CBN Bike Product Review

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TRP SPYRE-C


 
LZPT2IB  2015-11-25 22:44
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TRP SPYRE-C

購入価格: 完成車付属品
標準価格: 不明

『TRP SPYREのOEMモデル。引きはあまり軽くないが、制動力・コントロール性・メンテナンス性に優れた傑作』



■ GIANT DEFY1 DISCに搭載される”TRP SPYRE-C”
私の3台目の自転車「GIANT DEFY1 DISC」は、その名のとおりディスクブレーキを採用したロードバイク、いわゆるディスクロードだ。この自転車には「TRP SYRE-C」というメカニカルディスクブレーキが付属する。

完成車にありがちなシマノ以外のブレーキによるコストダウンかと思いきや、制動力とメンテナンス性に優れると評判のディスクブレーキこのこと。実際に使ってみても大変素晴らしいブレーキで、SPYRE-Cが搭載されたDEFY1 DISCを手にれたのは大正解だった。

 
TRP SPYRE-C (左)、TRP SPYRE-Cを搭載したGIANT DEFY1 DISC (右)





■ デュアルピストン式が特長のロード用メカニカルディスクブレーキ
「TRP SPYRE-C」はロード用のブレーキレバーに対応したメカニカルディスクブレーキだ。取り付け方式はポストマウントで、アダプターを介して160mmのディスクローターに対応する。完成車に付属するOEMモデルで、ショップやネット通販では販売されていない。GIANTでは15〜16万円くらいの完成車に搭載される。TRPはTektroのレーシングラインであるらしく、完成車メーカーによっては、スペックに「Tektro SPYRE」と表記されることもある。

材質はアルミで、SPYREとは表面仕上げ以外に違いは感じられない。SPYREは本体がブラックの光沢仕上げで、アームがシルバーの鏡面仕上げになっている。一方、SPYRE-Cは本体もアームも梨地のブラックで、仕上げを簡略化することでコストダウンしたと思われる。また、DEFY1 DISCにはSPYREとSPYRE SLの説明書が付属することから、基本的な仕様は同じと考えてよさそうだ。

最大の特徴は、「デュアルピストン式(対向ピストン式)」を採用したことだ。一般的なメカニカルディスクブレーキに用いられる「シングルピストン式」は、ディスクブレーキキャリパー(以下、キャリパー)に固定されたパッドに、もう片方のパッドでディスクローターをたわませて挟む方式だ。これではパッドが片減りしやすく、タッチもよくないという。SPYRE-Cは油圧式と同様に両側のパッドが動き、制動力とメンテナンス性に優れるとのことだ。

 
SPYRE-Cの仕上げは梨地 (左)、アダプターを介して160mmのディスクローターに対応 (右)





■ 性能を発揮するには慣らし運転が必要
実際に走ってみると、最初は特にいいブレーキだとは感じなかった。リアのフィーリングは良好だが、フロントからはパッドを当てるとカサカサと擦れる音がするし、強くブレーキをかけるとキュルキュルとやや大きめの鳴きが発生する。キャリパーが耳から遠い位置にあるから気になりにくいが、この音が続いたら正直困ると思った。

これはディスクブレーキの「慣らし運転」が終わっていなかったからであって、パッドとディスクローターにあたりが出ると、このブレーキの評判のよさも納得。擦れる音も小さくなり、鳴きも発生しにくくなり、制動力の高さも発揮するようになった。ちなみに、DEFY1 DISCのディスクローター(おそらくTektro TR140-2と同一品)との組み合わせでは、慣らし運転にはそれなりの走行距離と走行回数が必要だ。




■ キャリパーブレーキに近いタッチのよさ
ローターの両側をパッドが挟む構造をしているからか、キャリパーブレーキであるBR-5800でアルミリムを挟んだような感触に似ている。R55C4のようなパッドの若干の硬さを残したまま、パッドがローターをギュッと挟む感じだ。また、パッドにローターを当てても、カサカサしたフィーリングが伝わりにくく、微妙なスピードコントロールでもストレスを感じさせない。

