購入価格 ¥20000(バルク品)
エンデューロMTB人気で一気に普及が進んだドロッパーポスト。
事務椅子みたいに、レバーを押すとサドルの高さを変えられるという製品だが、
MTBの世界における、ここ数年で最大の革命と言っても良い。
特にクロスカントリー系の人間はサドルを下げることに強い抵抗があって、
「低いハンドルと高いサドルのXCポジションで下れるのが格好いい」だの
「下りでサドルを下げるのは甘え」だの思っている傾向があると思う。実際そう思ってた。
ただ、トレイルの急な下りでビビりながら、あるいは諦めて押して下る私をよそに、仲間がドロッパーポストつきのトレイルバイクでスイスイ走る様子はやっぱり羨ましかったし、
一部のクロスカントリー選手がワールドカップでドロッパーを使ってるのを見て、そろそろ導入しようかな、と。
購入した2017年はすでに様々なメーカーからドロッパーポストが発売されていて、
かつ、初期の製品で頻発した故障も概ね改善され、どれを選んでもまぁ大失敗しないかな、という状況だった。
リバーブはドロッパーポスト黎明期から存在した製品(2011年頃?)だが、今回特に理由があって選んだわけではない。
外装ルーティングで、欲しい径とストロークのもののうち、安売りしていてお得感があったという、それだけの理由。
さて、フレームの都合でルーティングが外装なので、ホースの取り回しは工夫が必要。シートを下げるとホースが余るので、変に横に張り出したりしないよう長さを調整し、タイラップ等でうまくガイドしてやる必要がある。
購入時の状態では少し長すぎたのでカットしたが、リバーブは油圧なので若干面倒。
ホースをねじってリモートレバーから外し、適度な長さにカットした後ねじ込むだけなのだが、要領よく作業しないとオイルが垂れることがあるし、何度かカットするとエアを噛んでリモートの反応がわるくなってしまう。
結局、長さが落ち着いた後にブリーディングを実施した。
なおレバーはmk-2さんのレビューにあるように、右用リモートレバーを左につけている。
当初はフロントダブルで右側にリモートを取り付けていたが、上りから下りに、下りから上りに切り替わる場面で、前後ディレイラーをドロッパーを一斉にガチャガチャ操作しなければならず、非常に忙しい。
フロントシングル化したら、右手で変速しつつ左手でシートポジションを調整するだけと、一気に負担が減った。
ドロッパーポストはフロントシングルあってこそ、と聞いたことがあるが、まさにそのとおりだと思った。
しかしこの油圧リモート、プッシュボタン式で操作が重い。仲間のワイヤー引きドロッパーのほうがずっと軽かった。
最近シフター型のレバーも発売されたようだが、そもそも油圧である必要も感じないし、敢えてリバーブを選ぶ理由は無いかも。
さて実際の使用感だが、高いサドルがいかに自分の限界を制限していたか、ということを思い知った。
改めて考えると、高いサドルで下るというのは、ベタベタのサドルでヒルクライムしているのと同じような状況だったわけだ。
サドルを下げて、大きく重心移動するほうが乗りやすいし、乗りやすいほうが上達もしやすい。
こうやって掴んだ感覚は、サドルが高い時にも活きる。
もちろん、こまめに下車してシートクランプを緩め、サドルを上下させても良いのだが、
長いダウンヒルコースならともかく、短い下りと上りが繰り返すような地形では、ワンタッチでポジションを変えられるメリットは大きい。
正直、もう戻れない。かつてのツール・ド・フランスでは、峠の上りが近づくとウイングナットを緩めてホイールをひっくり返しギヤ比を変えたらしいが、サドルの高さを降りて調整するというのも最早同列の行為に思えてくる。
高さは無段階調整だが、実際のところ、平地や上りでは一番伸ばした状態、急な下りでは一番低い状態、起伏のある地形ではペダリングも重心移動もこなせる高さ、と3段階くらいで使っている。
製品によってはガタが気になると言われていたが、リバーブは手で揺するとガタがあるものの、乗車中はまったく気にならない程度。
ただ、使用によって摩耗が進みガタが増えるので、オーバーホール時に真鍮製のキーを交換するようサービスマニュアルに記載されている。
試しに使ってみるか、と手を出した結果、手放せなくなってしまったドロッパーポストだが、選ぶのは少々難しい。
まず、手持ちのフレームに適合する直径とリモートのルーティング(外装/内装)のものを選ぶのは大前提として、
伸び切った状態でクロスカントリーポジションを出せる事が必須になる。
次に、原則としてなるべくストロークが多いものを選ぶこと。低ければ低いほど乗りやすい。そのため、たいていのドロッパーはストロークに2~3種類のバリエーションがある。
ただ、XCレースなど、用途によっては下がりすぎないほうが良いかもしれない。
最近のMTBのうち、トレイルライドを想定したものはたいていシートポスト直径が30.9mm以上となっているし、ドロッパーのケーブル内装にも対応している。
逆に言うと、少し古い(とはいっても5年前とかのレベル)フレームや、レース向けクロスカントリーバイクはケーブル内装に対応していなかったり、シートピラーが27.2mmだったりして対応製品がぐっと少なくなる。
これからMTBを買う場合は、ドロッパーポスト対応状況について確認すべきと思う。
価格評価→★★★★★☆ 購入価格での評価。
評 価→★★★☆☆ 油圧はメンテが面倒なので、敢えて指名買いする理由はないな、といったところ