購入価格 ¥完成車付属
馬鹿野郎!
さっきから黙って聞いていれば「フロントの変速はあまり使わない」だの「俺はクライマーだから」だの
負け犬の傷のなめ合いのような発言ばかりしやがって!
できるやつはできるし、できないやつはできない、だと?
そんな考えであるうちは、たとえ得意分野で頑張ろうと思ったところで、
得意分野で壁にぶつかったときに何だかんだ言い訳してまた逃げようという気持ちになるだけだ!
いいか!人生は格闘技!自転車もまた格闘技なんだよ!
これだけ力説しても俺の言いたいことは3分の1も伝わらないだろうから、
どうやらここは俺の少年時代のことを話さなければならない流れのようだな・・・
あれは俺が小学生の頃の、ある夏の日のことだ。
俺は小学生の頃は体が小さく、おまけに極度の運動音痴で、
かけっこをすればクラスで一番遅く、器械体操をすればもれなく怪我をし、
団体スポーツではみんなの足を引っ張るという有様であった。
その日も体育の学習で、炎天下の暑い中、運動場でマラソンをしていた。
文武両道、何をやらせてもクラスで常に一番の秀才、しゅういちが力強く先頭を引く声がこだまする。
しゅういち「デヤァァァーーーッ!」
その気合は校庭じゅうにこだまし、他のクラスメイトたちを圧倒していた。
その走りはサバンナの野生動物のように力強くかつしなやかで、みるみるうちに他のクラスメイトたちを周回遅れにしていく。
そして、授業が終わり、昼休み。
くたくたに疲れた俺は、校舎内で唯一クーラーのかかる図書室で友達とのんびり過ごしていた。
謎の友達「今日のマラソンきつかったなぁ・・・夏にマラソンなんかするなよ!疲れるからァ!」
俺「ガハハハハハ!
まじめに走るからだよ!
俺はゆっくり走ってたから、そんなに疲れなかったぜ!
どうせ足の速さなんて生まれつき決まっているし、別に将来の役にも立たないしね!」
その瞬間である。
偶然にも俺の後ろで本を読んでいたしゅういちの眼が鋭く光り、空き地の土管のように太い腕からくり出された豪腕パンチが俺の顔
面めがけて襲いかかった。
しゅういちの拳は完全に不意を突かれた俺の顎を的確に捉え、俺の体は図書館の宙を舞った。
しゅういち「馬鹿野郎!そんな考え方では、足の速さだけじゃなく本当に負け犬になってしまうぞ!」
そう言うと、しゅういちは俺を連れて誰もいない視聴覚室に入っていった。
そしておもむろにあるビデオを取り出して、こう言ったんだ。
しゅういち「見ろつよし。これが世界最高峰の鉄棒の演技だ。
確かにこの人には才能があり、俺たち凡人が努力をしても追いつけないだろう。
身長だって同じだ。クラスには背の高い奴もいれば低い奴もいる。
このように、目に見えないだけで、あらゆることに才能の壁というのはあるんだろう。
しかし、逆に言えば、身長の一番高い奴と一番低い奴を比べてもせいぜい1.2倍くらいなんだから、
意外と思ったより差はないじゃないか。
鉄棒にしたって、同じ人間がこれだけのことができるんだから、
俺たちも頑張れば、半分くらいのことはできるようになるんじゃないのか?
大切なのは結果じゃなくて、そこに到達するまで頑張るという気概じゃないのか?」
その後のビデオの後半の記憶はない。心の汗で滲んで見えなかったからだ。
俺は負け犬だった。
負け犬というのは、戦って負けた者のことではなく、戦わずして逃げた者のことなのだ。
俺は「走るのは得意じゃない」「別に運動ができなくてもいい」といって自分の苦手な物から逃げ続けてきた。
きっとそうして培われたメンタルは、将来、運動とは違うまた新たな壁にぶち当たった時、逃げという選択肢を俺に取らせるだろう。
今の俺に欠けていた物は、できるかできないか、他人と比べてどうかに関係なくベストを尽くす気概だったのだ。
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【要点をまとめます】
あれはつい最近のことだ。
フロントディレーラーが壊れました。
フロントにしろリアにしろ、ディレーラーそのものが破損することはあまりないだろう、
それゆえどれくらいの走行距離、期間で経年劣化が起こるのかをレビューすることに意義はあるかな、
と思い、筆を取りました。
【新品の頃】
走行距離12000km、約2年経過まで。
私にとって初の10速、「シャンッ!」というしなやかで俊敏、気持ちの良い変速フィーリングが印象的でした。
一方、9速の頃よりも、調整はややシビア、チェーンの寿命もやや短くなったかな、と感じていました。
また、これは後になってわかることですが、同じ10速でもアルテグラの方が、変速の際の感触に剛性感があります。
【中期】
走行距離12000~30000km、約5年経過まで
頻繁にフロントディレーラーの羽の部分が曲がる(広がる方向に)ようになりました。
最初に気付いたのは約2年経過、走行距離10000kmを少し超えたあたり。
フロントがアウターに上がりにくくなりました。
とくにリアがローギア側4枚以内に入っている場合は、チャリチャリ言うばかりで本当に上がらないという有様。
お店で相談すると「シマノ病」だの「105はここが弱い」だの「乗り方が乱暴」だの色々言われました。
で、ペンチで曲げ戻して、きれいに整形してもらいます。変速性能は一時的に新品状態に戻ります。
しかし金属疲労によるものでしょう、次は半年後、その次は3か月後・・・
というように、だんだん曲がってしまうまでの期間が短くなって行きました。
そして曲げ戻しも5回目ほどになった今年の春、「そろそろ寿命でしょうね」と言われました。
【末期】
走行距離30000kmくらい、まる5年が経過
1分程度で越えてしまう小さな丘を越える際に、いつものように
丘の手前までにアウターで加速→丘を上りながら失速してきたところでインナーに落とす
という走りをしていた時のことだ。
「バチン!」という感触。
その後アウターに入らなくなりました。シフトレバーはスカスカな感触。
ワイヤーが切れたのかな、と思って停めて見てみると、なんとフロントディレーラーそのものが割れていました。
とりあえずその後はインナー固定で予定通り走り
(下りで足が回り切っちゃって安定感を欠くこと以外には走りに影響がなかった俺の平地巡航速度が悲しいw)
復路、自転車屋へ。
偶然居合わせた店の常連たちの興味津々なコメントがこだまする。
「どんな使い方したんだよ」
「ここってこんなふうに壊れるものなんだねw」
俺は悟った。
どうやらイチマルゴの寿命はまる5年、といったところのようだな・・・
総じて、走行距離、使用期間を考えれば、よくもってくれたと言うべきでしょう。
価格評価→★★★★★(よく頑張ってくれた)
評 価→★★★☆☆(多段化、軽量化よりも、変速の正確さ、耐久性を追求してほしい)
年 式→2009