だが、ケーブルのフルアウターが影響して、ケーブルの繊維のザラザラした感じがレバーにも伝わってくる。これはVブレーキやキャリパーブレーキでも経験済みで、テフロンコーティングケーブルに交換し、潤滑剤にシリコングリスを用いたら、ケーブルのざらついた感じは消え、タッチの良さはかなり改善された。


TRPの"セミメタルパッド"が挟む感覚はBR-5800にも通じるものがある





■ 静粛性は良好だが、ドライ用のシューをつけたリムブレーキには劣る
DEFY1 DISCに付属するディスクローターとの組み合わせでは、リアの静粛性は非常に高い。だが、フロントではシューッとやや大きめにパッドと擦る音がすることがあった。キャリパーの角度やパッドの当たり方によっては、リムがキュルキュルと音鳴りすることもあった。尚、ブレーキ操作していないときに、ローターがパッドに擦れてシャラシャラ音を立てたことはない。

静粛性はドライコンディション用のブレーキシューを装着したリムブレーキには劣るが、キャリパーの位置が地面に近いため(耳の位置から遠いため)、擦る音はほとんど気にならない。パッドとローターが擦れる音は、高速走行中はほぼ生じることはなく、急減速や停止する直前に気になる程度だ。つまり、走行中のほとんどの局面で、音が気になることは少ない。マルチコンディション用のブレーキシューを装着したVブレーキよりは、よっぽどSPYRE-Cのほうがずっと静かで快適だ。


マルチコンディション用のブレーキシューを装着したBR-T780よりもずっと静粛性が高い





■ キャリパーブレーキと同等のコントロール性
ST-5800との組み合わせでは、シマノのキャリパーブレーキとほぼ同様のフィーリング。パッドがディスクローターに当たっても、急激にブレーキ力が立ち上がることもなく、ブレーキレバーを引いただけリニアに反応し、繊細なスピードコントロールが可能だ。コントロール性はキャリパーブレーキと同等で、やや強めに握りこんだ場合には、Vブレーキよりもはるかにコントロールしやすい。個人的には、キャリパーブレーキよりもリアブレーキのみでのスピードコントロールがたやすくなったとも感じている。




■ 非常に高い制動力
SPYRE-Cが最も真価を発揮するのが下り坂だ。長く続く急勾配の下り坂であっても、上ハンのリアブレーキを軽く握るだけで、しっかり減速してくれる。私の行動範囲の下り坂程度なら、下ハンでのブレーキは一切不要だ。

平地で走行する分には、SPYRE-Cはキャリパーブレーキとほぼ同様の使用感だが、SPYRE-Cのほうが高いスピードから急減速がたやすく行える。SPYRE-Cは、Vブレーキのようにレバーを握った途中から急激にブレーキ力が立ち上がるわけではない。だから、SPYRE-Cは制動力が高くないと錯覚してしまいがちだが、これは制動力が高くなるまでリニアに効いていくからであって、実際には非常に高い制動力を有している。

制動力の高さではキャリパーブレーキに圧勝。これならディスクブレーキがダウンヒルで重宝されるのも理解できる。しかも、これだけコントローラブルなのに、高い制動力を発揮できるのが凄い。SPYRE-Cはキャリパーブレーキと同等のコントロール性と非常に高い制動力を持ったディスクブレーキといえる。


SPYRE-Cはディスクローターの両側からパッドがギュッと挟み込む





■ 引きはあまり軽くないが、実用上は問題ないレベル
キャリパーブレーキやVブレーキと比べると、SPYRE-Cはレバーの引きが重く感じる。私の握力では、上ハンで指1本でブレーキをかけることはできず、スピードコントロールも静止も、常に指2本でレバーを操作している。

救いは軽く握っただけで高い制動力を発揮することで、ブレーキ操作が苦痛になるほどではなく、むしろ下り坂では楽にブレーキをかけられる。もちろん、下ハンなら常に楽にレバーを引ける。私の弱い握力でも、実用上は全く問題なくブレーキ操作でき、長距離・長時間の走行でも疲れると感じたことはない。

