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『パッチの段差は、新しめの滑らかな路面でなければほとんど気にならない(かもしれない)』
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■はじめに
前回のレビューはすぐにCBNブログ:
https://blog.cbnanashi.net/2019/06/9469にて取り上げて戴き大変恐縮でしたが
> 走っていてゴトゴトとした振動が激しくないだろうか… という心配はあります。
とご指摘いただいた点は、もちろん当方も気になっていた点でした。
まあエマージェンシーとして使う品なのでそのあたりは目をつぶって購入してみたわけですが、実際どうなのかは気になると言えば気になります。とは言え、使用機会はいつになるか分かりません。1年後かもしれないし、2年後かもしれない。かと言って、3枚しかない、1枚あたり900円もするパッチを確認のためだけに無駄遣いするわけにもいきません。
そこで、ちょうど下の写真のような粘着剤付きのゴム板があったので、これをタイヤに貼って振動を感じるか、模擬実験をしてみました。
写真:実験に使用したゴム板(左:表面、右:裏面)
写真:実物のパッチの断面
■試験方法
GIANTのパッチはサイズ40mm×40mm、最も厚いところで厚さ約2mm。実験では厚さ1mmのゴム板を幅30mm×長さ40mm程度にカットして、もしも振動があるなら最も感じ取りやすいだろうと思われる前輪に2枚重ねで貼りました。
幅を30mmにしたのは実物は両端へ行くほど厚さが薄くなるので、40mmで切ると条件が実物より厳しすぎるかな?と思ったのと、正直に言うと単にカットするのにキリが良かったからです貧乏性ですみません。
使用後の跡から、タイヤと地面との接触面は十分にカバーしていたようなので、実験目的には十分だっただろうと思います。
使用したタイヤはContinental Grand Prix 5000TL(25c)です。
なおGIANT TUBELESS TIRE PATCH KITの使用方法として、公式動画では「最小指定空気圧を充填します」と説明してありますが、GP5000TLには最大空気圧の指定(MAX 7.5 bar)はありますが、最小空気圧については明確な表記がありません。
今回は空気圧を5bar、4bar、3barの3パターンでそれぞれ数百メートル程度ですが試験走行してみました(空気圧はパナレーサーのデジタルタイヤゲージで確認しました)。
写真:2枚重ねで貼ったゴム板
■結果と考察
早速自宅の近所を実走です。
「わ、分からん…」
予想では、パッチが路面と接触するたびに周期的な振動を感じるのではないかと思ったのですが、意外と分かりません。個人差やタイヤの差等あるかもしれませんし、単に当方がニブイだけの可能性も否定はできませんが、おそらく、いま走っている生活道路では、1~2mm程度の細かい凹凸なんてものはいたるところにあるため、路面から常時伝わってくる微振動にかき消されて、パッチ由来の振動が分からないのではないかと思います。
しいて言えば、歩くくらいの速度で遅~く走ると、かろうじてパッチの振動かな?という微妙な振動の違いを探り当てることができなくもありませんが、20km/h程度以上で走ると、パッチ由来の振動はほとんど分かりません。
すると、いきなり「トン、トン、トン、…」という小さいながらもはっきりとした周期的な振動が、ハンドルを介して伝わってきました。いつの間にか路面が比較的新しい舗装に変わったようです。
つまりこういうことでしょう。
・路面の凹凸がパッチの厚さと同程度かそれ以上の路面では、パッチの段差による振動は分かりにくい
・路面の凹凸がパッチの厚さより小さいような平滑な路面では、パッチの段差による振動が分かりやすい
参考として、振動が感じにくい路面と感じやすい路面の境目の写真を撮ってみました。写真左側のざらっとした路面ではパッチの段差による振動をあまり感じることができませんが、右側の新しめの路面では振動を感じやすかったです。
個人差が大きいとは思いますが、振動が感じられる路面でも、その振動はまあ不快というほどではありません。しいて言えば、速度が遅い方が気になる度は大きいかもしれませんが、速く(と言っても20km/h以上程度)なると路面から伝わる微振動も大きくなるので、相対的な気になる度は小さくなります。
空気圧を5barから4bar、3barまで段階的に落として試走してみましたが、この傾向はほとんど同じで、どちらかというと空気圧が低い方が振動が分かりやすいかな?という感じですが、極端な違いはありませんでした。
総じて、個人的な第一印象としては「振動が感じられるような滑らかな路面がずーっと続くことなんてレアケースだし、実際に使う場合はエマージェンシーでもあるし、パッチが取れないのであれば、別に10kmや20kmくらいならパッチを貼って走るのは別に構わないかな?」というところです。
もちろん、パンクがライドの前半で起きて、まだ残りの距離が長いようなときに、残りも快適に走行したいならばチューブドに変更する方が間違いはないだろうと思いますが。
■まとめ
GIANT TUBELESS TIRE PATCH KIT の使用時のフィーリングを調べるための模擬実験として、タイヤに厚さ2mmのゴム板を貼って走行試験を行いました。
・新しめの、比較的滑らかな路面ではパッチの段差による振動を感じ取ることができるが、不快というほどではなかった。
・それほど新しくない、ざらっとした路面では、パッチの存在はほとんど感じ取ることができなかった。
・振動が感じられる路面では、速度が遅い/空気圧が低い方が振動が気になる度は高い。
※感じ方には個人差があります
もちろん、あくまで模擬実験であるため、実際の使用感と異なる可能性が無いとは言えません。使用機会がないのが一番いいのですが、もし本当に使う機会があれば改めて紹介したいと思います。
■余談
実験していて思ったのですが、というかパッチを購入する際にも多少考えはしたのですが
「これ、強力な接着剤でタイヤにゴム板を貼れば、取れたり擦り減ったりさえしなければ、10kmくらいならただのゴム板でも十分代役になるんじゃないか?穴さえふさいでしまえばあとはシーラントが何とかしてくれるんじゃないか?」
という悪魔の囁きが聞こえてきました。こちらは、とりあえず使用中のタイヤに大穴が開くか寿命末期で廃棄確定になるかしないと気軽に実験することはできませんが…。
価格評価→なし
評 価→★★★★☆(期待度が少し上がったので☆ひとつ追加)