購入価格 ¥13,000 (ペア、近所のプロショップで)
1か月ちょっと、1,500kmを程使ってみての感想です。
走っているのは舗装の良い川沿いの道、トラックの轍が若干ある2車線道路、小石やら砂利やら浮いていて舗装もつぎはぎ・穴だらけの荒れた農道です。峠ではまだ使ってません。
ライダーは体重53kg、バイクはちょっと古いフルカーボンフレーム+アルミセミエアロリム(前後セット約1,900g)の組み合わせ。荒れたセクションが行程内にあるので同社のクリリオン使ってましたが、1,000km走らないうちにうっかりサイドをザックリやってしまったこともあって、奮発して前評判の高いコレに替えてみました。
まずはパナのR-Airと組み合わせて、7.2barで。20km位までは漕ぎ出しが劇的に軽くなったりすることは無かったです。が、ペースが上がってくるとあまりの乗り心地の良さに声を上げてしまいました。まるでVeloのジェル入りサドルカバーつけてるみたい。クリリオンが硬めだったので余計に柔らかく感じたというのもあるでしょうけど、乗り心地の良さを期待して買う人は大体満足できるのではないでしょうか。パッケージの帯を外した時にも思ったことなんですが、ちょっとリム打ちパンクが心配になる位サイドが薄くて柔らかいんです。で、実際に乗ってみると、接地面がムニュッと変形してます。ハンドルやブラケットを通じて変形の度合いと路面の状況がちゃんと伝わってきますし、変形といっても左右方向の撓みはそれほど強くなくて、上下方向に潰れることで衝撃を吸収しているので、コーナリングでグンニャリヨレて怖くなることはなかったです。120kmまで連続走行してみましたが、疲労感が随分少ない! まったり長距離走りたい人はモチモチのR-Airか、コーナリング重視にしたい人は、まだ試してませんがラテックスチューブがいいかもしれません。私の個人的な好みはビットリアEvo55gです。ビシッとダンピングの効いたドイツ車みたいで、だけどケツバットにはならないバランスの良さが気に入りました。R-Airにするかビットリアにするかは走行距離で決めるといいんじゃないでしょうか。100kmまではお好みで、それ以上なら疲れの少ないR-Airが良さそうです。
前後方向のグリップ感やトラクションの掛かり具合は、絶賛する程ではなさそうですが特に不満も感じません。転がり抵抗は相当低いようで、ニュルンッと特に抵抗を感じることもなく45km/h位まで加速してくれます。空気圧を段階的に6.8barまで落としたり、7.5barまで上げてみたりして様子を見ましたが、推奨圧の範囲内(6-8bar)ならば極端にペダルが重くなったり軽くなったりしないようです。少なくとも、今まで短い登りも含めてタイア由来の重さを感じる場面はありませんでした。アルテのブレーキとの組み合わせで制動距離も文句なしの合格点。あえて難癖つけるとすれば、走行音は静かな一方でグリップの強いトレッドゴムが小さな石や砂を拾ってパラパラと音がする点でしょうか。ライダーが貧弱なので単独だと平地で維持できる巡航速度はせいぜい37km/h止まりなんですが、その程度までなら速度維持性能もいいんじゃないでしょうか。チューブをビットリアEvo55gにしてみたところ、乗り心地はすこし硬質になるものの慣性重量が軽くなることもあってか1~2km/hの平均速度上昇が望めそうです。もっと望むならホイールごと交換、ですかね。もっと突っ込んだ点は40km/h超の巡航も余裕だし軽量ホイールだって持ってるぜ!という健脚ライダーさんにお任せしたいと思います。
左右のグリップ感がこれまた良好です。トレッドゴムはセンターとショルダー部で異なるコンパウンドを使ってますが、路面が綺麗なら40km/h位まで躊躇なくバイクを傾けられます。ただし断面形状が完全な円形ではなくショルダー部が僅かにアールが緩くなっているので、前述のタイア変形量とネチョネチョ粘る柔らかショルダーコンパウンドで押さえ込んでいる感触が強いですが、6.8barでもあまり怖くはありませんでした。グリップ限界を超えると一気にスパーンと持って行かれそうな気がしますが50km/h超になるような峠の下りで使っていないので、この点についてはまだ何ともいえません。路面状況とグリップの感触が掴みやすいので大丈夫だろうとは思いますが。ウェット路面でも極端にグリップが落ちることはありませんでした。プロ3グリップも出るとのことですが、雨天時に峠の下りやレースで使用するので無ければ現状のままでも十分以上だと思います。