前述したように、SPYRE-Cの引きには、フルアウターのせいでケーブルのフリクションが大きいことも影響している。テフロンコーティングケーブルとシリコングリスを用いたことで、引きの滑らかさは改善されたが、引きの軽さは少しマシになったという程度だった。

引きが劇的に軽くならない根本的な原因は、どうやらリターンスプリングの強さにあるようだ。ディスクブレーキはパッドとローターのクリアランスが小さく、リターンスプリングを強めにしてパッドを引き離さないと、パッドがローターに擦れてしまうのだろう。

Vブレーキやキャリパーブレーキ並みに軽い方が快適なのは確実だが、SPYRE-Cの様々なメリットを捨てたくなるほど重い操作というわけではない。平地はともかく坂はSPYRE-Cの方が楽だ。軽さも求めるなら油圧式ディスクブレーキも視野に入ってくるといったところだろう。SPYRE-Cは軽く引いただけでも効くブレーキなので、室内でレバーを引いたときと実際の走行ではずいぶん印象が異なる。

 
フルアウターであることよりも、リターンスプリングの強さの方が引きに大きく影響している (左)
これでもBL-R400とBR-5700の組み合わせよりは引きが軽い。BL-R400はリターンスプリングが強く、ブレーキ操作が疲れる (右)





■ 調整がとても簡単
【ケーブルアジャスターと調整ボルトによる調整】
SPYRE-Cはメンテナンスや調整がとても簡単だ。ケーブルアジャスターを回すだけで、両側のパッドのクリアランスを調整できる。しかも、3mmアーレンキーで左右の調整ボルトを回すことにより、左右のパッドのクリアランスを別々に微調整可能だ。この構造のおかげでシビアなセッティングを強いられることなく、好みのフィーリングを求めることができるし、パッドが片効きしてシャラシャラと音を立てるようなこともない。尚、内側の調整ボルトは、最初は硬く締まっているので注意。


アジャスターと左右の調整ボルトで簡単に調整可能



【ケーブルの交換とケーブルを固定する位置】
クリアランス調整が楽なので、当然ケーブルの交換も簡単。ただし、アジャスターの調整範囲は広いとはいえず、アジャスターを締め切って調整を始めても、回し切ってしまうことがある。アームを少し縮めた状態でケーブルを固定すれば対処できるが、固定する位置によっては、スプリングが縮まった位置でアームが固定されて引きが重くなる。

だから、ケーブルを固定する際にアームを縮める量をやや小さくし、アジャスターを締めすぎないようにしつつ、左右の調整ボルトでクリアランスを小さくして対応した。ただし、主に調整ボルトでクリアランスを小さくして、レバーの引きが軽くなるようにすると、ケーブルがたるんでレバーの遊びが大きくなり、レスポンスが低下する。無理に引きを軽くするよりは、ちゃんとケーブルを張った方が断然使いやすい。



【キャリパーの再取り付け】
ディスクローターがパッドの中央にちゃんとあるかどうかを確認することも大事だ。パッドのクリアランスが左右均等でないと、ブレーキ時にパッドが当たって、ディスクローターが片側に寄ってしまう。このときにも左右の調整ボルトが役に立つ。また、ディスクローターに対して、パッドが左右均等かつ平行になるようにするためには、キャリパーの取り付け角度もチェックする必要がある。キャリパーの角度の調整も簡単で、キャリパーの固定ボルトを緩めた状態でブレーキレバーを握り、固定ボルトを締め直せばOKだ。


"birzman CLAM Disc Brake Gap Measurer"というツールを使えば、キャリパーの取り付けや調整がもっと楽になる



【ホイールの着脱に伴う調整】
ホイールをクイックリリースレバーで締め付けて固定する際に、ホイールのセンターがわずかにズレたり、ホイールが斜めに傾いたりすることがある。リムブレーキなら問題にならないレベルでも、ディスクブレーキだとパッドクリアランスが小さいため、ホイールの着脱によるわずかなローターの角度や位置のズレが、左右のパッドクリアランスの不均一を招きやすい。

