉぉぉ、気持ちいい! ゆるゆるとペダルを回しながらフロントを上げたり下げたりしてるだけで、スッゴい気持ちいいです。
リアの変速に関しても明確に変わりました。 注油前にも変速はスムーズでしたしリアは何も変化していないと思っていたのですが、今回注油をしてみてやはり変わっていた事に気付きました。 注油後のリアの変速は、速さ自体は変わらないのですが、動作が若干軽くスムーズになりました。 この若干が、乗り手に伝わる感触としてはけっこう大きな違いになっているかと思います。
耐久性に関しては、私はレビュー出来ません。 多くとも200km程度の走行で注油してしまいますし、雨天時や砂埃の多いところを走った際などは100km以下でも注油するからです。
油膜切れというのは100からいきなり0になるものではなく、少しずつオイルが飛び、酸化をし、汚れを溶かしこみ、劣化が進んだ結果として起こるものです。 ハンガーノックと同様に、人が気付いた時点ではかなり進行しています。 油膜切れが進行しているということは、各部動作に関して負荷が高くなっているということで、パーツの性能も引き出せなくなっていますし、寿命も削っているはずです。
劣化を感じる前に注油をするメリットは、潤滑面ばかりではありません。 オイルというのは洗浄性能も有しているものですから、新鮮な油膜が新たな汚れを溶かしこみ、リンク内などの見えない部分での固着も防いでくれます。
ちなみに冒頭に書いたAZとユニクロの違いなのですが、ユニクロの安さというのは相対的なものかと思います。同程度の品質の他社製と比べればという。 品質に関しても、同程度の値段の他社製と比べれば、まあ悪くはないのかなというものと私は認識しています。 またデザインに関しても、着る人が着れば十分に格好イイ。
しかし、誰が見てもAZのラベルと容器はダサ・・・・・、いや、えーと・・・・・ブランドイメージではなく中身で勝負という正直さと純朴さを感じます(棒読み)。
また、AZのチェーンオイルの性能というものは、成分分析表を見ると明らか、だと思います(ソースを出せないのでここは私の憶測という形にしておきます)。
AZの仕入れ規模であれば、基油にしても添加剤等にしても1ccあたりの単価はかなり低く抑えられているはずです。 エンジンオイルなどは、1L5千円も出せばフルシンセティックのとんでもなく高性能なものが入れられます。それ以上高いものを探すのが難しいくらい。 一分間に数千回転から1万回転以上も回り、高温で爆発によるスラッジも発生する環境下で使用されるエンジンオイルに比べ、自転車のチェーンオイルに要求される基油の性能、添加剤の数は決して多くはありません。例えば消泡剤なんて絶対要りませんし。
それを考えると、AZの価格設定は決して安くはありません。 もちろん高いなどとは口が避けても言うつもりはありません。
極めてまっとうな商売をされているなあ、というのが私の印象です。
あ、「ロードレースSP」との違いですが、私には全く分かりませんでしたw 気分的に次はまた「ロードレースSP」に戻すかと思いますが、在庫がなければ迷うことなく「ロードレース」を買います。
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