購入価格: ¥200 (税込) ※大人料金。片道の運賃
『小説と歌謡曲で有名な矢切の渡し。なんと状況次第では渡し船に自転車をも乗せてもらえる』
■ なんと自転車も乗せてもらえる
矢切の渡しは、小説”野菊の墓”や細川たかしのヒット曲で有名な江戸川の渡し船で、千葉県松戸市矢切と東京都葛飾区柴又を結んでいる。江戸時代に幕府が地元住民のために用意した渡し場だったが、現在では江戸川の観光名所になっている。※参照: 葛飾区観光サイト “かつしか丸ごとガイド”
実はこの矢切の渡し、驚くべきことに自転車を乗せてもらうことができる。今まで気になる場所ではあったが、矢切や柴又は自転車でしか通らないということもあり、なかなか渡し船を試せずにいた。だが、自転車を乗せてもらえるなら話は早い。タイミングを見計らって、矢切から柴又に船で向かうことにした。
写真: 矢切の船着場にある記念碑
■ 矢切側の船着場はわかりにくいので注意
江戸川の右岸、柴又側の船着場は柴又公園から容易に見つけることができる。柴又公園を北に進み、川魚料理”川甚”の近くにある階段を降りて川岸に向かえば船着場が見える。
一方、江戸川の右岸、矢切側の船着場は、土手の上からではちょっと分かりにくい位置にある。船着場にたどり着くにはゴルフ場の間にある細い道を抜ける必要があるのだが、この道の両脇には高い木が生えていて、土手の上からでは船着場がほとんど見えない。矢切の渡しの看板は土手の外側にあり、この向かいにある階段を降りれば船着場に到着する。
写真: 矢切側の船着場は、土手の外側にある看板を目印にすると分かりやすい
■ 売店があるのは矢切側のみ
柴又側の船着場は桟橋しかない。一方、矢切側の船着場には売店や記念碑、説明看板などがあり、渡し船に乗る前から期待感を高めてくれる。売店ではグッズやドリンク、ジュース、軽食も変える。ジュースや軽食は一般的な価格。船に乗る前にここで休憩するのも良いと思う。また、ここには売店の方が飼っていると思われる黒い子犬がいて微笑ましい。
写真: 売店があるのは矢切側のみだ
■ 自転車を乗せてもらえるかどうかは状況次第
私が乗ったのは矢切側の船着場からだ。柴又側にしなかったのはただの偶然だ。渡し船に自転車を乗せてもらえるのは、客が少ない時に限られるので注意。私の場合、1回目は観光客が多くてダメ、2回目は川の水位が高くてダメ、3回目にしてやっと乗ることができた。渡し船は10〜15分おきに来るし、いつも観光客であふれかえっているというわけではないので、タイミング次第ではスムーズに乗れる。確実に乗りたいなら、矢切の船着場で休憩しながら空くのを待つのも手だ。尚運賃は大人が200円と良心的な価格だ。
写真: 自転車で乗れるかどうかは船頭さんに聞く必要がある
■ 想像を遥かに越えた癒しの時間
船頭さんに乗船の許可をもらったら、桟橋を渡って運賃を払い、その後好きな位置に座る。自転車は寝かせても手で支えてもどちらでも良いとのこと。私は船の中央付近に座り、自転車を自分に立てかけて安定させた。渡し船には20人くらい乗車でき、思っていたよりも大きな船だと感じた。自転車なら3台くらいは楽に乗れそう。複数人で訪問の際は、何人乗れるか船頭さんに聞いてみてほしい。
そして、ゆっくりと渡し船は出発。船の挙動は止まっているかのようなのに、少しずつ桟橋から離れていく感覚が新鮮だ。船が少し進んだところで、船頭さんの櫂のゆっくりしたリズムと穏やかな波の上下動による揺れが非常に心地よく、心も身体も癒されるようだ。櫂のギーッとした音も風情がある。環境音アプリに船を漕ぐ音があるが、リアルな手漕ぎ船は癒しのレベルが全然違う。
なんといっても感動的なのが、いつものサイクリングロードを違う角度から見られる点だ。江戸川の中の低い位置からいつもの景色を見るのはとても新鮮だった。乗っていたのは10分か15分くらいだろうか。進んでいるのかいないのか分からないような船の速さもあって、いつもよりもゆっくりした時の流れを感じた。
船を降りてしばらくしたときのこと。ブロローンというエンジン音と共に、渡し船はあっという間に矢切に去ってしまった。渡し船にモーターが付いているとは思わなかったが、これで特に風情がなくなったということはない。手漕ぎの船の良い感覚が損なわれるわけではないからだ。
写真(左) : 矢切の桟橋を離れた直後
写真(中央): 渡し船から見た柴又公園
写真(右) : もうすぐ柴又の桟橋に到着
■ 是非、もう一度乗りたい
「矢切の渡しって船を乗るだけでしょ?」って思っていたのだが、実際に体験すると考えていたものとは全然違った。船や波の揺らぎ、水の音、江戸川の景色などが、ゆっくりとした時間の中で自分の中にスーッと入ってくる。これがなんとも心地よく、癒しが身体の奥にまで沁み渡るようだった。しかも自転車を乗せているのだから感動はひとしおだ。
この矢切の渡しの運営は、松戸市ではなく民間によるものらしい。観光のため、伝統を守るために、渡しを続けていくのは大変な苦労があるはず。そのおかげでまたひとつ江戸川サイクリングロードの思い出ができた。また癒されたいときに乗りたいと思う。
価格評価→★★★★★ (良心的な価格。この価格で民間の運営なのだから驚きだ)
評 価→★★★★★ (ゆっくりした時間の流れに癒される。矢切側から乗るのがおすすめ)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→ ー