ローターの左右のズレは、左右の調整ボルトですぐに解決できる。まれにキャリパーに対してローターが斜めになることもあるが、ホイールを取り付け直すか、前述のようにキャリパーの取り付け角度を直せば解決する。ホイールの着脱のたびに、パッドクリアランスの確認には神経質にならざるをえないが、SPYRE-Cは調整の作業が楽なので助かる。





■ パッドはシマノのB01Sと互換、アイステクノロジーローターのアームとの干渉もなし
SPYRE-Cのパッドは、シマノの「B01S」と互換性がある。B01Sは1ペア743円と安く手に入るのがありがたい。SPYRE-Cのセミメタルパッドは、DEFY1 DISC付属のローターとの組み合わせでは、B01Sよりもやや制動力が高く、静粛性で劣るといった印象。無理に交換することはないが、B01Sの方が鳴きにくくて快適だ(特にフロント)。

現在は、ディスクローターをシマノの「SM-RT86」に交換しているが、アイステクノロジーローターの厚みのあるスパイダーアームでも、キャリパーとのクリアランスには余裕があり、全く干渉の心配をする必要はない。また、SM-RT86との組み合わせでは、走行中の性能の全てにおいてDEFY1 DISC付属のローターを上回り、SPYRE-Cはますます使いやすいブレーキになる。個人的には、SPYRE-C、B01S、SM-RT86の組み合わせは、105のキャリパーブレーキBR-5800を総合評価では上回ると感じている。

 
シマノのレジンパッドB01Sと互換性がある (左)、アイステクノロジーローターのスパイダーアームとの干渉は全く心配しなくてもいい (右)





■ 今後も長く使っていけるブレーキ
TRP SPYRE-Cに採用されたデュアルピストン式のよさは、ディスクブレーキが初めての私でもしっかりと感じることができた。高い制動力は下り坂や高いスピードでも安心できるし、スピードコントロールしやすくて走るのが楽しくなる。あたりが出れば、タッチや静粛性も申し分ない。調整やメンテナンスが簡単なことも高評価だ。

敢えてデメリットを挙げるなら、引きがあまり軽くないことだが、軽く引いてもよく効くブレーキなので、個人的には全然問題ない。おそらく、油圧式ディスクブレーキの方が軽くて快適なはずだが、今はアップグレードするほどではないといったところ。もちろん、シマノの105相当のロード用油圧式ディスクブレーキやTRP HY/RDも、私にとって気になる存在ではあるのは間違いないのだが。

SPYREは前後で2万円以上もするブレーキだ。SPYRE-CはOEMモデルとはいえ性能が高く、今後も長く使っていけるブレーキだと感じた。雨天ではまだ使っていないが、安定したブレーキ性能を期待している。ディスクロードやグラベルロード、シクロクロスバイクの購入を検討する際には、ブレーキがSPYREやSPYRE-Cかどうかをチェックしてみるのも悪くはないと思う。


TRP SPYRE-Cなら、ロードバイクでもディスクブレーキの楽しさを存分に味わえる



価格評価→★★★★★ (完成車付属品としての評価)
評  価→★★★★☆ (引きが軽ければパーフェクト。制動力・コントロール性・メンテナンス性は素晴らしい。星4.5)
<オプション>
年    式→不明
カタログ重量→154g(SPYREの場合)
 
LZPT2IB  2015-12-21 21:51
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TRP SPYRE-C

