| Bellati Sport (ベラチスポーツ) ヨーロピアンロードバイクのスペシャリスト |
ベラチスポーツ(Bellati Sport)という海外通販ショップをご存知だろうか。スイス南部・イタリア国境近くの小都市メンドリージオに拠点を置くベラチスポーツの得意分野は主にヨーロピアン・ハイエンドロードフレームと完成車、そしてホイールだ。店主アンドレア・ベラチ氏の真面目かつフレキシブルな対応は日本でも有名で、熱心な固定ファンも多いと聞く。一部では「ベラチさん・ベラチおじさん」と呼ばれ親しまれている模様だ。創業20年にあわせ同社は今年ウェブサイトを一新。CBNは今回そのアンドレア・ベラチ氏にインタビューを実施、ショップの歴史や、同氏の自転車選手時代の思い出、メンドリージオの街についてなど、様々な話を伺った。
アンドレア・ベラチ氏 | Q ベラチスポーツの歴史について教えてください
17年間にわたる自転車選手としてのキャリアを終えたあと、1993年2月にアンドレア・ベラチスポーツを設立しました。最初は自転車関連用品専門の卸売りだったのですが、その後エルネスト・コルナゴ氏の知己を得ることができ(私は選手時代、コルナゴに乗っていたのです)、スイスのマーケットでコルナゴ自転車を販売することになりました。
ベラチスポーツの本部はスイスにありますが、イタリアに非常に近いのです。たった100kmの範囲に、世界中で最も有名なサイクリングブランドの多くが居を構えています。こうした物流面での恩恵もあり、私はスイスのマーケットにクオータ(Kuota)、グェルチョッティ(Guerciotti)、バッタリン(Battaglin)、フルダイナミクス(Full-Dynamix)、デダ・ストラーダ(Deda Strada)、セッレ・サンマルコ(Selle San Marco)、セルコフ(Selcof)、マルキジオ(Marchisio)、ビオテックス(Biotex)他、数多くのブランドを紹介していくことになったのです。2004年頃にベラチスポーツは体制を変え、800店ものスイスショップへの卸売業からeコマースへと業態転換いたしました。現在ではeコマースが私達のビジネスの80%を占めています。 |
| Q ベラチスポーツの本拠はスイスのメンドリージオにありますが、メンドリージオはどういう感じの街ですか?
ヨーロッパで「メンドリージオ」といえばそれは「サイクリング王国」を意味します。メンドリージオは人口約12,000人の小さな街です。私は「ヴェロクラブ・メンドリージオ」の副会長を務めているのですが、これは114年も前に創設された自転車愛好家協会なんですよ!
メンドリージオでは過去に2回、ロード世界選手権が開催されています。 エディ・メルクスが優勝した1971年と、カデル・エヴァンスが優勝した2009年です。私達は他にもジロ・デ・イタリアやツール・ド・スイスの様々なステージや、ジロ・ディ・ロンバルディアの初戦をはじめとした数百もの有名なレースを組織してきた実績があります。
メンドリージオ近郊には有名なプロサイクリスト達も住んでいます。カデル・エヴァンス、マイケル・ロジャーズ、オスカー・フレイレ、ヴィンチェンツォ・ニーバリ、ダニエーレ・ナルデッロ、ビャルネ・リースなどです。本当にたくさんいます。彼等はスイスの閑静な雰囲気やトレーニングに向いた美しいトレイル、ミラノ空港に近い利便性などに魅力を感じているようです。
そしてメンドリージオにはブレーキパッドで有名なスイスストップ(Swissstop)の本社がありますし、5km離れたところにはアソス(Assos)とリッチー(Ritchey)・ヨーロッパもあります。さて、これだけお話しすればメンドリージオが「サイクリング王国」であるということは、もうご納得いただけましたね(笑) |
Q スイスという国一般についてはどのような印象をお持ちでしょうか?
スイスは小さく、清潔で静かな、民主的な政府を持つ国です。スイス国民の真面目さや勤勉さは日本人ととてもよく似ています。ベラチスポーツが日本のお客様と素晴らしい関係を維持できているのはこうした共通点があるからだと私は考えています。
前橋市で開催された世界選手権トラックレースでは銅メダルを獲得 | Q ベラチさんは日本にいらしたことはありますか? 日本という国はどんな風に映りましたか?
私は1990年8月、群馬県前橋市で開催された世界選手権自転車競技大会トラックレース1990に参加するため、2週間ほど日本に滞在しました。ドミフォン(モーター・ペーシング)で銅メダルを獲ったのです。本当に素晴らしい経験でした!
