◀PART 1 | PART 2 | PART 3▶【走行編 大阪梅田新道〜名古屋松田橋】スタートしてすぐ、あることに気づく。
(クリートカバー付けっ放しだ・・・)
幸いまだ市街地。数百m進んだ信号で停車したときに取り外してサドルバッグに放り込む。スタートを撮影してから追いかけてきた七式さんに笑われながら国道一号を一路東進。
さっきお昼を食べた京橋を過ぎ、蒲生4で左折。ずっとR1ルートを行くならそのまま道なりだが、今回は伊賀越えルートだ。2kmほど北上した関目5で右折して国道163号に入る。
第二京阪をくぐってしばらくすると、前方に峠道が見えてくる。今回最初の上り、清滝峠だ。
清滝の上りはそれほどきつくない。傾斜はそこそこだが激坂ではなく、軽いギアに入れて淡々と上る。
3分の2ほど上ったところで、ここまで20km近く一緒に走って下さった七式さんとお別れ。遠くなる姿に右手を突き上げ、健闘を誓う。
清滝トンネルには歩道がありそちらを通ることも可能ではあるが、片側にしかないため大阪発だとわざわざ反対車線に廻ることになり非常に面倒くさい。距離はやや伸びるものの、そのまま峠を越える。このあたりで出発から1時間。市街地は信号が多いため20km弱しか進めなかった。
清滝峠を越えると木津までは下り基調の道が続く。やや車は多いが、信号が一気に減る上に追い風基調なので一気にペースが上がる。2時間経過時点で笠置駅付近。この1時間で28kmも進んだ計算になる。
大河原から伊賀上野までは短いアップダウンの連続。しかし、信号が皆無に等しいのでこのルートはものすごく速い。次の1時間でも26kmぐらいは進んでいる。
伊賀上野を過ぎると道は緩い上りとなり、国道25号と合流する。関西本線とは名ばかりの寂しげな列車が横を走り抜けていく。
新堂駅にトイレがあったのでトイレ休憩。ここからTwitterに位置情報を送信し始める。
第二京阪の伊賀インターを過ぎると道は山の中へ入っていく。日はだいぶ傾いているものの、幸いまだ明るい。
路肩には雪が残っているが、路面はやや濡れている程度のようだ。
最高点を過ぎて下りに転じるとすぐに道路の舗装が荒れ始め、やがて短いものの未舗装区間が始まる。
雪解け水で路面はドロドロ。自転車が汚れてしまった。
しかし、作戦通りダート区間は明るい時間帯に抜けられたのでまだ良かったか。
ここからは関まで一気に下り。信号もなければ車もいない。ライトを灯して一気に駆け下りていく。スタートから95km過ぎで国道一号に合流、ほどなく右側に現れる道の駅関宿でトイレ+水補給休憩とした。
トイレから出てくるとおっちゃんに声を掛けられた。
おっちゃん「どっから来たん?」
私「大阪からです!」
お「大阪か!すごいな!・・・これからどこ行くん?」
私「東京です!」
お「 」
ロングライドあるある。
関からは亀山バイパスに入って一気に四日市へ。
亀山バイパスは大阪側からなら路肩も比較的広いし下り基調なので走りやすい。
旧道と合流してしばらくしたところで、後ろに自転車がいることに気付いた。付かず離れずの位置を走っている。
随分明るいライトを搭載しているようで、電池節約のため三灯のうち一灯しか点灯していなかった私には救世主。後から知ったことだが、この方は2chの書き込みで挑戦を知ったスネークの方だったらしい。
ほとんど信号で止まることが無かったため、きちんとお話しできなかったのが残念でならない。
スタート時に持っていた食料が尽きかけていたので、少し先のセブンイレブン鈴鹿下大久保町店で今回初めての食糧補給。既に115km補給なしで走っているが、多めに食料を持っていたので問題なく走れている。
ここではパックの野菜ジュースとおにぎり、またバタースティックを購入。おにぎりと野菜ジュースはその場で食べて、バタースティックはジャージのお腹部分に投入。
ビニール包装で通気性が著しく悪化するので冬場しか出来ない芸当だが、背中のポケットよりアクセスしやすく容量も大きいのでロングライドでは結構お勧めの方法だ。
四日市の市街地に入ると交通量が多くなる。
事故には細心の注意を払いながら揖斐川・木曽川を渡ると愛知県。
愛知県に入ってすぐのファミリーマートでNo Limit(@kettlebell56)さんがお出迎え。
200km以上のロングライド帰りだとか・・・差し入れをあれこれ頂いて談笑。
おにぎりを二つ買って食べ、グレープジュースを飲み干して出発。
名古屋市に近付くにしたがって交通量が減ってきた。自動車は名古屋市内を回避する国道23号を通るようだ。
中川区のあたりだったか?ローディーを追い抜いた直後、そのローディーから声を掛けていただく。
キャノンボーラー、Hana(@hana586SL)さんだった。
差し入れとしてういろうをもらった。持ち運びやすいサイズながら一つ100kcalあり、かつ甘すぎず食べやすい。
色々と話しながらしばらく一緒に走っていると、途中陸橋の上からカメラを向けている人が目に入った。こちらは通りがかる旅行者を撮影しているという八九(@qw9999)さん。手を振って通過する。
