購入価格 ¥180000くらい
折り畳み時のコンパクトさが魅力のブロンプトン。
フロントバッグやリアキャリア、フェンダーを生かして実用車として抜群の使い勝手を発揮しつつ、ハンドル形状や変速系を上手く選べばロングライドもこなせる懐の深さ、そして耐久性の高さには、特筆すべきものがあると思います。
さて、そんなブロンプトンの中で個人的に最近存在感が薄くなっている気がするのが、この内装3速モデルです。
現在日本に正規輸入されている通常モデルのラインナップを見ると、いつの間にかM3Rは消えており、内装3速モデルはキャリアなしのM3Lのみになっています。
改めて考えてみると、「日常からロングライドまで様々な用途に対応できる6速」「走行抵抗の大きい内装ギアがなく持っても乗っても軽い2速」というわかりやすい特徴を持った各モデルに対して、3速モデルは若干中途半端な立ち位置にも見えます。
しかし日々ブロンプトンの各モデル(M3R、P6R、S2L)に乗る中で、私は3速モデルならではの良さも確実に存在すると感じています。
今回は散々語り尽くされたブロンプトン自体の魅力ではなく、自分なりに感じる3速モデルの利点を少し記してみたいと思います。
ブロンプトンのスペック表だけを見ると、3速モデルをあえて選ぶ意味はあまりないようにも見えます。
現在主流の6速モデルと比較すると重量は約200g軽いものの、内装ギアを採用しない2速モデルの方が圧倒的に軽いため、これは3速モデルならではの突出した優位点とは言えないでしょう。
また、価格も6速モデルと比べて1万円安いだけです。
こうなると、「1万円上乗せしてとりあえず6速モデルにしておこう」という心理が働くのが自然かもしれません。
個人的な話で恐縮ですが、最初に買ったブロンプトンは、このM3Rでした。
私が最初のブロンプトンに3速モデルを選んだのは、普段使いだけで割り切って使う予定だったからです。
その後、6速モデルを購入する際、最初に買ったM3Rにはあまり乗らなくなるだろうと予想していたのですが、実際には【普段の買い物には3速モデル】【峠を越えるコースや遠出には6速モデル】という使い分けを自然とするようになりました。
なぜ無意識にこのような使い分けしたくなるのかと言うと、原因は6速モデルの変速操作の煩雑さです。
6速モデルは内装ギアと外装ギアの組み合わせで構成されており、右レバーで内装ギア、左レバーで外装ギアを操作します。
当然ながら、シフトチェンジは【内装は脚を止めて、外装は脚を回しながら】操作する事になります。
この独特な操作体系、趣味として乗っている分には「自分の操作で乗りこなしている」という感覚を味わえて面白い反面、日常使いにおいては少々煩わしさを感じます。
ブロンプトンの限られたエンド幅の中で多段化を実現しようとすると、こうして内装・外装変速機を組み合わせるしかないのでしょうが、お世辞にも完成度が高い変速システムとは言えないでしょう。
その点、3速モデルのシフト操作は単純明快であり、普段使いではとても使いやすく感じるのです。
操作性の良さという点では、同じく操作が単純で3速よりも重量が軽く、内装ギアの走行抵抗もなく軽快な2速モデルの方が良さそうにも見えます。
しかし、2速モデルにはギアの変速範囲が狭すぎるという短所が存在します。
外装2速モデルはトップが12T、ローが16Tになっており、変速範囲が4T分しかありません。
フロントチェーンリングを交換する事で、ある程度脚力や用途にあったギア比に変える事はできるのですが、絶対的な変速範囲自体が狭いため、どうしてもギアの不足を感じやすくなってしまいます。
それに比べ、内装3速モデルの変速範囲はとても良い塩梅になっています。
標準仕様のフロント50Tですとかなりギア比が重いものの、フロント44Tに交換すると平坦〜ちょっとしたアップダウン程度の普段使いでは実に快適なギア比になります。
街中の走行ではギアが足りないと感じる事はなく、かといって使わない無駄なギアがあるという事もありません。(もちろん脚力によって多少感想は変わるでしょうが)
街乗りで必要十分なギア比を備え、それを右手1本の操作で簡便に行えるというのは、3速モデルならではの長所だと思います。
ちなみに操作が煩雑な6速モデルでも、内装ギアだけ(右手レバーだけ)を変速操作すれば実質的に3速モデルとして使えそうにも見えます。しかし、6速モデルに搭載されている内装ギアは3速モデルに搭載されている物とはギア比が異なり、ワイドな設定になっているため、3速モデルのような絶妙な乗り味にはなりません。
日常からアップダウンの多いロングライドまで様々な用途に対応できる6速モデル、そして軽量・軽快な走りが売りの2速モデルに対して、わかりやすいアピールポイントに欠ける3速モデルですが、平坦路メインの普段使い用と割り切れるのならば、3速モデル(フロント44T仕様)は、多くの方にとって絶妙な乗り味の良さを提供してくれるのではないかと思います。
価格評価→★★★☆☆(6速モデルの方がお得感はある…)
評 価→★★★★★(性能的には6速や2速に劣る部分も多いが、製品としての纏まり・完成度は3速が1番高く感じる)
<オプション>
年 式→2015