購入価格: 完成車付属品 (税込)
標準価格: 不明 ※TRP SPYREのOEMモデルのため単品で販売されていない

『ストレスを感じない程度に、ブレーキの引きを軽くすることは可能』



■ SPYRE-Cの引きを軽くするコツ
前回のレビューではあまり触れなかった、TRP SPYRE-Cのレバーの引きを軽くするコツを今回は投稿したい。

SPYRE-Cの引きが軽くない理由は、リターンスプリングのバネ力が強いからだ。レバーを引いてリターンスプリングが縮まるほどバネ力は強くなり、セッティング次第では引きの重さにつながる。SPYRE-Cの引きをできるだけ軽くするには、いかにリターンスプリングを縮めないでセッティングするかが重要になる。


SPYRE-C各部の正式名称 ※格好内は前回のレビューで書いた名称



① アームを動かさないでケーブルを固定する
ケーブルのたるみをとるために、手でアクチェーションアーム(以下アーム)をバレルアジャスターの方に近づけてケーブルを固定すると、リターンスプリングが縮まって引きの重さにつながる。だから、アームは動かさずに、ケーブルを引っ張りながら固定した方がいい。




② バレルアジャスターの使用は最小限にする
バレルアジャスターを締めるとケーブルのたるみが取れるが、さらに締め込むとアームがバレルアジャスターの方に近づく。この状態ではリターンスプリングが縮んでバネ力が強くなる。バレルアジャスターはケーブルのたるみを取ったり、微調整のみに使った方がいい。




③ 主にパッドアジャストメントスクリューを用いる
一方、パッドアジャストメントスクリューを締め込んでもアームは動かないので、リターンスプリングを縮めることなく、パッドクリアランスを狭めることが可能。SPYRE-Cの引きを軽くするためには、主にパッドアジャストメントスクリューを使うことが重要だ。

 


④ パッドクリアランスを小さくする
パッドクリアランスを小さめすれば、レバーを軽く引いただけでパッドがローターに当たる。逆にパッドクリアランスを大きくすると、パッドがローターに当たるまでにリターンスプリングを大きく縮めることになり、引きが重い状態でブレーキの操作をしなければならなくなる。なお、引きしろやフィーリングはキャリパーブレーキを引いた感じを参考にした。



⑤ その他
インナーケーブルと潤滑剤を交換すると、ケーブルのフリクションが減ってタッチが滑らかになるが、劇的に引きが改善するわけではない。また、アームに干渉するダストブーツを外せば、抵抗がなくなって引きが軽くなると考えたが、こちらも大きな変化は感じられなかった。



まとめると、SPYRE-Cの引きを軽くするためには、主にパッドアジャストメントスクリューを使って、パッドクリアランスを小さめにするのがコツだ。バレルアジャスターを回す量には注意が必要で、1/4〜1/8回転させただけでも引きの重さが変わると感じている。

SPYRE-Cを念入りに調整すれば、握力が弱い私でも楽にレバーを引くことができ、繊細なスピードコントロールや下り坂での減速、急制動も思いのままにできる。自分好みのフィーリングに微調整しやすいことが、SPYRE-Cの奥の深さといえる。

だが、これでもキャリパーブレーキやVブレーキの引きの軽さにはおよばないし、リターンスプリングの抵抗によるクニュッとしたフィーリングは残る。シビアな状況で使う場合は、リターンスプリングが効いた独特のフィーリングを許容できるかが問題になると思う。個人的にはストレスなく使うことができるし満足感が高い。いつか油圧式ディスクブレーキに交換してみたいが、それまではSPYRE-Cを満喫するつもりだ。



価格評価→★★★★★ (完成車付属品としての評価)
評  価→★★★★☆ (調整が面白いブレーキ。欲をいえば、やはりもっと引きが軽い方がいいので星4.5)
<オプション>
年    式→不明
カタログ重量→154g(SPYREの場合)
 
LZPT2IB  2016-5-31 22:43
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TRP SPYRE-C

購入価格: 完成車付属品 (税込)
標準価格: 不明 ※TRP SPYREのOEMモデルのため単品で販売されていない

『セッティング次第でクニュッとしたブレーキタッチの改善も可能』



■ 今回はセッティングに関する内容がメイン
TRP SPYRE-Cは、デュアルピストン式を採用した機械式ディスクブレーキだ。パッドアジャストメントスクリューやバレルアジャスターを回せば幅広いセッティングが可能だが、好みのブレーキタッチにするにはコツが必要だ。今回はセッティングに関してさらに気づいたことを主に投稿したい。


