購入価格 ¥入場無料
昨年は行けなかったハンドメイド バイシクル フェア。
今年(2010年)は1/15~1/17で開催され、突入してきたので、ご紹介。
全ブースを見て撮ってきましたが、紹介は抜粋に留めます。
なお、はっきり言ってレビューじゃなくてレポートです。
乗ったわけじゃありませんから。
従って、「その他」カテゴリーに入れるかどうか考えましたが、フレーム購入の参考になるかもしれないことを鑑み、
「フレーム、完成車」カテゴリーに書かせてもらいました。
悪しからずご了承下さい。
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最初はご存知「CHERUBIM」。
だいたい毎年CHERUBIM(とNAGASAWA)は気合を入れて多数展示してきますが、今年も然り。
まずはNAHBS(North American Handmade Bicycle Show)で、
・最優秀Fixed部門
・オーガナイザー賞
の2賞を獲得したPISTA。
なんか2賞も獲得するってのは凄いことらしいんですが(サイスポに書いてあった)、確かに美しい。
前後ブレーキを装着して街で乗ってみたいと思わされます。
同じくNAHBSに出品したSpeed Master(コンセプトモデル)も置いてありました。
ハンドルがマセラーティの三叉よろしく3本バーなわけですが、真ん中のバーを両手で握るとか。
「エアロダイナミクスポジションを可能にする先端に付けられたオリジナルハンドル」
ホントにこれを握って乗ったら、結構怖いんじゃないスかね(確かに空気抵抗は減るだろうけど)
で、そのSpeed Masterが市販車となるとこうなるそうで。
1インチのインテグレーテッドヘッドとフォークブレイズ(世界初なんだと)。
そんなヘッドセットあったっけ?と思わんでもないですが、恐らく自分ところで作ってるんでしょうね。
又、フォークは微妙にベンドって感じで、ベンドとストレートの両方の持ち味を実現しているとか。
更に、電デュラ対応してるとか、インテグレーテッドシートポストとか、なんだか盛りだくさん。
フレームセット¥270,000程度で4月から発売だそうです。
CHERUBIMは最後にも一つ。
CHERUBIM Bambino(バンビーノ)。
「明日を夢見るジュニアに贈る」とのことですが、フレーム価格¥153,300。
ゴメン、我が子よ、パパは夢を見させてあげられませんw
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これは「LEVEL」。
但し、相当の変わり者で、
・ブレーキ本体
・ブレーキワイヤー
・ディレイラーワイヤー
・ヘッドパーツ
・シートポスト
等々、全て「フレーム内部」に収めた構造の自転車。
なんでも、LEVELのスタッフ3名の他、機械工のベテラン・コンピュータ屋・デザイナーの6名で、
構想から製作まで半年近くかかったとか。
恐るべきことにこの自転車、1984年製。
紹介ボードに「是非、ブレーキレバーを握ってみてください」と書いてあるので握ってみました。
フレームに上手い事格納されているブレーキから、シューがにょろっと出てきてリムを捕らえる様子には感心。
この紹介ボードに「価格:高価」と書いてあるのは笑えるポイントw
LEVELはもう一台ご紹介。
これは「都市型公共交通システムとしてのレンタサイクル」と言う物。
TASK(T:台東区、A:荒川区・足立区、S:墨田区、K:葛飾区の下町隣接区)のコミニュティサイクルとか。
そういう企画があったんでしょうかね?
レンタサイクルとして、クイック・イージーメンテナンスに有効な片支持構造・盗難防止付きシートピラー機構を搭載。
と言う説明であったw
正直、レンタサイクルにするには、フロントサスやフロントディスクブレーキ、Capreoコンポ等々、
贅沢に過ぎる気がします(無論、ここまでやれば快適なわけですが)。
サスは不要だと思うし、ブレーキはVで十分だし、変速は内装3段があれば問題ないでしょう。
(シングルでも問題無いでしょう。街乗りレンタサイクルと割り切れば)
ただまぁ、こういうビルダーと自治体が協力して、レンタサイクル専用車両を作る、
と言う企画自体は面白いですね。
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「絹自転車」は言っちゃあ何だが、かなりのキワモノを出してきていましたw
「シルク・里山ハンモック」なる、ハンモック用リカンベントフレーム。
里山ハンモックとコラボレートして出来上がったリカンベントで、サドルがハンモック(をくくりつけたもの)。
何かバルキリー変形させて自転車でハンモックを支えるようで、出先でハンモックで寝ることができるとか。
凄いっちゃあ凄いし、ハンモックサドルは絶対にケツ痛を招かないと思いますが、
一方で駆動効率のロスはデカイだろうなぁ、とも思います。
ま、のんびり走る自転車だろうから、そんな野暮を言っちゃいけないのだろうけど。
