購入価格 ¥160380 (税込)
Pacific Cycles の Reach 2019年版のフレームセットで購入し、主に手持ち部品流用で費用抑えてバラ完しました。
メーカーでは「折り畳めるロードレーサー」を標榜していますが、Schwalbe G1 TLE に 1x の「折り畳めるグラベルロード」的な構成にしています。
●感想
以前乗ってた初期型 BD-1 に比べると段違いに走りやすくて疲れにくく、平均速度2割増し、同じ体力で倍の距離走れる印象です。太めのタイヤにしたこともありサスペンションの効果は正直なところよくわかりませんが、荒れた舗装路や砂利道での乗り心地は上々です。
折りたたみに手間はかかりますが、頻繁に折りたたみ収納するような乗り方でなければ、多少の手間は走りの良さが帳消しにしてくれます。
● Reach ってどんな自転車
他の折りたたみ車に対して突出した点はないのですが、全属性をそこそこ高いレベルで実現していることが最大の特長と言えましょうか。同じ Pacific の Birdy(BD-1) もバランスのよい名機ですが、それよりもさらに折りたたみの作業性と小型化を少し諦めることで、程々の軽さと高い走行性能を得て、また一般的な部品の使える部分を増やして構成の自由度を高めています。
Brompton や Birdy より折りたたみ寸法は大きいですが、タイヤが大きい分よく走ります。完成車重量で 10.5kg はロードバイクを謳うには重いですが、20インチクラスの折りたたみ車としては軽いほう。もっと軽い Caracle Coz や Savane FDB20 もありますが、Reachには 純正リアキャリア用のダボ穴があります。
Tartaruga とよく似た構造をしていますが、元々 Tartaruga は Pacific Cycles の持っていた車両がベースになっており、それを独自に発展させたのが Reach であるようです。この Reach の歴史については Folding Tales というマレーシアの方のBlogにまとめられています。
https://www.foldingtales.com/home/2018/1/reach-racing-long-term-review●カスタム性
多くの折りたたみ車は専用部品の折りたたみコラム直上にハンドルが乗る構造でフラットバー前提の設計になっていますが、 Reach はコラム径 28.6mm の普通のステムを使うのでハンドル位置調整が容易。お陰でドロップ仕様もフラット仕様も作りやすくなっています。
ディスクブレーキ仕様なので、太いタイヤを使うために標準の451から406にインチダウンするのも簡単です。40-406でタイヤとフレームとのクリアランスにまだ余裕があり、タイヤ幅45mmくらいは行けそうです。
フロントハブは 100mm x 15mm スルーアクスルなので完組ホイールセット入手は難しいですが、手組みなら Novatec ハブなど豊富な選択肢があります。チューブレスタイヤ・ワイドタイヤにこだわらなければタイヤもリムも選び放題でしょう。
部品の選択肢が広いと完成車からどんどん部品交換して結局フレーム以外全て換えたとかよくある話ですが、Reach には折りたたみ車としては稀有なフレームセット販売があり、最初から自分好みの一台に仕上げることができます。
なおフロントハブが太めのスルーアクスルになっている理由ですが、フォーク先端のサスペンション機構の左右の連結をハブ軸が担っているので、締結剛性を確保するためと思われます。
このフォークのエンドは2019年モデルからオープンタイプになり、2018モデルまでの通し穴型にくらべてホイール脱着の手間が若干軽減されました。
シンプルな造りですが、厚いアルミブロックに太い軸で締め付けるので剛性は十分あり、斜めにヨレたりはしません。
●折りたたみ
折りたたむときは、前輪を外す必要があります。外した前輪を止めておくクリップがダウンチューブに付いています。
ハンドルコラムは引き抜いて適当に縛って固定します。電動無線変速と、電動無線ブレーキが欲しくなります(そんなものはありません)
Tartaruga と違って後輪を外さなくてもそこそこ小さくなり、長さ99cm x 高さ60cm x 厚さ21cm でオーストリッチのちび輪にギリギリ収まります。
後輪も外せば長さ74cmになって、もう少し小さいバッグに入りますし、純正リアキャリア装着でもちび輪に入れられます。
この折りたたみ方式は手数が多く慣れても時間かかりますが、BD-1と違い折りたたみ時のチェーン外れの心配が無い構造なので、案外気は楽です。折りたたみ寸法は比較的大きいものの重量バランスがよく、トップチューブ中央を握って持ち上げれば意外に重さを感じません。
ちょっと気になる点として、純正キックスタンドを装着すると、折りたたみ過程でフロントのディスクキャリパーに引っかかるので少々無理矢理に押し込む必要があります。どこかに歪みが生じないか若干心配。また折たたみ時にはフォークに衝突して傷を付けてしまっています。とりあえずフォーク側に保護テープ貼って対策しています。
ちなみにメーカーは推奨していないと思いますが、リアキャリア装着時は縦置きも可能。
幅だけならブロンプトンと大差ない60cm程度に収まりますので、輪行時はこのほうが場所取らなくて良いかも。
●難点
前述の通り色々な点を少しずつ割り切ることでバランスをとっているので、それを難点として挙げてしまうとキリがありません。解決可能と思われる点をあえて挙げるとすれば、
・塗膜が弱く傷が付きやすい。
私の選んだマットアクアブルーは、公式サイトの写真の印象よりも緑がかっていて水色というよりミク色という感じのでとても良い色なのですが塗膜が弱くて容易に削れてしまい、下地塗装の白やアルミ地金が出てしまうところがあちこち。これは数年使い込んだらカドワキコーティングに再塗装依頼しようと考えています。
・一般名詞そのままの車名。
これから買おうか考えている人にとっては何よりも厄介な難点。もしかしたら Reach 最大の難点かもしれないと思うくらい。
しかも自転車で Reach といえばジオメトリで使う用語ですし、元々少ないと思われるユーザーレポートに、Web検索で辿り着くのが難しい。
前述の Folding Tales が大変に参考になりましたが、厚いユーザー層を誇るブロンプトンや Birdy と違い人柱上等で臨む覚悟が必要です。もしくは信頼できるショップでよく相談しましょう。
価格評価 →★★★★☆ (安くはないですがフレームセットで初期費用を抑えられます)
評 価→★★★★★ (総合的に大満足)
年 式→ 2019
カタログ重量 (R20/ドロップハンドル仕様完成車)→ 10.5kg (実測重量 10.05kg、コンポ構成全然違うので参考まで)