*NJS規格車
競輪競争用の規格に準拠した競技用自転車のことです。特にトップチューブがシートチューブよりも5mmか10mm程、わずかに短くなっているようなマシンは、日本刀にも似て、とても魅力的です。そしてこのNJSマシン、ここ数年、メッセンジャーやストリート系の連中がこぞって手を出しているみたいですね。
固定ギヤは楽しい。ギヤ比2.6程度に設定して、山岳でもどこでも、100kmでも200kmでも、楽しいサイクリングを堪能できる。しかしそれは、通常のNJS規格車ではムリ。なぜなら普通のNJSマシンは、競輪という短距離のトラック競技のために造られているから。
BBは高いし、シート角度は立っている。ヘッド角度も立っていてフォークオフセットは極端に小さい。とにかく、選手が一瞬の隙をついて前乗りに移行し、スルスルっと加速してぶっちぎるためのマシン。規則上、鉄で造らざるを得ないという制約も手伝って、軽く、硬くするために、非常に鋭いジオメトリになっています。そういう成り立ちのフレームで長距離なんて、とてもとても、走れたものではありません。したがって、サイクリングに使うなら、普段から乗り慣れているロードバイクのジオメトリで、固定車を造って乗るほうが、圧倒的に楽しい。
そんなわけで、メッセンジャー連中がこいつで一日中走りまわるっていうのは、ご苦労様ですが、適切な使い方ではありません。まあ、彼ら(の多く)にとって、信号はいつも青で、歩道も車道も関係ないでしょうし、そもそも自転車のことをよく理解していないでしょうから、「適切な使い方ではありません」、なんて申し上げてもピンとこないでしょうけど。でも、好きなら仕方ありません。また、ストリート系の連中がNJSマシンを使って、裏原宿でスタンディングしたり、ときどき乗ったり、ウンコ座りしながら眺めたり、っていう使い方をするなら、所詮ファッション、ということで理解できます。
せいぜい10万か15万円しかしないNJSピストフレームで組んで細いSOYOチューブラタイヤを履いたマシン。この美しさは格別です。NJSマシンは元々、競輪学校で教育され、実戦で鍛えられ、プロとして成長した精鋭たちが、プロとしての矜持を秘めて真剣勝負を繰り広げるために造られたマシン。そのマシンに跨って、10kmとか20kmという距離を、シュープレートつきのシューズでストラップをきちんと締めて、丁寧に走って緊張感や整体感を体感するのは気持ちいいものです。
それにしてもノーブレーキピスト厨。乗り方がヘボいし、とにかくカッコワルい。サドルも高すぎじゃないですか?このすばらしいマシンがノーブレーキピスト厨に貶められているというのは、クールからは最遠の風景ですね。
価格評価→★★★★★(色々) 評 価→★★★★★(自分に合っていれば)
|