購入価格: 完成車付属品 ※GIANT SEEK R3、SUITTO2
標準価格: 不明
『クロスバイクに採用されることが多いヘッドパーツ。早い段階でのグリスアップがおすすめ』
■多くのクロスバイクに採用されるヘッドパーツ
GIANTの多くのクロスバイクには、FSAセミカートリッジというヘッドパーツが採用されている。このヘッドパーツは、ゼロスタック(セミインテグラル、ロープロファイル)というタイプのもので、ヘッドチューブに圧入されている。
フレームはヘッドチューブ内径が44mmのもの、フロントフォークはコラム径が28.6mm、かつ、クラウンレース部の外径が30mmのものに適合する。スタックハイトはトップ側が8mm、ボトム側が4mm。材質は不明だ。
GIANT SEEK R3から取り外したFSAセミカートリッジ。
■カップとベアリングが一体化した構造
ヘッドパーツをチェックする前は、圧入されたカップにボールリテーナーがはめ込まれていると思っていた。ところが、このヘッドパーツはボールリテーナーの上に玉押しのようなパーツが乗っており、更に樹脂製のカバーが取り付けられていて分解ができない構造になっている。
このヘッドパーツのベアリングの種類がどのようなものなのかはさっぱり分からない。カップとベアリングは一体化されているものの、ベアリングはカートリッジ式ではないし…。これがセミカートリッジというものかもしれない。
カップからベアリングを取り外すことはできない。
■実用上は特に問題ない
一体化されているとはいえ、中にボールリテーナーが入っている構造なので玉当たり調整が必要だ。ガタが出ないようにしつつ、ハンドルの動きの軽さを求めると、かなりシビアな玉当り調整を強いられる。
ちょうど良い感じを狙うとガタが出ることが多かったので、確実にガタを取ることを優先したら、ハンドルの動きは特に軽いものではなくなってしまった。走行では大きな不満はないが、動きの軽さやスムーズさを感じることもなかった。可もなく不可もないといったところだ。街乗りなら十分だが面白みはない。
内側に見えるベアリング。※取り外してグリスを除去した状態。
■低い防水性
このヘッドパーツは、防塵性はともかく防水性が低い。元々グリスの量が少なかったようだが、トップ側はグリスが少ししか残っておらず、しかも茶色く変色していた。そのせいで、手でベアリングを回すと少しゴリゴリした感じが出ていた。走行中にゴリゴリ感は感じなかったが、このままにしておくのは気持ちの良いものではない。
トップカバーにはゴムのカバーが付いているが、内側にはOリングが取り付けられていない。このゴムのカバーもただ乗っかっているだけなので、どの程度防水に効果があるかは不明だ。簡易防水という感じだろう。
トップカバーにはゴムのカバーが付いているが油断は禁物。
■分解できずグリスを入れ替えにくい
また、このヘッドパーツは分解できない構造なので、汚れたグリスを除去してきれいなグリスを装填するのが難しい。茶色く汚れたグリスはパーツクリーナーで洗浄したが、奥のグリスまで取りきることはできなかった。
使用したパーツクリーナーは金属用ではなく、樹脂のカバーや塗装へ攻撃性が少ないものを選んだ。グリスを入れ替えたら、ある程度スムーズに動くようになったのでひと安心だ。
パーツクリーナーである程度グリスを除去し、隙間にグリスを入れた。
■早めのグリスアップがおすすめ
年に1回くらいグリスの量と汚れ具合をチェックし、必要に応じてグリスアップすれば、問題なく使い続けることができると思う。私が使用した期間は約3年だが、走行中に大きな不満を抱くことはなかった。ただ、防水性とメンテナンス性の低さが残念だ。ベアリングが交換可能で、グリスアップしやすい構造なら助かった。
私がヘッドパーツをチェックしたのは、クロスバイクを購入して1年以上経ってからだった。早くチェックしていれば、上からグリスを足すだけで済んだと思う。ヘッドパーツは簡単には交換できない部品だ。このヘッドパーツが付いている自転車に乗っているなら、早い段階でグリスの量をチェックすることをおすすめしたい。
左: GIANT SEEK R3はコーンスペーサーの下にトップカバーがある。
右: GIANT SUITTO2にはコーンスペーサーが付いていない。
価格評価→ ー (同等品は相当安いはず)
評 価→★★☆☆☆ (実用上は問題ないが面白みに欠ける。分解不可でメンテナンスしにくい)
<オプション>
年 式→不明
カタログ重量→106g