購入価格 モニターサポート(オルタナティブバイシクルズ様)
サイクリストの間でバイクパッキングが話題になっている。
バイクパッキングは、大型で軽量なサドルバッグやフレームバッグ等をバイクに直接取り付け、最低限の荷物を持って軽快に旅をするスタイル…で合ってるよね。
泊まりがけの長距離ツーリングといえば、数年前ならキャリアにバッグを取り付けて行うのが当たり前で、自転車もキャリアダボがついたツーリング車やMTBが中心だった。
ところが最近はロードバイクからスポーツサイクルに入る人が多く、そういう人たちにとって手軽で軽快なバイクパッキングがマッチしたんじゃないだろうか。
実は、私はこの手のバッグ類には抵抗があった。
学生時代は、MTBやシクロクロスにリヤキャリアとサイドバッグを取り付け、フロントバッグをぶら下げて何度かツーリングをしたが、
リヤキャリアと防水サイドバッグだけでも3kg程度あり、挙動はとにかく鈍重。フル積載のトラックを運転しているような感覚だった。
ここ数年はレース志向がさらに強まり、オンロード・オフロードで問わず急な加減速や急旋回でバイクを振り回す走り方をするようになった。
工具やチューブを入れた小さなサドルバッグひとつでもバイクの振りが重くなるのがわかるくらいなので、MTBでのトレイルライドは当然、ロードバイクでも自転車には極力何も取り付けないほうが良いと思っていた。
ところが、普段からお世話になっていて、バイクパッキング普及に力を入れているオルタナティブバイシクルズ様に声をかけていただき、Apiduraが少し気になっていたことも手伝ってちゃっかり使わせてもらうことに。
baruさんはじめ、先人たちの大型サドルバッグレビューで、大きすぎても小さすぎてもダメと聞いていたし、容量はそれなりに真剣に検討。
日帰りライド~宿に1泊する輪行ツーリングに利用する事を想定して、SADDLE PACK DRY(9L)を選択した。
重量増を嫌って荷物は最小限にするので容量は9Lで十分。防水なのもポイント高い。
バッグには説明書が一切付属しない。まぁなんとなく使い方はわかるけど、潔い。
1泊のツーリングを想定して荷物を詰めてみる。
L100輪行袋、着替え、工具とチューブ、アームカバー、ニッパーで切れそうなワイヤーロック、モンベルの携帯用バックパック、石鹸類、それと1.5Lコーラを投入。
収まりが良くなるように試行錯誤しつつバッグに放り込み、
開口部をくるくるロールアップしてバックルで固定、適度に締め付ける。
シートポストに触れるあたりはバッグ内部にプラ板が仕込まれているので、ある程度雑にパッキングしても型崩れしにくい。
バイクに仮止めしてみたら、各方面で指摘されるように固定部が滑って揺れたので、シートポストにリザードスキンのバーテープの切れ端を巻いて摩擦アップ。
この状態で最大容量ギリギリといったところ。
コーラと一緒に買ったお惣菜パックは入らなかったので、小物を挟めるバンジーコードに挟む。
キャンプツーリングで、キャリアに取り付けたバイクネットにタオルや地図を挟んでたことを思い出した。
ここからコーラを取り出すと、アジャスターをベルトを締めきっても少しバッグが緩むので、キッチリ固定できる容量は8Lくらいか?思ったよりも物を詰め込まないと安定して固定できない。
バッグ側のベルトの取り付け位置がもう少しシートピラー側なら良かった。
また、荷物の出し入れは割とめんどくさい。自転車を立てかけた状態だとバッグも壁にもたれかかるので、バッグの中身を落としたり、ハンドルが切れこんだりしがち。
財布やスマホや鍵など、頻繁に出し入れするものは別途ハンドルバッグやトップチューブバッグ、サイクルジャージのバックポケット等に入れたほうが良い。
この状態で、山岳地帯中心にロード練ペースで走り回ってみた。
ダンシングでバイクを振ったり、コーナリングで倒しこむ時にバッグの重さを感じるものの、もっさりとした感覚は想像していたよりずっと少ない。
シッティングなら気にならないレベル。
また、段差などに対応するとき、少し腰を浮かせて膝をクッションにするが、膝をサスペンションとみなすなら、バイクに取り付けた荷物はバネ下重量にあたる。
慣性が大きくなったことで、路面の凹凸を踏んだ時の衝撃がマイルドになった。
さらに、バッグを背負っていないので当たり前だが身軽。背中が涼しいし腰にも負担がかからない。
ダンシングの動きが鋭いのも実感。気づかないうちに、体に縛り付けた荷物でデブになってたんだなぁ…
レーサー寄りの視点でApiduraのサドルバッグを総評すると、重量増によるバイク操作性悪化のデメリットを極力抑えながら、ライダーをバッグパックから解放するもの、といったところ。
純粋に走りを楽しむなら荷物なんて持たないほうが良いのは当然なんだけど、そういうわけにもいかないとき、バックパックを背負う他の、新たな選択肢の一つになると思う。
価格評価→★★★★☆ 作りがシンプルなのでちょっと高い気もするけど、価格分の値打ちはある。
評 価→★★★★☆ 滑り止め追加と、アジャスターベルト位置を見なおしてもうちょっと少ない容量からきちっと固定できるようになれば満点。