個人的には、絹のPR-7と言うトラス構造の折り畳み輪行車が見たかったのだが、今年は出品無し。
やはし去年来るべきだった…
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「MAKINO」と言えば「鉄」で「超」戦闘的な「超」軽量バイクを作ったりするイメージがありますが、
あちらは猿子工場長、あるいは若いスタッフがお得意なのだそうで。
牧野氏自身がお得意なのは昔ながらのランドナーやスポルティーフ。
と言うか、詳しい知識があるのが牧野氏なのだとか(サイスポの受け売りですw)
で、その牧野氏が作ってきたであろうランドナーが出品されていました。
古典的ランドナー様式で実に端整、しかもシンプルで美しい。
他にもランドナーは出品されていたが、個人的には一番気にいったランドナー。
古典的にBROOKS B17も効いているが、一方でちゃんと現代的にハブダイナモを採用している辺り、自分好み。
まぁ、ただね、これ、¥1,000,000なんスよ・・・(無論パーツ込みだけど)。
例の紹介ボードの店主の一言に、
「お気軽に連絡ください」
なんてあるんだけど・・・誰が気軽に相談できるかっ!w
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何でも手作りの匠、と言えば「HIROSE」。
無論、何でもと言っても予算その他で限界はありますが、ディレイラーを手作りするってのは凄ぇと思います。
しかも、そのディレイラーの性能が凄いらしいから、自分のような文系出身で機械の匠に憧れる人間には、
これまたたまらんものがあります。
願わくば、そのディレイラーを作ってもらって、「さけのさかな」にしたいくらいだが、それは広瀬氏に失礼。
(機械を機械として作っていらっしゃるのだから、機械として使わないと失礼でしょう)
で、今回も一品手作り品使用の自転車が展示されていました。
見るからにシンプルなランドナーだが、ステム・キャリア・前後ディレイラー・Wレバーが一品物。
前後ディレイラーの写真がこちら。
このFDはワイヤードだが、サイスポ2009年3月号に載っていたランドナーには、長めのレバー式で、
ダイレクトに動かすFDが採用されていました。
あれは凄い、と思ったし実際に見てみたかったが、まぁ、去年のHBFに来れなかった自分が悪いんだなw
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練馬大根こと「RAVANELLO」はシングル2台とロード1台を出していました。
シングルもなかなか良かったが、やはし自分の興味はロード。
これは、RAVANELLOの基本となるEQUIP。
カイセイ022やPRESTIGE等々、パイプを選べるし、最近はRAVANELLOもカーボンを出しています。
が、RAVANELLOのRAVANELLOらしさと言えば、個人的にはEQUIP S.A.Tだと思います。
デダチャイのSAT14.5チューブを使い、薄く硬く、クロモリの振動吸収性なぞ知るかコラ!の方向で、
ストレートシートステイ、踏み負けない脚力を付けろゴルァ!な何とも「か、漢だ・・・」なフレームは、
実に魅力があります。
ちなみに2007年の本フェアには出品されていました(しかも魅力的なRAVANELLOブルーで)。
自分はその場でオーダーしてしまおうかと思ったくらいw
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「VOGUE」はロングディスタンス用ロードと言うスタンスで出品。
泥除け付きロードと言う所ですかね。
最近、ゲーリーフィッシャーでもそんなロードを出したっけ(あれは自分には結構魅力的)。
ドロップハンドル下部にエクステンションを生やし、そこに猫目のHL-EL520を2灯マウントしているのは参考ポイント。
自分も散々スポットだのダラ落ちだのと批判しているが、なんだかんだ言いつつこれ2灯ってのは、
一晩中そこそこのスピードで走るには使いやすい明るさとランタイムだったりするんですよね。
とーっても実践的な仕様であると言えます。
無論、これはこの自転車をオーダーしなくても真似することが可能。
ちなみにVOGUEは自転車の銘であり、社名は「オリエント工業」です。
そして、くれぐれも「オリエント工業」でググったりしないように。
特に職場では。
(独身男性の方が自宅でググる分にはお好きにどうぞw)
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これはある意味凄い!と思ったのが「TAKATAスペシャル」。
皆さん、このビルダー名、聞いた事あります?自分は今回初めて知りました。
何と言うか、はっきり言えばパイプ細工と言う感じの自転車。
バカらしいこと(失礼!)を真剣にやってる様がとても楽しい。
ちょっと紹介したくなりました。
これ、何をイメージしたか分かりますか?
