購入価格: 完成車付属品
標準価格: 不明
『何の不満もなく使えるシマノ11速対応チェーン』
■ GIANT DEFY1 DISCに付属
私のロードバイク「GIANT DEFY1 DISC」には、メインコンポーネントに105 5800シリーズが採用されているが、チェーンは「KMC X11L」という11速用のチェーンが使われている。私はコンポーネントを全て105に近づけるため、クランクセットをFC-5800に交換したのと同時に、チェーンもシマノの「CN-HG600-11」にした。早々に交換したパーツではあるが、インプレッションを投稿してみたい。
KMC X11L SILVER
■ DOBULE X BRIDGE SHAPEと肉抜きされたプレートが特徴
KMC X11Lは、シマノ・SRAM・Campagnoloのロード・MTBに対応した11速用チェーンだ。GIANTの11速用のロードバイクに採用されている。上位のADVANCED PROグレードにまでこのチェーンが使われており、GIANTは十分な性能を確保しつつ、コストダウンを果たしたということなのかもしれない。ただし、X11L GOLDなどのKMCの上位グレードの11速用チェーンは単品で買うと高い。
外見上の大きな特徴は、「DOBULE X BRIDGE SHAPE」と呼ばれるアウタープレートの形状だ。メーカーサイトによると、素早いシフティングとスムーズな動作を実現するテクノロジーらしい。プレートは左右対称形状になっており、チェーンの取り付けが簡単で、完成車メーカーが自転車を組み立てる上でメリットがありそうな仕様だ。
もうひとつの外見上の大きな特徴は、インナープレートが肉抜きされていることだ。これは軽量化に貢献するはずだが、シマノがDURA-ACE/XTRグレードでさえ肉抜きプレートを採用していないことを考えると、耐久性と剛性が心配だ。尚、以前のKMCのモデルよりは10%耐久性が向上しているとのこと。
プレートをよく見ると、CN-HG600-11のように外側と内側がえぐれていて、ギアの歯がかかりやすそうな形状になっている。だが、CN-HG600はインナープレートとアウターブレートが重なる部分まで加工されており、KMX X11Lとは細部で形状が異なる。
KMCの他のチェーンと同様、接続は「ミッシングリンク」で行う。ただし、11速用のミッシングリンクは再利用不可能となっている。
アウタープレートの”DOBULE X BRIDGE SHAPE”が特徴。表面処理はニッケルコーティング (左)
プレートの形状は似ているように見えるが、実際には異なる部分が多い (右)
■ 性能に特に不満はない
実際に走行してみると、前後共に全く問題なくスムーズに変速する。フロントのシフトアップでガチャガチャ音を立てることもないし、リアの変速は極めてスムーズだ。純正のチェーンオイルは粘度が高く、砂埃を吸い寄せやすいが、チェーンの滑らかな潤滑には貢献しているようだ。
だが、CN-HG600-11にはわずかに変速性能が及ばないような気がした。フロントの変速性能の差は顕著で、CN-HG600-11では、チェーンがアウターギアによりスムーズに乗り上げ安定してシフトアップできるようになった。これはシマノのギアの歯先形状に最適化したHG-Xチェーンが効いていると思う。
また、KMC X11LとCN-HG600-11の可動部を手で動かすと、KMC X11Lのほうが動きが渋いリンクが多く、CN-HG600-11のほうが明らかにスルスルと動く。これはフッ素加工の低摩擦表面処理「SIL-TEC」の有無が影響していると思う。X11はプレートが全てニッケルによる表面処理になっており、これでも走行中の潤滑性は決して悪くないが、シマノの上位グレードになるほどSIL-TECとの差が出そうな気がした。
シマノの11速用コンポーネントとの相性は良好。全く問題なく動作する
■ 無理に交換する必要はない
KMC X11Lは、致命的な欠点があるわけでもなく、十分に高い性能を発揮するチェーンだった。GIANTがこのチェーンを採用したことも納得はできる。ただ個人的には、シマノのギアの歯先形状に最適化したHG-X11と低摩擦表面処理SIL-TECの差が性能に現れているように感じた。決してX11Lは無理に交換する必要のないチェーンだが、よりスムーズな動作を求めるなら、チェーンの交換時期にシマノ製にしてもいいと思う。
価格評価→★★★★★ (完成車付属品。単体で購入できるならCN-HG600を買う)
評 価→★★★★☆ (特に不満のない性能。無理に交換する必要はない)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→268g(116リンク)