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雪。
それは害をなすものでもあるが、同時に益をもたらしてくれるものでもある。昔から豪雪地帯の人たちは、その雪とうまく付き合いながら、時には利用しながら生きてきたわけである。
さくらんぼ東根温泉街の「雪まつり(
http://www.city.higashine.yamagata.jp/8198.html )」は今年で第41回を迎える伝統あるお祭りである。温泉街の真ん中に位置する成田不動尊を中心に、箸供養やお斎灯といったお祭りがあり、鍋のふるまいやお酒の試飲、豆まき大会などが行われている。
そんな雪まつりの1コーナーに場違いなカタカナが躍る。「シクロクロス」。なんと今年で22回目。雪を寿ぐ自転車乗りが集まっては転げまわる名物コーナーである。
田んぼのあぜ道を一周(2.5km)する、ガチガチの平地周回コースのはずであると信じると大変な目に合うのがこのコースの大きな特徴。雪が多ければ多いなりの、少なければ少ないなりの障害物や坂が現れるという寸法だ。
昨年は雪が少なく、氷上で自転車に乗る催し物となった。今年は雪と気温に恵まれてしまい、ザクザクびちゃびちゃな個所としっかり走れる雪の上と、3か所の雪山がこさえられたわけである。
よって、難易度は毎年かなり変わる。昨年の総合優勝者の周回数は 10 であったが、今年は 6 であることで大体想像いただけるかと思う。
いい意味で何もないところをひたすら走っていく。目を上げれば雪化粧が映える東根の山々、下げれば刻一刻と表情を変えるコース状況。横を向けば豪快にこける雪の飛沫、中を舞うMTB、笑いながらすっころぶサイクリストたちを堪能することができる。
誰かがすっころんでも文句や暴言を吐く人はいない。目の前で転ばれれば大丈夫ッスかと声をかけ、自分が転んだところで「ここヤバいねww」とみんなで折り重なったり、その横をするするクリアしていく人もいる。誰かが田んぼに突き刺さってれば行ってフレームを抜き、座り込んでる人がいれば「頑張れがんばれ!」と声をかけたりかけられたり。顔が汗と涙と鼻水でデロデロになるのだけど、なんだかとっても気持ちいい。
それもこれもみんな雪のせいだ。雪の前ではみんな少年少女の心を取り戻すんだ…というふわっとした話ではない。主催の山形マウンテンバイク協会(
http://bikesports-kid.kids.coocan.jp/menu290.htm )さんや東根温泉旅館の旦那衆、近隣のお店や雪まつりに来てくれる人たちの温かい志と眼差があってのこと。
レース後にふるまわれるスイトンや漬物(これが絶品!)に舌鼓を打ちながら、出店を見たりおしゃべりをしているうちに閉会式が始まる。
閉会式はクラス別表彰と抽選会、それからゲストライダーからの総評が行われる。みてよこの表彰台。「雪まつり」っぽいよねえ。
抽選会ではローラー台や小物、ウェアや名物のお菓子等々豪華景品が飛び交い、みんなホクホク顔。終始楽しく和やかな雰囲気でレースは終了。温泉無料券を使ってひとっぷろ浴びてもよし、気の合う仲間とご飯を食べに行ってもよし。終始和やかかつ笑顔が絶えないこんな大会は、日本広しといえどもないのではないだろうか。私は笑いすぎて頬が筋肉痛になるという為体。みんなひがしね雪まつりにおいでよ!
※ この後めっちゃ落車した
※ なお、リザルトはすぐに発表され、レース中にとられた写真や動画はその日のうちにアップされるという職人芸もこの大会運営の特徴であります。
価格評価→★★★★★(←すいとん漬物食べ放題・温泉も無料で入れます)
評 価→★★★★★(←笑いっぱなしの1時間)
<オプション>
年 式→ 2017
道の状態→雪多め・ただし溶けてたり固まっていたり