帰国の途に就く飛行機のタラップを登る時、振り返って日本を眺めたのが日本の最後の記憶です。心の一部を置いてきてしまったような気がします。日本についての最良の記憶は、人々についてでした。自分が愛する国、心に残っている国と仕事面、文化面で交流を続けられていることを、今日の私は誇らしく思っています。 |
ロード選手時代のベラチ氏 | Q プロの自転車選手時代のベラチさんについて教えていただけますか
最初にレース参戦したのは1977年(12歳)の時で、1992年まであらゆるカテゴリーのレースに出場しました。1987年以降はロードとトラックです。1990年から92年にかけて、ワインマン・エディメルクス(Weinmann - Eddy Merckx)チームに所属してプロとして走りました。現役を終えるまでのあいだ、数多くの日本人選手たちと知り合いました。1992年には市川雅敏さんと同じチームにいたのです。私のクラブ・チーム・メンドリージオでも数多くの日本人選手を歓迎してきました。最初の日本人選手は、私の親友でもある大門宏さん(現チームNIPPO・デローザ監督)です。私はロードレースでも勝ったことはありますが、最も良い成績はトラック競技で収めることができました。スイスチャンピオンを4回、ヨーロッパの副チャンピオン、前橋の世界選手権トラックレースでは3位を収めることができました。 |
Q ベラチさんの尊敬する自転車選手、好きな選手がいたら教えてください
A 子供の頃はイタリアチャンピオンのジュゼッペ・サロンニ(現チーム・ランプレのチームマネジャー)がお気に入りでした。彼が引退する直前に一緒にレースする機会があって、嬉しかったですね。現在は特に贔屓の選手はいません。というのも自転車がどれだけハードなスポーツで、勝利を得るためには──あるいは単に完走するには──どれだけの犠牲を伴うのかを知っているので、選手達全員を尊敬しているからです。
2009年のメンドリージオ世界選手権。タイムトライアルではカンチェラーラが優勝した | Q スイスといえば日本ではファビアン・カンチェラーラが大人気です。ベラチさんはカンチェラーラのことをどう思いますか?
彼はスイスでも近年最も名声の高い選手です。私は、2009年にメンドリージオで開催されたUCIロード世界選手権の組織委員会のメンバーだったので、ロードとタイムトライアルのコースを描いたんです。タイムトライアルのコースはカンチェラーラにぴったりなものになったので、彼はレースを支配することができました。ロードレースのコースは選手を選ぶ難しいものになったせいか、彼はうまく走れていなかった印象があります。客観的に言うと、彼はここ最近、本当の意味での勝利をあげていないかもしれません。ただ将来的にはロードでも世界チャンピオンになるだろうとは思っています。 |
| Q ベラチさんはいまでも自転車には乗りますか? よろしければ乗っている自転車と、どのくらいの距離を乗っているのかを教えてください
仕事と家庭があるので(小さい息子が2人います)あまり多く乗る時間はなくなってきましたが、愛車はカンパニョーロのスーパーレコードで組んだTime ZXRSです。現在は1年間で最大4〜5,000kmくらいですね。
(写真左:アンドレア・ベラチ氏も愛用するフランス・TIME社のZXRS。ベラチスポーツで取扱いあり) |
Q 最近のモデルの中では、ベラチさんならどのブランドのどのロードバイク、あるいはフレームをおすすめしますか?
今日、特定の自転車やフレームを推薦するというのは難しくなっています。本当にたくさんの美しい自転車があるので、全部所有して乗ってみないと(わからない)。私自身はウィリエールやデローザ等のイタリアン・レーサーの大ファンですが、フランスのルックも大好きです。ベラチスポーツのサイトでチェックしてみてください! きっとこれらのフレームのいずれかに恋してしまうに違いありません。
Q プロ選手時代、ベラチさんはスチールフレームの自転車に乗られていたわけですが、その頃の古き良きクロモリと比較して、昨今のカーボンフレームはどのように映りますか?
私はコルナゴとエディ・メルクスのスチールロードに乗っていました。あの美しいスチールフレームには郷愁(ノスタルジア)を感じます。スチールフレームのシンプルなフォルムとカラーリングは、走行中に得られるコンフォート感と調和が取れていたように思います。毎年、マーケットにより多くの新型フレームや新しい素材を投入するビジネス上の必要性のために、スチールフレームが放っていたロマンスは死んでしまいました。ただ幸いなことにメジャーなブランドがスチールを復権させたので、カーボンフレームしか知らないサイクリストもスチールバイクを楽しめるようにはなっています。しかし性能面ではカーボンに軍配が上がるでしょう。大多数のサイクリスト達は、スチールには戻らないでしょう。
Q ベラチスポーツで昨年(2013年)にいちばん売れたものは何でしたか? また、最近よく売れているものは何ですか?