TRP SPYRE-C





■ SPYRE-Cの引きを軽くするコツ ※追記
⑥ STIの握り幅はブレーキよりも先に調整する
ST-5800には「リーチアジャスト」というレバーの握り幅を変える機能がある。ST-5800はケーブルのテンションを上げて、レバーを少し握った状態にすることで握り幅を小さくできる。

SPYRE-Cのセッティングをした後に握り幅を小さくすると、ケーブルに引っ張られてアームがバレルアジャスターに近づく。その結果、リターンスプリングが縮んで、レバーの引きが重くなる。だから、SPYRE-Cのセッティングは、レバーの握り幅調整をした後に行ったほうがよい。

ちなみに握り幅を大きくするとケーブルが緩み、レバーがカタカタに動いたり、ブレーキのパッドクリアランスが大きくなったりする。これはバレルアジャスターを使えば解決するが、やはり握り幅調整を先に行った方が作業の効率がいい。

 
握り幅を小さくすると、リターンスプリングが縮まる





■ SPYRE-Cのブレーキタッチを改善するコツ
私はSPYRE-Cのクニュッとしたブレーキタッチは、リターンスプリングの抵抗によるものだと思っていた。だが、何度も調整を繰り返したところ、必ずしもそうとはいえないということがわかった。タッチを改善する有効な方法は以下のとおり。①と②がしっかりとできていれば、カチッとしたブレーキタッチが出る。


① パッドクリアランスを左右均等にする
クニュッとしたタッチは、パッドクリアランスが左右均等でないときに生じやすい。つまり、ローターがパッドに押されて歪んだときにタッチが悪くなる。これはローターがパッド間の中央から動かなくなるまで、パッドアジャストメントスクリューを回すことで解決する。

だが、目視ではローターが歪んでいなくても、実際にブレーキをかけるとクニュッとしたタッチになることがある。これはほんのわずかなパッドクリアランスの不均等が影響している。この場合は、レバーを繰り返し握りながら、カチッとしたタッチになるまでパッドアジャストメントスクリューを回すと解決することが多い。


カチッとしたブレーキタッチが出るまでパッドアジャストメントスクリューを回す


② キャリパーをローターと平行に取り付ける
カチッとしたブレーキタッチにするには、ローターに対してキャリパーが平行に取り付けられているかどうかも大きく影響する。タッチが悪い場合は、キャリパーを取り付け直すと改善されることがある。ちなみに、これは油圧式のBR-RS785も同様だ。

具体的にはブレーキレバーを握ったままキャリパーの固定ボルトを締めればいいのだが、セッティングが一発で決まらないことも多い。この場合は、レバーを結束バンド等で固定し、キャリパーを手で押さえながら固定ボルトを締めるとうまく。ただ、SPYRE-Cは左右のパッドを個別に調整できるので、ディスクローターセンタリングツールを使うのが最も効果的だ。


birzman CLAM Disc Brake Gap Measurerはキャリパーのセンター出しに有効





■ パッドクリアランスが小さい方がブレーキが効く
パッドクリアランスを大きくすると、レバーを引いてもパッドをローターに十分に押し付けることができず、ブレーキの効きが甘くなることがある。逆にブレーキの効きが甘いと感じたなら、パッドクリアランスの大きさを疑ったほうがいい。

ブレーキを確実に効かせたいなら、パッドクリアランスを狭めた方が有利だ。このことによってリターンスプリングも大きく縮めずに済むので、比較的軽い力でブレーキが効くようになる。また、SPYRE-Cは急激に大きな制動力が立ち上がらないので、パッドクリアランスを小さくしても、レバーを引いてすぐにコントロールを失う心配はない。




