購入価格: 要年間契約(35€)
旅行で訪問したスペインのバルセロナで "bicing"(ビシング)という公共レンタサイクルを見かけたのでレビューしてみたい。但し後述するように試乗は叶わなかったので、乗車感を除く自転車のスペックやシステム全体のみの評価。
"bicing"(ビシング)はパリやブリュッセルの「ヴェリブ」に類似したシステム。但し利用には事前の年間契約(要35€ )が必要で、専用IDカードはカタルーニャの住所にのみ発送可能。つまり観光客はまず使えない。会員は最初の30分間無料で使用することができ、以後30分毎に0.50 €が加算され、最大2時間までの連続利用が可能。2時間を超えると一時間毎に3€の罰金が課され、複数回2時間以上の利用を重ねるとメンバーシップが剥奪されるらしい。
利用するにはIDカードを以下のようなステーションにかざす。すると利用可能な自転車の番号が表示され、ロックが解除される仕組み。
自転車のスペックはシフターがシマノのNEXUS内装三段変速。タイヤはSchwarbe Marathon、サドルはSelle Royal、ブレーキレバーはALHONGA、ブレーキ本体はシマノのVブレーキ。フロントホイールはハブダイナモ搭載。シフターとタイヤはパリのヴェリブと同じチョイス。しかしこのビシングのほうがデザイン性がより高く、見た目もヴェリブよりだいぶ軽そう。
荷物はBMX風ハンドルの前側に入れ、ゴムバンドで固定。これは経年劣化の激しそうなヴェリブの前カゴより良いアイデアかもしれない。フロントライトもアルミケージで保護されており、破損は少なそうだ。
このビシング、老若男女を問わずかなり利用度が高い。バルセロナの道路は交通量的にも、広さ的にもパリやブリュッセルよりだいぶ走りやすそうに見えた。自転車通行帯も多い。
ただあまりに利用度が高いのか、ビシングステーションはほぼ空っぽというところが多かった。役所がステーション毎の台数平準化のためにトラックを派遣しているのだが、なかなか追いつかないようだ。
手前を横切っている自転車の男性が乗っているのもビシング。ちなみにライトにはセンサーが内蔵されているのか、フロント・リアとも自動発光するように見えた(多分)。
現地滞在中、ビシングの利用者は本当によく見かけた。パリのヴェリブよりもはるかに利用率が高い印象を受けた。ステーションも非常に多い。丘陵地帯となっているモンジュイックやティビダボ方面を除く至るところにステーションがある。自転車の外観もパリのヴェリブに比べるともっさり感が少なく、乗ってみたいと思わせる魅力がある。ダウンチューブ一本のスタッガードフレームであるヴェリブに比べるとフレーム剛性も高そう。
これは乗らなくては! と思ったが、先述のように観光客には開放されていない。この点のみ残念であった。しかし現在の高い利用状況からすると、観光客にも開放できるだけの台数は確保できないのだと思う。
ちなみにビシングの運営は会員の年間登録料の他、バルセロナのコインパーキングからの収益で賄われているという。パリやブリュッセルのように広告代理店のJCDecaux(ジーセードゥコー)は絡んでいないらしい。なお、自転車とステーションは同スペインのサラゴサ、ストックホルムのオセロの公共自転車システムでも採用されているとのこと。
このビシング、とにかくデザインがかっこよいと思う。赤・白基調のカラーリングはどんよりしたグレーのヴェリブに比べて乗ってみたいと思わせる。乗ってみたかった…
価格評価→使えなかったので評価保留
評 価→使えなかったので評価保留。印象としては★★★★☆
※余談だが、バルセロナではビシング以外にも勿論、ロードバイクも走っている。チビダボ山の頂上に向うケーブルカーにはダウンヒルバイクやフリーライドバイクを積みこんで下りライドを愉しむMTBerも大勢いた。自転車環境は非常に良いように見えた。本格的に乗りたければマイバイクを持ち込むのもありだろう。平地も、ちょっとした登りも楽しめる。また、民間のレンタサイクル店もあるので観光中にサイクリングしたくなったらそれを利用するのも良いと思います。