耐久性についてはまだ1,500kmしか使ってないので断定的なことは言えませんが、軽量レーシングタイアとしては割と良い部類なんじゃないでしょうか。心配していたリム打ちも含めて、パンクは一度もありません。ちょっとした段差や舗装の接ぎはサイドが変形していなしてくれます。歩道などからジャンプを決めたりしなければまず大丈夫でしょう。が、柔らかいトレッドゴムが災いしたのか500km走行した時点でフロントのトレッドに横方向5mm程の深い亀裂が入っていました。摩耗は殆どしてない(1,500km時点でもフロントにはうっすらとセンターのパーティングラインが残っているほど)ので、何か鋭利なものを拾ってしまったか、もともとそこだけ弱かったのか、どちらかだと思います。リアタイアは6分山程度、どちらもまだ大きな性能低下はありませんが、センタートレッドに小じわが増えていることから、トレッドゴムの劣化はプロ2レース同様早いのかもしれません。サイドは何ともないんですが。もう一つ欠点を挙げると、これはプロ3レースに限らずハイグリップタイア全般に言える事なんでしょうが、深い轍にはタイアが引っ張られます。一度、交差点を25km/h程度で旋回していたら、トラックの轍にフロントを持って行かれそうになり2輪ドリフトしました。ショルダーが踏ん張ってくれたのでコケずにすみましたが。サイド断裂やトレッド亀裂の進行・再発がなければ宣伝通り3,000kmまで持ちそうです。今のところトレッド亀裂は広がる気配がないので無視して使っています。ローテーションして使いきったら最終的なレポを、ということで。レーシングスピードでの限界性能はまだ試してないので、すでに使ってみたという方、どうかレポよろしくです
総じて、すごく良いタイヤだと思います。フロントのトレッド亀裂の件と、リアのケーシングにも部分的な歪み(極僅かです)がある点から、品質管理に若干の問題を抱えていそうですが、これはまだ初期ロットなんでしょうから改善してくれることを期待します。とにかく、気持ちよく転がり、曲がり、なおかつ安楽至極なので私のようにロングライド中心でレース出走にはあまり関心がない人にぜひ試してもらいたいと思います。快適性向上の為にホイール・フレーム含めてカーボンパーツ欲しいなぁなんて思っている方はとりあえずお手持ちのホイールにコレを履かせてみて下さい。考えが変わるかもしれませんよ。この価格帯だとシュワルベ・アルトレモやコンチ・GP4000Sあたりと競合する商品だと思います。事実どれにしようか私も店頭で小一時間悩みました。どちらも良いタイアなのでしょうし個々の性能を細かく比較すると一長一短あるのでしょう。全ての性能においてプロ3レースがベスト!だとは思いませんが、トータルバランスは非常に優秀だと思います。一本5,000円台で買える店もあるみたいですが、でもやっぱりちょっと高い・・・。いや、レーシングタイアであることを考えると納得できるんですがぜひとも普段使いにしたい快適さをこのタイアは持っていることが使ってみて分かりました。一方で、このタイアのすぐ下のグレードがクリリオンというのは、あまりに性能のギャップが激しすぎるのではないかとも思います。レースだけじゃもったいないこの快適性を、転がり抵抗とコーナリング性能を1ランク落としてでもいいから定価5,000円、実売4,000円位で商品化してくれると、ふだんから気兼ねなく使えるんですけどねぇ・・・。
価格評価→★★★☆☆(定価~6,000までなら。5,000台なら★x3.5にしたいです)
評 価→★★★★☆(更なる品質向上を期待して、-1)
<オプション>
年 式→2008/04
カタログ重量→200g (実測重量215g)