SHIMANO R500 ハブ流用
購入価格 ¥?(完成車付属)
手組ホイールを組む方やショップにホイール製作を依頼した事がある方、これから依頼したい方は、
「シマノハブの穴数設定のバリエーションがもっと多ければ...。」 「本当はシマノハブ使いたいのに32/36Hしかない...。」 「デュラ以外の F20 R24H ハブをお手軽価格で欲しい!!」
と考えた事がある方はとても多いと思います。 私もずっと思っています。 需要がこれだけあるのだから、105辺りのグレードで作ってガンガン売ればバカ売れだと思うのですが。 作り方が難しいのかと言えば恐らくそんな事はなく、ぶっちゃけNC加工機のプログラムをコピペしてスポーク穴の座標値のとこだけ書き換えたらおしまいだと思うのですが...。それでも作らないシマノの不思議。
いや、実は作っているぞ…!!
てな訳で、シマノから発売されている前後セット約10,000円弱のエントリーグレードホイール、R500を分解すると得られる手組ホイール用ハブについてレビューします。
【スペック】 スポーク穴数 F20H R24H ←本レビューはこちらの方 ベアリング形式:カップアンドコーン式 対応ギヤ数:8、9、10速対応 重量:興味無いので量っていない。 価格:リムとスポークとニップルが付いて、前後セット1万円弱。
【価格と入手性】 R500ハブはリムとスポークとニップルが付属し、購入したら即座にハブの慣らし運転を開始できるよう、ホイールとして組まれた形で売られている。(←我ながら酷い解釈w) この状態で前後セット1万円弱。ハブ自体は前後セット3,000~4,000円ってとこじゃないでしょうか。同じ F20H R24H の設定があってそこそこ流通量もあるTNIエボライトハブが前後合わせて2万円ほどする事を考えると、凄まじい安さと言わざるを得ない。 入手性に関しては、よく完成車に付属しているせいもあってそのら辺の中古屋によく転がっている。新品でも普通に買える。
【性能】 [その1 回転性能] ハブ軸の回転精度はママチャリ以上、ティアグラ以下。ティアグラですら玉当たり調整をきちんとすれば、スッ...と滑らかに回るのにR500は基本的にゴロゴロ。 しかも、私の個体だけかもしれないが、必ず玉が引っ掛かる場所がある。ボールレースや玉には傷が無いので、ボールレース自体がミクロ単位で楕円になってるんじゃないのかと個人的には思っている。 フリーボディの方は手で回すとダストシールが硬めで、そのせいか空走で若干伸び悩む感じがある。また、アウターローに入れて後輪を空転させるとフリーボディが引きずられてクランクが勢いよく回る。(シマノフリーあるある。) そーいうのは期待してはいけません。でも普通に乗っている限りでは何ら問題はない。
[その2 シール性能] シール性能は他のシマノ製品同様しっかりしている。 固形異物混入は今まで皆無。 デュグリスを詰め込んで蓋しとけば2~3年放っておいても何ら問題は無い。 フリーボディのシール性能も非常に良く、回転性能に若干悪影響を及ぼす代わりに異物混入は気にしなくて良い。
[その3 耐久性] 耐久性に反しては長い間未知数だったが、9年目を迎えてフリーボディから軋み音が出てきた。グリース切れではなく、金属表面が荒れたような感触がするので相当ヘタってるようだが、非分解(私は自作特殊工具の類は持ってません)なので中身は確かめていない。 ハブ軸はゴロゴロと元気に回るのでまだまだいける。 フリーボディはスチール製なので、スプロケの食い込みや、ロックリングを締め損ねてネジ山を破壊する心配をしなくても良い。 フリーボディのシール類も9年間何ら問題無し。 とりあえず、きちんとメンテしていれば10年ぐらいは使えると思います。 ちなみにフリーボディのメンテ方法は、年1回ぐらいシールを剥がして隙間からパーツクリーナや灯油を流し込んで洗浄し、乾燥させてからデュラグリースを隙間からバターナイフやマイナスドライバを使って無理矢理押し込むという方法だ。 グリースが充填されたかどうかは音で判断。 これで案外いけますよ。
