購入価格 ¥9677
アルテグラの11速フリーハブ。
長年使ってきた旧々々アルテFH-6500が47000kmを越えたところで息絶えたので、コレに交換。本当は旧品が良かったのですが、入手が難しくなっており、止む無し。
とはいえ、透明感のある落ち着いた雰囲気は悪くはないと思います。これならスチール・ロードにも何とか合わせることが出来そうです。
何色と言えばいいのか? 微妙な色彩差を言い分ける和色の中にしか具体的な色の名称が見つけられないかもしれませんねぇ。和物感のある色彩です。
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さて、形状的な見た目は旧アルテの6700と似ていますが、変化があります。
軸受構造が変わっています。従来のshimanoハブは、特に取説を見なくても容易に組ばらしができましたが、6800は従来品と軸部の見た目が異なるので、思わずWEB上のマニュアルを見てしまいました。
生産地が変わっています。FH-6700は日本製でしたが、FH-6800はマレーシア製です。
フランジ幅が変わっています。FH-6700の59.2mmからFH-6800の56.9mmと、一気に2.3mm(3.9%)も減少しています。この数値は、ホイール剛性に直結しますが、少し気になる変化です。
オフセット量が変わっています。下図でフランジ幅をホイール中心から分ける左右の値dLとdRの比が、FH-6700の1.846からFH-6800の2.043に、一気にアップしています。10.7%のUPです。ちなみにこれまで使っていたFH-6500は1.749ですから、これを基準にすれば16.8%の増大、です。これは曲者です。
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FH-6500とのオフセット量の差。
わずかな差に見えますが16.8%、この影響は結構なものです。1982年秋の初手組以来、ロード用ホイールはすべて手組で対応してきました(とはいっても大した経験があるわけではありません) が今回、十年一日の如くいつものように32Hチューブラリムで手組してみて、
「・・・これはいかがなものか」
とまじめに思ってしまいました。
今回のリアホイールでは、フリー側と反フリー側のスポーク・テンション比率がほぼ2.043対1となりますが、こんなアンバランスなテンションで平凡な32H6本組(3クロス)のホイールを組むことに結構なストレスを感じてしまった、というわけです。なお、リムは精度の高い(チューブラリムの割には、ですが)Ambrosio NEMESISです。
次にdL+dRの減少。
ペダル経由で自転車にトルクを投入する場合、足の力のかかるポイントが車両中心から外れており(Qファクタ)、モーメントが発生しますが、これのカウンタがタイヤ接地面での横方向への力となります。ホイールのフランジ幅が大きければ、この横力に対する剛性(ばね特性)が強くなります。フランジ幅が低下すると、この剛性が低下します。これを補償する手段としては、モーメントを減らす、つまりQファクタを低減させてタイヤ接地面の横力を低減させるという手も、あることはあります(が、何分、Qファクタはマン・マシン・インタフェイスの数値なので、気楽に小さくしてよいというものでもないですが)。
シマノのハブ設計部門の葛藤が想像されます。
(以下、100%、妄想フィクションです、念のため)
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dL/dRが2を超えるのは何とか避けたい
しかし、チェンのサプライヤは、スプロケピッチの狭窄化にこれ以上は応じられないと、一歩も引かない
エンド幅130mmは8速時代から守り抜いてきた我々の誇りだ
フランジ幅dL+dRも確保したい
すると容易にdL/dRが2を超えてしまう
だからといって11速化を避けて通ることは許されない
エンド幅135での12速化を圧倒的に有利に進めるために、今、何を選択すべきか考えろ、との指示が上から落ちてきている
う~む、型番ごとに互換性が無くなる事態からそろそろ足を洗いたいというのも切実だが ・・・
ここは残念だがdL/dRは2を超えて2.0台前半に収めることで妥協するしかない
そうだ、2.10は絶対に越えてはならぬ
この際だ。フランジ幅は78デュラ以降すでに実績のある56.9をそのままスライドさせよう
大丈夫。この数値減少による横剛性変化がわかるユーザーなど、絶対にいない
とはいえ、dLとdRの数値を文書掲載するのは、控えよう
他社のフランジ幅に対しては十分なアドバンテージがある
それにしても、完組みホイールを選択すればそれまでなのに、なぜハブ単品でこんなに苦労しなければいけないんだ
工業製品とは、そういう深い悩みの先にあるものなんだ、自信を持て!
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(以上、100%、妄想フィクションです。実際はずっと高級な議論が展開されているはずです)
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FH-6800とデュラのFH-9000
11速化の副作用がこれだけはっきり表れたパーツというのは、シマノの中では珍しいでしょう。でもまだシマノはマシなのかな?
「細かいこと言うなよ。リムとスポークも含めてトータルで最適化された完組ホイールがあるじゃないか」
ということになるのでしょうが、なんだか腑に落ちないものを感じます。
高品質な手組ホイールで商売されている、腕に覚えのあるプロフェッショナルの方々の本音はどうなんでしょう??
ちなみに、以下はホイール剛性に関するレビューですが、ご参考まで。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=12650&forum=48価格評価→★★★☆☆
評 価→★★★☆☆
年 式→2015