購入価格 食費¥3000~4000程度+帰りの電車賃
世の中には、敢えて過酷なチェレンジをする人がたくさんいる。
それは例えばマラソンであったり、トライアスロンであったり。
あるいは、徹夜でネトゲーもそれに含まれるのかもしれない。
そんなドMチャレンジの中で、自転車乗りのごく一部で行われているものが、
東京~大阪間を24時間で走破、通称「キャノンボール」である。
競技ではなく、自分の力量を試すチャレンジの意味合いが強いため、決まったルールはあまり無い。
国道1号線の両端である、大阪の梅田新道交差点と東京の日本橋交差点を結ぶ、530~550kmの行程を24時間以内に走りきれば達成。
24時間を超えても自力で走りきった場合は、完走扱いとなる。
西風が多いため、大阪スタートのほうが東京スタートに比べて達成が容易とされている。
ルートは自由だが、達成を考えると基本的には走行区間の大部分をR1が占めることになるはず。、
バイパス回避にはじまり、距離が短いもの、高低差が少ないもの、あるいは開かずの踏切回避など、様々なルートが研究されている。
まずは私の挑戦記録から。
☆記録
2011年4月1日16時00分梅田新道発~2日18時59分日本橋着
GPSロガーのデータ
Dst 548.4km
Time 26h59m
Ave 20km/h
サイコンのデータ
Dst 548.4km
Time 19h52m
Ave 27.5km/h
Max 65.5km/h
走行ルートのGPSログ
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=d85f4492f4b50bf073e3ad4560b5a7cd補給一覧
☆機材や用品について
自転車は、ロードバイクをベースに、長距離用に装備を追加した。
目玉はGPSナビ。ハンディGPSを使うため、前輪はハブダイナモホイールに換装。
充電用回路を自作し、モンベルのフロントバッグ
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=1784&forum=108#forumpost12754に収めた。他にはウィンドブレーカー兼用のレインウェア、カメラや予備ワイヤー、電池を入れた。
サドルバッグには携帯工具類とチューブ2本。ポンプはフレームに装着。
用品類は、必要十分な最低限のものを選択したつもり。
挑戦時は昼間は暖かく、だが夜は冷え込む季節。
レーパンはキャノンデールのビブショーツ。
ジャージは、CBNのWiggleモニター品で頂いた、dhb Short Sleeve Windslam Jersey 2011
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=7549&forum=107#forumpost12839に、同じくモニター品のDescente Coldout Arm Warmers
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=6713&forum=66#forumpost11342あとは、安売りで買ったdhb Earnley Lycra Knee Warmers
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=5549&forum=66#forumpost14053をつけるスタイルで気温の変化に対応した。なお、シューズもメットもWiggleで購入したもの。全身Wiggle尽くしである。
手袋は指切りとロングを2種類持った。シューズは通気口をガムテープで塞いでおいた。
補給食やグローブ等を入れるため、使い慣れたウエストバッグを持っていった。心配していた圧迫や擦過による痛み、腰痛は全く出なかった。
位置はジャージのバックポケットを隠さない、腰の低い位置に。
あまり重くなると体に悪いと思ったので、ここに入れてある補給食から手をつけるようにした。
☆GPSナビについて
市販のポータブルナビ、Mio C323を使用。
ハブダイナモホイールを利用して給電システムを自作。
ハブからのAC出力を整流し、シリーズレギュレータで平滑して5V出力。
並列にニッケル水素電池4本(計4.8V)を接続し、停車中でも電源が途絶えないようにした。
走りの重さは特に感じないが、下りで速度が乗りにくいような気がする。微風程度の抵抗にはなっているのだろう。また、ハブの重量があるため、自転車はズシリと重くなる。
自転車モードがないため、ナビゲーションさせると自動車専用バイパスにしつこく誘導するダメな子だが、
リアルタイムに地図を確認できるメリットは計り知れない。
また、夜間真っ暗な道をひとり走っているときは心細く、抑揚のないナビの音声ですら心強かった。
大音量のオーディオプレーヤーも内蔵しているが、さすがに痛いので使わなかった。
☆挑戦レポート。
阪急梅田駅まで輪行して、輪行袋がわりのダイソーミニバイクカバーをゴミ箱に放り込み、スタート地点へ。
スタート時に持っていた補給食はゼリー飲料*4、ピュレグミ*1、キスミントガム*2、ブラックブラックガム*1
・梅田新道~木津川大橋(35km地点 スタート後1時間20分)
16時ジャストに梅田新道交差点を出発。
右膝に痛みが出やすいので、踏み込まないようにトルクを抑えて走る。
門真周辺で違和感。ヤグラの固定が不十分で、サドルがずれている。
レールが折れそうで怖かったが強めのトルクで締め対処。
清滝峠を越えれば木津まで下り基調。木津川大橋北のコンビニで、アイス食ってトイレ休憩。
・木津川大橋~亀山(106km地点 スタート後4時間5分)
R163を東進。信号もなく移動ペースも速まるが、緩いとはいえアップダウンがある。
伊賀近辺で日没を迎え、長い夜が始まる。
