JR武蔵五日市駅から桧原(ひのはら)村を通過、奥多摩周遊道路に入り風張(かざはり)峠を越えてJR奥多摩駅に向かうコースです。総走行距離は約60kmで、約半分が登坂になります。
今回はJR武蔵五日市まで輪行します。ご覧のように非常に大きい外観の駅です。が、改札は小さく、駅にはそば屋さんのようなものは見当たりません。付近にも気軽に寄れそうな食堂がないのが残念です。ただし、駅前には「やまねこ亭」というサイクリスト御用達の有名なカフェがあります。
10分と走らないうちにこんな風景になります。ゆるやかな登りですが、3%~5%でしょうか。全然余裕です。どうですか、最高でしょう。こんなステキな風景の中を延々と登っていけるんですよ(関係ないけど、左下の写真の道、なんでマンホールだらけなんだろう)。右側の写真の教会あたりから、「奥多摩度」が増していきます。
現代美術のオブジェ風な橋を超えます。なんだか久しぶりに来たせいか、見覚えがないなー・・・などと、路面がサイコーなので完全に観光気分で登っていけます。
左下の写真にあるような風景が、私にとって「奥多摩的」な風景です。右下の写真は九頭竜(くずりゅう)神社。縁結びの神社のようですが、行ったことはありません。古くて風情があるので、いい雰囲気ではあります。ここまで坂らしい坂はほとんどありません。今回はEdge 705を忘れてしまったので正確な斜度は不明ですが、せいぜい8%くらいでしょう。
奥多摩周遊道路の入り口に着きました。本格的な登坂はこのあたりから。とはいえ、斜度は最大でも10%を超えることはないと思います。平均で6%くらいのような気がしました(体感数値)。右下の写真は、上の道路から周遊道路のゲートを見下ろしたもの。結構、標高差があるように見えますね。ここからとりあえず「都民の森」を目指します。ちなみに、奥多摩は山奥のわりに自動販売機は結構多いので、駅で出発時にスポーツドリンクを一本購入、途中の数馬あたりで一本購入するといいでしょう。「都民の森」で最終補給をして奥多摩駅を目指すというわけです。
ようやく「都民の森」が見えてきました(看板を左折)。武蔵五日市駅からここまで 29.3kmでした。緩やかとはいっても30km登ってくるとそれなりに疲れます。私はあんまり食べてこなかったので、お腹ペコペコです。簡易食堂でそばと磯辺焼きを食べました。味のほうはというと・・・かなり残念な感じです(そばは、まあまあ。磯辺焼きは0点)。お菓子やカップラーメンの類は売っていないので、カロリーメイトとかスニッカーズとかその手のエナジーバーを持ってきたほうがいいでしょう。コーヒーも薄くて全くおいしくありません。ここの食事関連は★☆☆☆☆。自動販売機で済ませたほうがいいです。
さて、補給を終えたらあと数キロだけ登りです。やがて、道路の右側にひっそりと1146Mを示す標識が見えます。東京で一番高い場所にある道路なのだそうです。この看板を拝むのは奥多摩ヒルクライムのお約束なので、皆さん忘れずに記念写真を撮りましょう。
そろそろとダウンヒルを開始します。ちなみに奥多摩周遊道路はオートバイの人もよくやって来るところで、死亡事故も多いようです。何箇所かでお供え物と花を見ました。ただし、線香は山火事を誘発し、お供え物は動物に食い荒らされるので禁止なのだそうです。また、奥多摩周遊道路で怪我をした場合、119番通報から病院に搬送されるまで二時間かかるそうです。ゲート付近には公衆電話もありますが、私のiPhoneは電波をキャッチしませんでした。気をつけたいところです。
下りの途中に「月夜見第一駐車場」という看板が見えたら、小休止してみましょう。ここからの眺めがいちばん良く、奥多摩湖を見下ろせます。美しいですね。右下の写真は、もっとずっと下で撮影した奥多摩湖(ちなみに本レビューの写真は全てOLYMPUSのマイクロフォーサーズ機・E-P1+17mmパンケーキレンズで撮影)。
ダウンヒルの際の路面ですが、悪くないです。バンプ処理をしている区間と、安全溝を切っている区間もありますが、どちらも距離は短いので、せいぜい50km/hくらいにとどめておけば怖い思いをすることはありません。
さて、奥多摩湖まで十数キロメートルのダウンヒルを堪能してからが、このコースで最も危険な箇所です。それはトンネルです。JR奥多摩に向かうまでは大小様々なトンネルを通過します。最初のトンネルにさしかかったら、まず自転車を止め、テールライトを点灯しましょう。サングラスも外します。テールライトは、強力に明るいものをおすすめします。トンネルのうち三つくらいは数百メートルの長さがあります。そして濡れている箇所があります。下りになっているトンネルもあります。歩道も路側帯もないトンネルもありますが、くれぐれも左に寄りすぎてはいけません。凹凸処理を施された白線があり、しかも濡れているので、スピードが出ていて運が悪くて集中力が切れていたら転倒する恐れがあります。
明るいテールライトさえあれば、後続のクルマが追突してくることはありませんから、落ち着いてゆっくりとトンネルを通過しましょう。CATEYEならTL-LD610-Rか1100クラスがあると安心です。そして、なるべく日が暮れる前にトンネルを通過してしまうことが重要です。
さて、唐突に奥多摩駅付近に到着してしまいました。駅周辺とはいえ、山に囲まれているのがいいですね!! 体力と時間のある方は、このまま右折して青梅街道に出れば、東京方面へと至ります。新宿まで70~80kmだと思います。
無事JR奥多摩駅に到着しました。ホームは2Fにありますが、エレベーターがあるので輪行もラクチンです。当然ですがSUICAも使えます。ところで、武蔵五日市といい、奥多摩といい、駅の看板が立派な木材でできていて、いいですよねぇ。
このコース、勿論、このJR奥多摩駅を出発して、JR武蔵五日市駅を目指すこともできます。以前そのパターンも挑戦したことがありますが、この場合、登坂のキツさは少し増しますが、登り区間の距離自体は短いです。どちらも楽しめますが、初心者の方はJR奥多摩駅スタートをオススメします。というのも、危険なトンネル区間を集中力があるうちに、かつ明るいうちに通過してしまったほうが良いからです。
私の好みは、JR奥多摩駅を終点とする今回のコースです。こちらのほうが、奥多摩の大自然をゆるい強度で長時間登りながら眺めることができるので、視覚体験的にも充実しているような気がします。森林浴効果も高く、コンクリートジャングルで資本主義の奴隷として働かされ続けた結果疲弊した身体と精神をリフレッシュ、リセットするのに大変オススメのコースです。上司の胸倉を掴みたくなったり辞表を叩きつけたくなったら、まずこのコースを走ってみましょう。
ヒルクライムという点では物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、アクティビティとしての満足度はかなり高く、充実したサイクリングを楽しめるコースです。そのため、FIVE★としたいと思います。
評 価→★★★★★