30年~40年前の50ccロードーレーサーをイメージ。
エンジン(MCナイロン+塗装)ダミー
タンク(バルサ+塗装)ダミー
リア・カウル(バルサ+塗装)ダミー
メインフレームは角パイプ
フツーはこんなものを排除して軽量方向に持っていくわけですよ。
何ですか、この「コスプレ」は。
スーパーカーライトや5連フラッシャーに近いものを感じますが、一方で「遊び」を未だに残しているとも。
ま、¥650,000と言う値段はどうなのよ?とは思いますが。
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さて、大御所「AMANDA」。
相変わらず注文するほうもマニアックなら、作る方もマニアックな受注関係。
今回は「Beach」の人達との深い関係が伺えた。
天才と呼ばれるAMANDA千葉氏自身のお言葉(紹介ボード)でご説明。
●ダンシングマシーン78(濱崎さん号)
・80トンカーボン フォーク&フレーム
・カンパニョーロ11s+SRMトレーニングシステム
シート角78度のヒルクライム専用マシーン。
極端な前のめりのため、ライダーの体重を推進力に変えてしまうライディングも可能。
近年盛り上がりを見せるヒルクライムレースで使用中。
●レコードブレーカー
・80トンカーボン モールデット フォーク&フレーム
・カンパニョーロ10s+SRMトレーニングシステム
110年前のラムゼイペダルを過激に150mmにしてみました。
オオバルギヤ(原文ママ)同様に踏み込む(つまり歩く)運動機能重視。
熟練競技者と強風にに向かって対等の走りを楽しめます。
24"チューブラータイヤは、ヴィットリア社へ特別注文品です。
●ランランポパイ(清水さん号)
・80トンカーボン フォーク&フレーム
・カンパニョーロ11s+SRMトレーニングシステム
<CFフォークについて>
シリコンラバーモールドによる
CFフォーククラウンをやめて1980年代にトライしたオーバーサイズ
CrMoフォーククラウン付きCFフォークのつくりに戻しました。
軽量にして高剛性を実現できました。
(改行ママ)
まぁ、何と言うか、ある目的の為の単機能スペシャルバイク作りと言うか。
かろうじてランランポパイが汎用的でしょうか。
ちなみにお値段は全部未定。
未定っつーか、全部一品ものなわけで、標記してもあまり意味無いんでしょうな。
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そして、やはし驚きの「SANOMAGIC」。
マホガニー製中空フレーム(?!)、マホガニー製中空ハンドル(?!)、マホガニーフォーク、
マホガニー製ホイール、コンポはスパレコで重量は7.5kg。
店主佐野末四郎氏曰く、
「マホガニーの強い弾力から得られる反発により、乗り手の足をアシストするため、
長距離を楽に高速で走行できる設計になっています。」
佐野氏は木造ヨットの世界では有名な方だそうです。
その技術を活かして作成したのがこのマホガニー製バイク。
そう言えば、AMANDA千葉氏も木製バイクを作っていましたね(こちらは桜をヒバでサンドイッチした材)。
AMANDAも自転車だけでは無くカヌーも作るわけで、共通点が結構ありますね。
出自が自転車なのか船なのかの違いでしか無く、行き着く所が木だったと言うわけか。
ただ、千葉氏と佐野氏では木を使う目的がやや違うのでしょうかね。
千葉氏は振動吸収性、佐野氏はアシスト力と言う観点なのか。
参考までにSANOMAGICのWebページです。
http://sanomagic.world.coocan.jp/なお、このバイクは¥2,000,000。
量産できるわけじゃないから、仕方無いんでしょうね。
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最後に「PANASONIC」。
POSのチタンフレームですね。
これは今年のニューモデルです。
ぶっといダウンチューブでホリゾンタル、非インテグレーテッドシートポスト。
以前にあったモデルと似ていますね。
変わっているのが、ポリッシュ加工の上にスピニング加工で模様を刻んでいるところ。
ヘッドラグやシートラグの形にウロコっぽい模様が刻まれているのが分かるでしょうか?
(無論、溶接はTIGであり、ラグは使っていませんが)
薄く一枚ラグの形にチタンシートを被せて、そこに模様を刻んであるような感じです。
性能には関係ない、「装飾」と言うレベルの話ですが、チタンフレームは元々は軽量化の為ですが、
今となっては趣味性の強いフレーム。
そこにこのような「装飾」を付加価値として加えるのは悪い話じゃ無いと思います。
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駆け足・抜粋で見てきましたが、如何でしたでしょうか。
これらの一番人気を決めるアンケートが入場時に渡されまして、提出するとTシャツなんかが当たる抽選ができます。
自分は奥さんと子供とで行ったのですが、お子様分もとアンケートを渡されました。
つまり、当たるチャンスを増やしてくれたわけですね。
実にアットホームな対応。
(まぁ、スカの景品であるポケットティッシュしか当たりませんでしたがw)
サイクルモードと違って、常に空いていて見やすい(いいことでは無いのかもしれないが)。
たまに店の常連と思われるような方々がたむろするのは閉口ですが、それ以外には落ち着いたイベントです。
サイクルモードでマスプロ製品を見るのも良いですが、日本の匠のワザに触れるのも楽しいですよ。
一つだけ残念なのは、開催が東京だけである点。
無論、無理があるのは分かっていますが、せめてもう一箇所、大阪辺りでも開催できればなぁ、と思います。
要望があるのかどうかは分かりませんがw
価格評価→★★★★★ タダでこれだけ堪能できりゃ20個星付けてもいいくらい。
評 価→★★★★★ 大変興味深い催し。年初の楽しみ。