名阪国道に連れ込みたがるナビを無視しつつ旧R25に入り、19時18分に峠を越える。
交通量も街灯もなく心細い。ライトはNRX-35とUltraFireC3だが、ピークからしばらくはダートの下り。よく路面が見えず、コケないようにゆっくり下る。
運良くノートラブルでR1に合流できたが、真っ暗な道を走ったことで、精神的に疲れが出た。 夜間ここを通るのはあまりお勧めできないかも。
腹も減ったので、すき家1号線亀山で休憩。まさかのイートイン。悠長すぎるが、それくらい精神が疲弊していた。
・亀山~刈谷(178km地点 スタート後7時間15分)
肉体的にも精神的にも回復し走り出す。
明るい国道は走りやすい。交通量が多いと気流の流れができて追い風になるし、精神的にも楽だ。
いいペースで走り、刈谷でコンビニ補給。
・刈谷~浜名湖(247km地点 スタート後10時間20分)
中盤に入り、気持ちが萎える。脚もだんだん疲れてきた上、右膝の痛みが出始めてペースダウン。
浜名湖が見えたが当然真っ暗。コンビニで一休み。そろそろしんどくなってきた。
・浜名湖~島田(312km地点 スタート後14時間0分)
バイパス地獄が続き、景色も変わらず参り始める。白線上キープでちょっとでも路面抵抗を減らす。
途中、膝の痛みと疲労がたまってきたので270km地点のマクドナルドにピットイン。40分程度の大休止。
バイパス回避を繰り返してひたすらに走っていると、ついに夜明け。
この間の記憶は曖昧である。知らない道でナイトランは疲労の蓄積が半端ではない。
日坂バイパスを回避し峠を越え、その日オープンしたばかりのローソンで補給。おにぎり50円引き。もぐもぐ食べた。
・島田~三島(406km地点 スタート後18時間15分)
富士由比バイパス沿いのサイクリングロードを快走。体はボロボロだが、正面に見える富士山で多少元気になった。
さらに、コンビニでレッドブル飲んだら超回復。脚が回るようになった。
しかし、溜まった疲労はどうにもできず、ここから目に見えて休憩が増え、ペースダウン。
富士川を渡る前にミニストップへ。メロンパフェおいしいです。甘いものを食べないと気持ちが折れてしまいそうだった。
ここから沼津までは単調な直線道路。松林で海も見えず辛い。走っても走っても同じ景色で、ファミコンの安物ゲームみたいだ。しかも向かい風だったような。
箱根が近づいてきた頃、Giant乗りの人に声をかけられる。確かDefyアライアンス。
少しの間一緒に走り、三島の箱根峠前最終ローソンで別れる。このときスポドリと2本目のレッドブル補給。
・沼津~根府側(455km地点 スタート後21時間15分)
箱根は芦ノ湖まで1時間20分かかった。膝痛が恨めしい。元気だったら1時間以内で登れるだろうに。
疲労で判断力や注意力を失っていたのか、芦ノ湖で痛恨のミスコース。
旧箱根を下るはずが椿ラインへ向かってしまう。大観山まで再び上り坂。
もちろん、キャノンボールでこのコース取りをしたのは私が初めて。伝説になった。
だが下りは爽快そのもの。路上の砂はオートバイのお兄さんたちが全て蹴散らしてくれているため、滑る気がしなかった。
ミスコースには途中気づいたが、登り返す気にもなれずそのまま一気に湯河原温泉前まで下る。
この時点で、24時間以内のゴールを諦める。 次なる目標は完走。
R1に合流すべく、太平洋沿いのR135を走る。快走路だが路肩が狭く自転車には辛い。
ハンガーノック気味で失速。対向車線側のローソン小田原江之浦店を見つけ、ヘロヘロと補給。
・湯河原~東京(548km地点 スタート後26時間59分)
結局、当初の予定コースよりも20kmほど遠回りになった。集中力も切れているので、とにかく事故を起こさないように走る。
1号線に合流するとき、キャノンボーラーの第一人者の方に会う。激励を受け東京を目指すが、目が死んでいるのが自分でわかる。
横浜までは丘が連続するような地形で、さらに体力を失っていく。
途中、眠気に耐えかねてコンビニ前でズルズルとへたり込み、30分仮眠。
横浜以降は市街地走行。休憩をとりつつ、18時50分に日本橋1丁目交差点到着。
ゴールがわからず10分ほどうろつき、18時59分にゴール。
記録は26時間59分。この調子だと、ミスコースが無くとも達成は厳しかったか。
☆考察
キャノンボールに初めて挑戦して、コースプランニングもさることながら出発時刻や時期も重要だと感じた。
長時間のナイトランは疲労が溜まりやすい。景色も先も見えないし、暗い道だと心細くもある。
夜間に明るい東京大阪近郊を走るプラン、すなわち真夜中出発真夜中着が楽と思った。
交通渋滞も無く、市街地の移動ペースもあがる。ただ、宿泊や帰宅に際して問題があるか。
また、夜間補給で止まる度に体が冷えてしまった。もう少し暖かい時期が楽。
休みが取れる時期を考えると、ゴールデンウィークか9月の連休がベスト。
実際、この時期の挑戦者が一番多い。
また、クリートのポジションが出ていなかったのか(思うに、Qファクターを狭くしすぎた)、
スタート後200kmくらいから膝に違和感を感じ始め、痛みに変わっていった。
ペダルをLOOKからSPEEDPLAYに交換してから日が浅かったことも原因のひとつ。
使い慣れた機材で挑むべきだと思う。そういう意味では、毎日乗っている街乗りロードバイクで行ったほうがよかったかもしれない。
結局このあと2ヶ月少々、膝の痛みのためロクに自転車に乗れなかった。
最後に記録について。走行時間19時間52分は達成者のタイムとあまり変わらなかった。
やはり、だらだらと休憩したために差がついた。ペースを維持し、少ない休憩回数、休憩時間で走ることができれば、このルートでも24時間切りは十分達成可能。
今回は達成出来なかったが、またリベンジしたい。
価格評価→★★★☆☆
評 価→★★★☆☆