この先の伝馬町には自転車通行禁止区間があるのだが、そこの最適な回避ルートを教えてもらい松田橋の先まで見送ってもらった。
【走行編 名古屋松田橋〜静岡駅前】ここからは昨年の初級キャノボで走ったことのあるルートだ。
松田橋通過はスタートから7時間20分ほど。伊賀廻りなら7時間で通過しておきたいと思ったが、ちょっと遅れている。
幸い食料は十分に持っている。風は追い風だし、50kmは補給なしで走れると判断した。
豊明インターの回避ルートを抜け、岡崎を過ぎたあたりで車通りがずいぶん減っていることに気づく。
それもそうだ。今は土曜の夜10時。みんな家に帰ってお酒でも飲みながらくつろいでいる時間だろう。
そんなのんびりした日常の中、休憩もそこそこに大阪から東京に向けて延々とペダルを漕ぐ男が一人。
追い風に乗って本宿の上りをこなし、御油まで来たところで水が尽きかけたのでミニストップにピットイン。
ボトルに水を詰め、暖かい缶コーヒーを飲み干す。バタースティックも食べきってしまったので、チョコチップパンを買い毎度のことだがお腹に入れる。
随分冷えてきたのでウインドブレーカーを着て走り出したが、すぐに暑くなって脱いだ。走行中、身体は相当な熱を発しているのだ。いくら食べてもお腹が空くわけだ。
豊橋で左折して市街地を抜けると、左手に見えてくるのは・・・
毎度おなじみ、二川のキャノンボウル。自転車とは無関係なボウリング場だ。
松田橋からここまでの65kmにほぼ3時間かかっている。この時は気づいていなかったのだが、これは達成に必要なペースを下回っている。恐らく休憩時間の長さが原因だろう。無意識のうちに身体が休息を求めていたのかもしれない。
本宿の上りと同程度の緩やかな上りをこなすと潮見坂。全行程の三分の一を占める静岡県の始まりである。
真っ暗な潮見坂をライト三灯フル点灯で駆け下り、一路浜名湖へ向かう。普段この付近は強い西風が吹き荒れているのだが、こんなに日に限ってあまり風が吹いていない。
弁天島から浜名湖を望む。
真っ暗で何も見えない。
風はそこまで強くないので、御前崎ルートではなくオーソドックスなR1ルートを行くことにした。篠原インターから浜松バイパスに入り、天竜川駅付近まで市街地を回避する。
静岡県内には自転車通行禁止のバイパスが多いが、浜松バイパスはほとんどの区間で自転車通行可である。
道は広く大型車の走行風もあり、本来ならぶっ飛ばせるところなのだが・・・なぜか信号にやたらと引っ掛かる。あまりペースは上がらない。
東海道本線をオーバークロスしたところでバイパスから側道に下りるのだが、この先でルートミス。
本来なら県道312号に入らなければならないところをうっかり直進してしまった。
安間川公園西交差点でUターンして安新町で復帰。そのまま県道261号を走り、天竜川橋は車道で渡る。車はゼロ。
国道一号に復帰して淡々と東へ走る。信号待ちでふと空を見上げると満天の星空。写真には収められないこの風景を一瞬だけ目に焼きつける。冬のロングライドの醍醐味だ。
三ヶ野インターの回避はやや複雑ながら、過去に走っているので迷うことはない。
久津部で袋井バイパスに合流して、しばらく行ったところのセブンイレブン袋井国本店で休憩。
ホットココアを飲み、チョコチップスティックパンは例によってお腹に保管。ジャージのお腹は本当に便利だ。
水をボトルに詰めて歯磨きをして再出発。
掛川を過ぎて上りに差し掛かったところで、ボトルの飲み口が凍りつき始めていることに気付いた。
外気温は氷点下2度ぐらいか。さすがに寒いのでウインドブレーカーを着込む。
既に300kmほど走ってきているので、小夜の中山までの上りが結構つらい。
小夜の中山トンネルから一度下って金谷峠までも結構きつい上り返し。
峠で水を飲もうとしたが、やはり飲み口が凍っていて飲めない。やれやれと思ってふたを開けてみると、なんだか音がおかしい。
飲み口どころか中身まで凍りついてシャーベット状になっていた。
丑三つ時の金谷峠に乾いた笑い声がこだまする・・・
峠周辺は街灯が皆無に近い。フェイスマスクを鼻の上まで引き上げ、ライトを全開にして金谷の町まで駆け下りる。かなり寒い。
大井川を長い鉄橋で渡るとそこは島田。時刻は午前4時、下りで冷えたのでトイレに行きたいし、少しお腹も減ってきた。
そこで、ふと目に入ったなか卯1国藤枝大手店に吸い込まれるようにピットインした。
牛丼とうどんのセットを注文してトイレに。
美味かった。こんな季節のこんな時間に温かいご飯が食べられるなんて、日本はなんて幸せな国なんだ。
この休憩で、疲弊していた精神もだいぶ回復。宇津ノ谷峠は反対車線の歩道に入ってトンネルを抜ける。が、トンネルを越えてから反対車線に渡る信号が中々変わってくれなくて相当待たされた。素直に歩道橋を渡るべきだったかもしれない。
安倍川を渡って、5時20分に静岡駅前を通過。
出発から15時間30分・・・既に脚が終わりかけていること、更に都心部の渋滞を考えると24時間以内でのゴールにはギリギリの時間だ。
◀PART 1 | PART 2 | PART 3▶