昨年最もよく売れたのはライトウェイト(Lightweight)のホイールと、ルックの完成車でした。今年になって注文が増えているのはウィリエール完成車と、マヴィックのホイールです。
Q 過去にベラチスポーツを利用したことのあるお客様や、これから使ってみたいと考えている方々へお伝えしたいことがあれば、お願いします
親愛なる日本の皆さん。ベラチスポーツは小さな自転車ショップですが、ご満足いただいた皆様の口コミのおかげで日本でここまで有名になることができました。ベラチスポーツはヨーロッパ最高の有名ブランド製品を取り扱っているだけでなく、自転車というこの素晴らしいスポーツへの愛と情熱、経験を皆様と分かち合ってきた店主、アンドレア・ベラチ本人が、皆様のパーソナルなご要望にお応えする努力をしています。日本ではなかなか手に入らない製品など、特殊なご希望があるようでしたら、是非ベラチスポーツにご相談ください。あなたの夢を実現できるよう、頑張ってみます。
創業20周年を機に一新されたベラチスポーツのウェブサイト。イタリア及びヨーロッパのハイエンドロードフレームや完成車、ホイール等が大量に揃う | インタビュー最後で語られているように、海外通販ショップとしてのベラチスポーツの最大の魅力は恐らくその「柔軟な対応」にあるだろう。スイス・メンドリージオはイタリア語圏であり、ベラチ氏の第一言語もイタリア語だ。ベラチ氏はベラチスポーツ本部の50km圏内という「ご近所」にあるデローザ、グエルチョッティやコルナゴといったイタリアンブランドとは特に親密な関係を維持しており、工房の職人とも親しい。カタログにはラインナップされていないカラーリングのフレーム、日本では一般に入手できないはずのカラーリング及びスペックのフレームをベラチスポーツで購入できた、という声が多くあるのはこうした事情によるようだ。
CBNには本日時点で既に2件のベラチスポーツレビューが存在する。いずれも店主アンドレア・ベラチ氏との直接のコミュニケーションの結果、なかなか良い買物体験が発生したことが伺える。
[海外通販] Bellati Sport(レビュー):http://bit.ly/1oysagM
デローザ・ヌオーヴォ・クラシコの、去年のあのビアンコ・ペルレ色はもう手に入らないのだろうか。例えばそんな疑問を持ったら、ベラチスポーツに問い合せてみては如何だろうか。同ショップのウェブサイトは現在、英語のみでの運用となってはいるが、アンドレア氏のサポートを務める日本人スタッフもいるようだ。興味を持った方は是非利用してみてほしい(本稿下に日本語相談窓口のURLあり)。
なおベラチスポーツでのフレーム送料は約15,000円(本稿執筆時点)と、大手海外通販ショップに比べると決して安くはないものの、フレームとの合計金額では十分お買い得になるケースが多々あるようだ。またホイールやパーツ・小物等の送料は、商品梱包後の実際の重量で再計算されるため、ウェブサイトでの表示金額より安くなることが多いという。
サイトでの金額は日本円表示が可能。実際の決済はスイスフランで行われる。またサイトに掲載しきれない商品が多数あるとのことなので、気になったらアンドレア本人やベラチスポーツ日本語対応窓口に尋ねてみるのが良いだろう。思いがけないアイテムがあなたを待っているかもしれない。 |
プロロード・トラックレーサーとしての経験、そして豊かな人脈と地理的なアドバンテージを持つアンドレア・ベラチ氏。話を伺っていて強く印象に残ったのは、仕事に対するその誠実で真摯な姿勢であった。今年で創業20周年を迎えたスイスの名店・ベラチスポーツが今後、日本のサイクリストたちとどんな交流を持ち、どのような進化を遂げていくのか、興味深く見守ることにしたい。
ベラチスポーツ ウェブサイト:
http://www.bellatisport.com/ベラチスポーツ 日本語対応メールアドレス:
customer.service@bellatisport.comベラチスポーツ 日本語対応Twitterアカウント:
https://twitter.com/bellatisportjp※この記事はCBN bike product reviewによるPR記事です