購入価格 ¥10,200
長年、膝に優しいという触れ込みを信じて、タイムのビンディングペダルを愛用してきましたが、デリバリー体制や補修部品の入手性なども勘案し、今回シマノに乗り換えることにしました。
クランクブラザーズという選択肢もありましたが、Qファクターや耐久性の問題、キャッチ/リリースの感触の好みもあり(クランクブラザーズのペダルは、リリースの感覚が不明瞭らしい)、シマノを選択しました。
【外観】
まずは、外観ですが、さすがはXTR。非常に美しい仕上げで、品格すら漂っていますし、小振りで異様なまでのメカメカしさが、機能美をも感じさせます。ボディを回してみると非常に回転精度が高く、この感触は堪えられないものがあります。また、楕円軸の採用によりペダル自体が薄く仕上がっています。
【フィーリング】
さて、実際ペダリングしてみると、たちどころにこのペダルの素晴らしさを感じ取ることができました。まず、踏面(シューズとペダルの接触面)が広いためか、トルクをかけたときの安定感に優れていることに驚かされました(PD-M970よりも3倍近く接触面が増えたそうです)。
柔らかめのソールでも、鉄板を踏んでいるかのような踏みごたえがあります。タイムのペダルでは、クリートが左右にスライドするせいか、はたまた接触面が狭いのか、安定感を欠き、青竹踏みをしているような感覚でしたが、こちらは平面をしっかり踏みしめているという安定感があるのです。
もちろん、これには、ペダル自体の薄さも関係していると思われます。ダンシング時も安定感があり、身体のブレが少なくなったように感じられました。
【キャッチ/リリース】
キャッチ/リリースの感覚も、明瞭で常に一定しています。どちらも「パチッ」というソリッドで軽快な感覚が好印象です。タイムはといえば、「ゴクッ」という感じでキャッチし、「グニョ」という感じでリリースしますが、どうもダルな感じで、シマノのほうが圧倒的に好みです。キャッチ/リリースの感覚が一定しているということは、安全性という観点からも、トレイルを走る際には重要な要素だと思われます。
泥はけに関しては、年々改良が施されてはいるもものの、タイムとは比べるべくもないように思います。マッドコンディションでは、タイムに分があるでしょう。
【その他、総評】
なお、Qファクターに関しては、タイムと大差ないようで、まったく違和感がありません。それに、TIMEからの乗り換えということで、クリートのフローティングが制限されていることに懸念がありましたが、完全にガチガチに固定されているわけではありませんし、まったく問題ありませんでした。
むしろ、タイムのほうが、フローティングしすぎて、安定感をスポイルし、運動エネルギーをロスしているのではないかと思いました(もっとも、私が使っていたタイムのペダルは古い製品ですので、改良が加えられている可能性は十分あります)。
非常に完成度の高い逸品です。これで実売価格が、10,000円前後なのですから、非常に価値があると言えるでしょう。あまりの素晴らしさに、すっかりシマノ派に鞍替えしてしまいました。
最後に重要な情報ですが、PD-M980のクリ―トキャッチ面は、他のSPD(M985やM770など)よりも、1.4mm後ろに位置するので(説明書に注意書きあり)、シューズを使い回しするライダーは、注意が必要です。
価格評価→★★★★☆ 競合他社と比べても買い得感あり。
評 価→★★★★★ 完成度が高い。
年 式→2011
カタログ重量→310g(実測重量→305g)