東京都江東区にある東京都立若洲海浜公園。この公園には全長約6kmのサイクリングロードがある。自転車のレンタルも行っているようだが、夕方から夜にかけてしか行ったことがないため、レンタル自転車に乗っている人の姿は見たことがない。
クロスバイクやロードバイクといった自前のスポーツバイクに乗っている人も、ここでは滅多に見ない。というか、自転車に乗っている人自体がほとんどいない。閑散としている。しかしなかなか雰囲気のあるサイクリングロードなのである。
まずはアプローチ。夢の島を右折するとお台場だが、左折するとこの若洲海浜公園に行くことができる。下の写真のように、遠巻きに風車が見えてきたらもう安心だ。入り口は二つ。風車の下あたりから公園を左回りするか、風車のちょっと手前にある入り口から右回りをするルート。今回は右回りルートで侵入してみた。
公園に入ってから海のほうへ下っていくと、すぐにこんな素敵な道に出る。左手側には海。写真には映っていないが、葛西臨海公園やディズニーランドも見える。上空の飛行機は羽田空港に向かっている。この堤防沿いの道を直進するのもいいが、水はけが極端に悪いので先に進めないことがある。そんなときは一段上のサイクリングロードに移動してみよう。
サイクリングロードの案内図。景色も良く、全長がたったの6kmとはいえ何度でも気持ちよく走れる道なのに不思議なほど人がいない。都心からのアクセスが良くないことと、お隣のお台場や対岸の葛西臨海公園のほうがカポー的には遥かにhotterであるからだろう。つまりちょっとした穴場なのである!
緑と花のある小奇麗な道である。潮風が心地よい。ゴミもほとんど落ちていない(捨てられた猫が数多く住みついているが、何を食べて生活しているのか少し謎である)。管理が非常に行き届いている公園である。
少しづつ右折していく。東京湾に見えるのは建設中の東京港臨海大橋。2010年に完成するらしい。中央防波堤外側埋立地と新木場のあいだは現在21分かかるが、この橋が完成すれば12分になるとのこと。より多くのゴミをよく速く運搬しなければ、東京がゴミでいっぱいになってしまうわけである。この美しい風景の向こうには、ゴミの山があるのか・・・
自動販売機もある。お弁当だけ持ってくればピクニック気分を味わえる。堤防とサイクリングロードの間には手入れの行き届いた芝生があり、カポーが寝転んでのんびり空を眺めていたり、釣り糸を垂らすおじさんもいる。背中に釣竿とお弁当を積んで彼氏彼女と自転車で遊びに来れば、一日中遊べるだろう。
どんどん先に進む。
本当はこの先にも行ける。しかし前日の雨で道が水没している。止むなくUターンする。
いま来た道を反対側から見るとこんな感じ。
公園を一度外に出て、打ちっぱなしのゴルフ場脇を通り過ぎ、風車の下から再度公園に入る。この風車がまた巨大である。石川島播磨重工が2004年に完成させたらしい。支柱の部分には手塚治虫漫画の登場人物がたくさんペイントされている。この写真を撮影した時の風速は1.5~3m程度で、650wくらいの出力があった。耳を澄ますと、ヒューン、ヒューン、と大きい風切り音がする。風車の羽は風向きが変わると方向をゆっくりと変える。
風車の脇のサイクリングロードを通ると、花がきれい。
先ほど、水没していた道の先にあった場所がこれ。海釣り施設である。夕方だったからか、波が高かったからか、いつもは人で賑わっているのだが、この日は閉まっていた。レンタサイクルも午後16時くらいには終わるらしい。
この公園、夜の9時30にはゲートが閉じてしまう(以前、夜の海を見ながら走ろうと思い10時頃に来たことがあるが、閉まっていた)。遊びにくるときはあまり遅くならないようにしよう。朝は6時から。これからの季節の私のオススメとしては、明るいうちに若洲海浜公園で海風を満喫してから、お台場に移動して夜景を楽しむというコース。レーパン・ジャージ・ヘルメットという服装よりも、七部丈のパンツにカジュアルめのトップスという気軽な格好のほうが周囲に馴染める。
新鮮な空気と爽やかな風、広大な海の光景を楽しめる若洲海浜公園だが、全体的に奇妙な寂しさが漂っている。ほとんど人がいないせいだろうか。海釣り施設はいつも賑わっているし、バーベキューを楽しんでいる家族連れもいるのだが、海側のサイクリングロードは実に閑散としている。しかしこの寂しい感じが若洲の魅力で、のんびりぼーっとしたい向きにはおすすめできる。猛スピードで走り回るような場所では決してない。
近所に飲食店は皆無なので、デート利用の際はサンドイッチかおにぎりでも持参するのがいいだろう。
・・・と、ここまで書いておいて何だが、この公園はデートにはおすすめしない。この公園は、どうしても無言になってしまうのだ。気持ちがいい場所なのだが、どうも寂しいのである。この奇妙な寂しさは、いったい何処から来ているのだろうか。気になって調べてみたところ、wikipediaにはこう書かれていた。
「当地は東京湾岸におけるゴミの最終埋立地(埋立地は15号地。1965年~1974年まで利用されていた)として誕生した。埋立て前は大量のハエが問題となったものの、ゴミの埋立地はサンドイッチ工法と呼ばれる土とゴミとを交互に埋め立てる人間や環境に害がない方式が取られているので、当地に限らず現在は問題が無い。その後、都の計画により海浜公園として整備され、ゴルフ場、デイキャンプ施設、海釣りができる人工海岸などが1990年(平成2年)12月1日に誕生した。
また2006年(平成18年)4月1日より、若洲海浜公園内のキャンプ場、貸し自転車、特種自転車、多目的広場の部分が東京都港湾局から江東区に移管され、江東区立若洲公園となった。」
なるほど、この公園の「奇妙な寂しさ」は、この美しい風景が廃墟の上に成立していることから来ているのかもしれない。
評 価→★★★★☆