■ ローターのゆがみと異音が生じにくい
パッドクリアランスを小さくしても、走行中にパッドとローターが接触してシャリシャリとした異音が生じたことはなかったと記憶している。何らかの原因でローターがゆがんだことは数回あったが、ブレーキタッチが悪くなったくらいで、実走には全く影響しなかった。

そもそも、デュアルピストン式のSPYRE-Cはローターが歪みにくく、その結果パッドとローターのこすれによる異音が生じにくい。ただし、キャリパーのセンターが出ていないと、急制動でローターがゆがむことがある。これは油圧式のBR-RS785も同様だが、SPYRE-Cならパッドクリアランスをやや広めにすることで、異音が出たとしても対処できる。


センター出しをしっかりと行えば、ローターレンチの出番も減る





■ よくできた機械式ディスクブレーキ
結局、私は軽いレバーの引きを求めてシマノの油圧式ディスクブレーキに交換した。だが、完成度の高いシマノの油圧式を使った後でも、SPYRE-Cがよくできたブレーキであるという私の評価に変わりはない。

デュアルピストン式のブレーキタッチは良好で、ローターのゆがみやシャリシャリとした異音のトラブルも少なく、セッティングの幅も広い。制動力やコントロール性はロード用に調整されており、油圧式で同じデュアルピストン式のBR-RS785にも通じるものを感じる。実際はここにリターンスプリングやケーブルの抵抗が加わるので別物だが、SPYRE-Cも決して悪くはない。

「ディスクブレーキなら油圧がオススメだけど、機械式ならSPYRE-Cも悪くないよ」というのが私の感想。SPYRE-Cは追い込んだセッティングでも劇的にレバー引きは軽くならないが許容範囲内にはできる。特にレバーの引きの重さに関しては評価が分かれるところだが、個人的には機械式ディスクブレーキとして評価が高いこともうなずける。


SPYRE-Cを装着したGIANT DEFY1 DISC



価格評価→★★★★★ (完成車付属品としての評価)
評  価→★★★★☆ (引きの重さは若干残るが、セッティング次第で使いやすさが向上)
<オプション>
年    式→不明
カタログ重量→154g(SPYREの場合)
 
EIN  2019-2-15 2:05
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TRP SPYRE-C

購入価格 ¥8000
SPYRE TYPE-C

入手したのは完成車付属グレードのSPYRE

(通常製品はパッドのアーチが銀色で本体が黒、カーボングレードのは本体がアルミ色でアーチはカーボンのブラックと色で見分けられます)

今回のTYPE-Cは黒一色で無骨だし完成車外しの新品で安い、付属のテクトロよりいいかと手を出しました。

メカニカルでデュアルピストンという聞きなれない響き。
使い始めは効きも緩いし、引きも重い。デュアルピストンで調整もしやすいというのに調整ネジは固着なのか舐めそうなくらい硬い。 ※それでも当初のテクトロよりはだいぶマシ。

そんな折りにCBNを知りLZPT2IBさんのレビューを見つけました。
深い知見に満ちた調整法を試したところ激変。
本当に素晴らしい方法なので製品マニュアルとして載ったらいいのにと思うほどです。

輪行時など効きが悪くなるのは仕方ないと諦めていた面も調整で改善しかなり扱いやすくなりました。
左右のピストン調整ネジについては調整ネジ本当に固く精度のいい工具でないと簡単に舐めます。(実際1本舐めかけており注意して調整していますが、一度動いてしまえば心配ない力で回せます。

ブレーキアウターに低粘度のオイルを入れて引きが軽くならないものかと試したりはしていますが、油圧に比べたら当然重いのは仕方ない点ではありますが、気軽にホイールを外せる付き合いやすさとのトレードオフな要素かと思います。

spyre以外の選択肢としては台湾メーカーのZENOのspeed clipなんかも出てきているようなので、今使っているのが故障したら油圧にするかZENOを入れるか悩んでみようかなと思います。

価格評価→★★★★★
評   価→★★★★☆(当初の不安さと調整ネジの硬さ分マイナス)
<オプション>
年   式→2015


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