購入価格 ¥ リアハブ9677円+リム9900円+スポークは廉価
現代に蘇る昔風リム!?のAMBROSIO NEMESIS・・・クラシカルな風合いで、造りが丁寧でしっかりしていて、お値段も手頃。タイヤのバルブ径スレスレのガイド構造となっているバルブ穴のおかげで、カンペキなチューブラタイヤ・セッティングが可能です。これにシマノのFH-6800とDTのスポークで組みました。
アルテグラの11速用フリーハブFH-6800は同社の旧来のフリーハブと比較しておちょこ量が増大しており、手組作業に少々ストレスを感じてしまったのは既報の通りです。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13539&forum=26&post_id=23488#forumpost23488しかし、組んでしまえば何のことはない、真っ当なホイールになりました。
クラシックなリムを使った平凡な32H6本組(というか3クロス)ホイールとして、特に不満は感じません。まだほんのわずか1000km程度しか走行していないので断定など到底できませんが、フリー側と反フリー側のスポークテンションの比率が2.0を超えていることによるフレの出やすさへの影響は感じられません。現在は10速で使っていますが、いずれフリクションWレバー変速で11速にしてみようと思います。
で、このリアホイールを空転させると、従来のシマノハブとの違いを実感することになります。
「某他社製の爆音には遠く及ばないが、ラチェットの音が大きい!」
FH-6700やFH-6500他、過去のシマノ製ロードハブの空転音は比較的静かで、特にFH-6700は静かでした。(私のだけか知らん?)
というわけで、静寂の極みだったFH-6700ホイールと今回のFH-6800ホイールのラチェット音を相対比較してみた結果を報告します。
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■■■ ラチェット音の違いを聴いて確認! ■■■
リムとスポークが同一銘柄で、ハブがFH-6700とFH-6800。その音の差は如何に!?
後輪を浮かせて、勢いよく空転させ、自然減速途中、時速37km/h付近からの8秒間の音をお聴きください。最初がFH-6700、次がFH-6800です。
FH-6700+AMBROSIO Nemesis 32H +DT Champion 1.8mm
FH-6800+AMBROSIO Nemesis 32H +DT Champion 1.8mm
FH-6800の音のデカさは、一聴瞭然。
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■■■ 試験方法の説明 ■■■
試験方法の説明です。
三脚にセットしたPCMレコーダをこんな風にセットします。上から見下ろした画像です。ハブのワンウェイ・クラッチ部を20センチほどの距離から斜めに見下ろすような位置です。FH-6700と6800で同じ距離にしますが、MINOURAの簡易スタンドの端部からの距離を管理することで同一距離を維持しています。
この状態でクランクを回して速度を上げて、その後、空転させて自然減速させます。
こんな風にして録音したのが先ほどの音です。
なお、PCMレコーダの設定は以下の通りです。
●サンプリング周波数:96kHz
●AD変換:24bit
また、部屋は洋室ですが、かなりのニア・フィールド録音なので、部屋の影響はそれほど大きくないと思われます。
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■■■ 音の比較 ■■■
それぞれの音圧波形を時間軸上で比較します。
上段がFH-6800、下段がFH-6700です。
これは、時速36.8km/h付近での、ホイール1回転の時間の長さを切り出して示しています。ラチェット機構の爪がノッチを乗り越えるたびにパルス的な音を発しますが、FH-6800の画像では18個、FH-6700では16個の波形が確認されます。すなわち、
FH-6800 ・・・ ノッチ数18
FH-6700 ・・・ ノッチ数16
であることがわかります。まさかノッチ数が違うとは、これを見るまで気が付きませんでした(笑)。
次の波形は、上記の1回転分の波形を周波数軸上に変換して示したものです。
縦軸横軸ともに対数表示であることに注意してください。
横軸は周波数、縦軸は記録された電圧で、音圧に比例した量です。FH-6800は6500Hz付近にピークが存在しています。音圧レベルにも大きな差が見られますが、わかりやすくするために同一グラフ上で比較すると、下のようになります。
音圧ピークで比較すると、18.5dB(デシベル)ほどの差があります。
また、全周波数領域を足し合わせて比較すると15.9dB程度の差があります。
dBというのはエネルギーの大きさを比較する単位ですが、0dBで1倍、10dBで10倍、20dBで100倍の差、という関係がありますので、
音圧ピーク周波数で比較 18.5dB ・・・ 70倍
全周波数領域総和で比較 15.9dB ・・・ 39倍
という関係になります。つまり、
「FH-6800はFH-6700と比較すると数十倍うるさい!」
または
「FH-6800はFH-6700と比較すると音が数十倍大きくていい気持!」
ということになります。
参考までに、次の波形は、回転が停止する手前およそ40秒間の時間波形です。
停止直前のFH-6700の音はまるで、アナログ腕時計の針音のように小さな音です。
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というわけで、FH-6800は音がでかい!ということと、そのデカさの差が、FH-6700との比較において定量化されました。
ラチェット音は静音が好みの方、爆音が好みの方・・・様々だと思いますが、あなたはどちらが好みでしょうか!!
価格評価→★★★★★(リアハブ9677円+リム9900円+スポークは廉価)
評 価→★★★★☆(ホイールとしては至極真っ当)
年 式→2015