[その4 重量] ティアグラや105と材質も構造も似たようなものなのでほぼ同じだと思います。それ相応には重いですが、私個人としては、走りにおいて重要なのは、ホイールの動的バランスと各パーツの投影面積の総和とリム重量と考えています。 そう考えると回転中心の重量なんてどーでもいいです。
[その5 ラチェット] ラチェット音は割と静かな方です。 音質も至ってフツー。 カンパやマヴィックの様なパキパキ音や、GOKISOやクリスキングのようにきめ細かで上品な音は期待しないでくださいw ...ってR500を使った事ある人は結構おられると思うので皆様ご存知ですよねw 静か過ぎてお気に召さない方は、ダストシールを剥がして中を脱脂してテキトーなオイル(液体のもの)を注すと一昔前のカンパホイール並みの爆音になり、ついでに空転が滅茶苦茶軽くなります。ただ、ゴミが入りまくって耐久性を大幅に削るので決戦用スペシャルチューンぐらいにお考えください。 逆に静かにしたい方は、フリーボディーのダストシールを剥がして適当なグリースを追加で詰め込んで下さい。
【使用感】 組みやすさは普通の10sハブと同じです。 違いと言えば組立中に、 「何でシマノハブで手組みホイール組んでんのにこんなにスポークが少ないんだ?」 という結構な違和感を感じるぐらいかと。(笑) 私はアルミリムを使用した見た目はR500なのに中身は別物な魔改造系実験ホイールを製作し、平地系普段乗りツーリングホイールとして使用しながらチマチマと改造を繰り返して実験データを収集していました。耐久性が高いので度重なる組換えやハードな乗り方にも耐えてくれます。耐久面ではとても頼もしい、いつものシマノハブです。 もし、R500ハブと軽量カーボンチューブラーリムとCX-RAYで決戦ホイールを組めば、リムが終わっても何度でも組み直せる決戦用スーパーR500の出来上がりだ。 もしR500ベースのホイールでレースイベント等に参加して勝ってしまったり、有名メーカーのカーボンホイールを履いた仲間をブッちぎってしまった日にはもう笑いが止まらないだろう。 ハブの耐久性が高いので、R500より丈夫で速くて快適な爆速系通勤用ホイールを組むのも面白い。
と、色々書きましたが手組み用ハブなんて基本的に使い方は無限大なのだから好きにすればいいと思います。 ギヤ設定が10sまでなので、11sコンポの皆様が使えないのが残念ではありますが、逆に10sコンポを末永く使いたいという方には良い選択肢になるかと思います。
【まとめ】 エントリーグレードのホイールをわざわざバラして何やっとんねんとツッコミが入りそうだが、冷静に考えて頂きたい。カップアンドコーンベアリングで、8,9,10速対応で、首折れスポーク用で、F20 R24H という希少過ぎるスペックをもつ奇跡のハブは世界に唯一このハブだけ。 回転精度はイマイチですが使う分には何ら問題無く、カップアンドコーンでメンテナンスや調整が容易。 耐久性はピカイチ。 穴数設定は競技でも普段使いでも応用性の高い F20 R24H。 TNIエボライトハブが前後合わせて2万円するするのに、リムとスポークとニップルが付属し、ホイールの形に組まれて慣らし運転準備完了の姿で、お値段前後セット1万円とは凄まじい安さだ。 ギヤ設定が10sまでなので、11sコンポの皆様が使えないのが残念な所ですが、敢えて10sという方には良い選択肢。
価格評価→★★★★☆(ハブ単体で売ってたら★5。) 評 価→★★★★☆(結構良い。) <オプション> 年 式→2009
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