購入価格: ¥2,050 (税込)
標準価格: ¥2,619 (税込)
『シングルスピードを安全に楽しめる厚歯のフリーギア』
■2回めの投稿
SHIMANO SF-1200 フリーホイールは、厚歯(1/2×1/8”)のシングルスピード用のフリーギアだ。GIANT FIXER Rの納車の際に18Tから16Tに変更してもらって取り付けたものだ。前回の投稿からさらに使い続け、分解やグリスアップを行って評価が変わったので、もう一度レビューすることにした。使用期間は1年11ヶ月くらいほど。
・SHIMANO SF-1200
■奇数と小さい歯数はラインナップにない
SF-1200は16T、18T、20Tがラインナップされている。構造上あまり小さく出来ないためか、16Tより小さい歯数はない。16Tにしてもまだギア比を上げたいなら、チェーンリングを大きくするしかない。という私も、チェーンリングは44Tから48Tに変更して納車した。
また、何故か奇数のギアもラインナップされていない。17Tを使いたいなら、BMX用のSHIMANO SF-MX30がある。こちらは箱に「Usable with 1/8” & 3/32”」と書いてあり、厚歯でも薄歯でも使える仕様だ。ちなみにFIXERにはSF-MX30の18Tが付いていた。薄歯でも特に問題はないと思うが、全て厚歯で構成したいときに17T、19Tがないのはちょっと寂しい。
■36ノッチではなく20ノッチ
前回36ノッチと書いたが、分解して数えたら20ノッチだった。ネットショップの情報を参考にしたと記憶しているが、実際に回して数えて確認すれば済むことだった。20ノッチの360°/20=18°では遊び角度が小さいというほどではなく、足を止めた状態から踏み込んでも素早く力がかかるという感じではない。固定ギアのダイレクト感を味わうようになると、このフリーギアでは遊びの大きさがどうしても気になってしまう。
■使っているうちに大きくなる音
SF-1200は購入後から暫くの間は、異音もなくとても静かだ。ラチェットの音が非常に小さいので、川の土手などでは歩行者に存在を気づかれにくい。驚くほどの性能はないが、チェーン離れの音も気になるほどではないし、スムーズに動作していたと思う。
だが、使っているうちにベアリングの音が気になりだした。カラカラ、カチカチという接触音やシャーッという音だ。BBやシールドベアリングのグリスが無くなった音に似ている。SF-1200は外側に隙間があり、そこから水や異物が入りやすい。洗車の際に水が入ったのかもしれない。また、個体差なのか、歯の付いている輪が左右にカタカタと動いて遊びがあった。このことも影響しているのかもしれない。
シングルフリー抜きとカニ目レンチがあれば分解できるが、工具とSHIMANOのフリーギアの値段と大差はない。音の大きさが気になったら、交換するのもいいかもしれない。
・隙間からフィニッシュラインのオイルを入れてみたが、音はそれほど小さくならなかった
■分解すればグリスアップも可能
上記の動作の音とは別に、いつの間にか中からガラガラと異音がしてストレスを感じるようになった。異音の原因がわからないまま買い換えるのは面白くないので、シングルフリー抜きとカニ目レンチを購入して分解してみた。
フタを開けて中を見てみると、二つある爪のうちひとつが爪を押さえるスプリングから外れていた。ギア比が高かったこともあり、加速や坂道での強い踏み込みで取れてしまったのだろう。ここはもうちょっと強度や外れにくい工夫が欲しいところだ。
爪を元の位置に戻すのと同時に、グリスアップも試みた。爪やラチェットには薄くグリスを塗り、ベアリングの部分にはやや多めにグリスを塗った。ベアリングの方は防水や防塵を期待した。グリスの粘度や量には注意。粘度が高いと重い動きになり、量が多いとグリスが詰まってクランクも一緒に回ってしまうからだ。本来ならSHIMANOのフリーハブボディグリスを使うところだが、使う機会のなかったAZのリチウムグリースを詰まらない程度に薄く塗った。
グリスを塗布したら元通りに組み立てる。カニ目レンチでフタを締めるときに、同時にベアリングの玉当たり調整も行った。ギアが左右にカタカタ動かないようにしつつ、滑らかな回転を狙った。
グリスアップ後は、走行中にフリーギアから聞こえる音が小さくなってとても快適になった。だが、かなり面倒な作業なので、あまり頻繁にやりたくはない。不調や異音を感じたら、工具を買うよりもフリーギア自体を買い換えるのが手っ取り早いと思う。
・左 : フリーギアをホイールに付けたままのほうが、カニ目レンチに力を入れやすい
中央: フリーギアのフタを緩めてからシングルフリー抜きでハブから取り外す
右 : ベアリングが無くならないように注意
・左 : 分解したSF-1200
右 : グリスアップの途中。写真はフィニッシュラインのグリス
■シングルフリーは楽しいが、パーツ自体は驚きがない普通のもの
固定ギアはペダルとホイールの一体感が醍醐味だが、脚を止められないのでとても気を使う。だから、交通量の多い道路や市街地を走ったり、遠出するときには、主にフリーギアを使っている。固定ギア特有のダイレクト感はなくなってしまうが、トラック由来のフレームの軽さや機敏さを味わうことができる。変速機のないシンプルな見た目もそのまま。SF-1200はシングルフリーの面白さを教えてくれた。
だが、使っているうちに音が大きくなったり、ガタが気になったり等、色々と不満も出てきた。グリスアップすれば良い状態でかなり長く楽しめるが、分解とグリスアップのはかなりの手間だ。値段を考えるとそれほど悪いフリーギアではないのだが、使っていて大きな驚きがあるというわけではない普通のパーツだと思う。
価格評価→★★★☆☆ (値段を考えると悪くはない。)
評 価→★★★☆☆ (初期の状態が長く続くなら快適。私の場合はガラガラ音が大きくなった)
<オプション>
年 式→不明
カタログ重量→168g