購入価格 ¥3850
◆購入動機
ブロンプトンは、一般的な小径車と比べるとタイヤの選択肢が非常に少なく、一部の特別仕様車向けの物を除くと、ここ数年の間で安定的に入手できるタイヤは、シュワルベのマラソンレーサー、マラソン、コジャックの3種類という状況でした。
そんな中、コンチネンタルからブロンプトンサイズの新製品が発売され、ちょうど手持ちのP6Rのタイヤ(マラソンレーサー)の交換時期が近づいてきたので試しに購入してみました。
約600kmほど使用時点でのレビューです。
◆製品概要
舗装路での普段使いを想定した製品で、E-Bikeへの装着も想定して設計されているようです。
トレッドパターンは実用タイヤとしてはかなりロードタイヤ寄りなデザインになっています。
700×28Cサイズもラインナップされていますが、本稿ではブロンプトン向けタイヤとしてレビューしたいと思います。
主な比較対象は、マラソンレーサー、マラソン、コジャック(ケブラービード仕様)で、チューブは全て同じ物(シュワルベ製)を使い、空気圧は5気圧、タイヤ幅の細いコジャックのみ5.5気圧で比較しています。
◆使用感
【着脱性】
着脱はかなりしやすいです。簡単に手で付け外しできます。
シュワルベのタイヤは、空気を入れる際にビードが均一に上がりにくく気を使う物が多いと感じますが(あくまでも個人的感想)、本製品は普通に空気を入れるだけでビードがしっかり上がってくれます。
また、全体的に作りが綺麗で歪みもなく、製品ムラが少なく感じます。
ホイールに装着した際の真円度も高いですし、サイドに入っているリフレクトラインの歪みもほとんどありません。
重さは公称260gで、実測したところ1本が266g、もう1本が264gでした。
公称より僅かに重いものの、2本の誤差はかなり小さく、この点も好印象です。
ちなみに、表記上は本製品、マラソンレーサー、マラソンは同じサイズですが、ブロンプトン純正リム装着時の幅は【マラソンレーサー>本製品>マラソン】という順番になっています。(本製品のリム装着時の太さは約33mm)
そして外径に関しては、マラソン、マラソンレーサーと比べ、本製品は明らかに大きくなっています。(フェンダーとのクリアランスが小さい)
【グリップ】
舗装路でのグリップは実用タイヤとしてはかなり良く、マラソンレーサーやマラソンよりも明らかに上です。
コジャックと比べても負けていないように感じます。
マラソンレーサーやマラソンは濡れた路面でグリップがガクッと下がる印象でしたが、本製品はそういった感覚はありません。
雨天走行での安心感は高いです。
その反面、砂利道や未舗装路、道路端の浮き砂に対してはハンドルを取られやすく、やや不安定な印象です。
この辺りは、スリックに近いトレッドパターンの関係上、致し方ないでしょう。
【乗り心地】
荒れたアスファルト、厚く塗られた白線の段差等の比較的小さな衝撃・振動はしっかり吸収してくれているように感じます。
しかし、大きな衝撃の吸収は苦手なようで、側溝や歩道の段差等では結構な突き上げ感があり硬いです。
総合的な乗り心地に関しては、マラソンレーサーはもちろん、細身のコジャックと比べてもやや分が悪い印象です。
【転がり抵抗感】
重量の関係上、発進加速時や登坂、巡航状態から一気に加速する際の軽快感はコジャックにやや劣る印象ですが、それ以外の場面での純粋な転がりはコジャックと殆ど変わらないように感じます(むしろ良いかも…)。
かなり軽い走りで、コロコロと良く転がってくれます。
【耐パンク性】
今のところはパンクはしていません。
日頃、結構無頓着に荒れた路面を走りますし、ガラス片が散乱した上を通過した事もありますが、トレッド面に目立った傷は見当たりません。
長期使用していない現時点ではっきりとは言えませんが、少なくともパンクに弱いという事はなさそうです。
感覚的には、トレッド面の傷つきにくさはコジャック、マラソンレーサー以上で、マラソンに近いように感じます。
【耐摩耗性】
比較的グリップが良いため摩耗しやすいかと思いきや、600km走っても接地面のヒゲがなくなった程度で、意外に減りません。
さすがにマラソンと比べると若干減りが速そうな気もしますが(トレッドパターンもマラソンの方が深い)、コジャックのように減る感じはないです。
ちなみに、トレッド面にはきちんとスリップサインも入っています。
【耐久性】
スリックに近いトレッドパターンのオンロードタイヤで、走行性能の観点から見れば未舗装路は得意ではないものの、タイヤサイドもトレッドも極端に薄い感じはなく、しっかりした作りなので、砂利道やちょっとした林道程度なら問題なく走れます。(その点、コジャックは心許ない…)
今のところサイドのケーシングのほつれもなく、そこそこの耐久性はありそうです。
正直、長期使用していない現時点では、耐久性についてはっきり断言はできません。
【気になるところ】
私(体重58kg)は、当初6気圧を入れて走っていたのですが、乗り心地がかなり硬く感じました。その後、いろいろ試して5気圧程度まで下げたところ、嫌な突き上げ感はなくなりました。
体重や好みにもよりますが、本製品はむやみに空気圧を高くしてもあまり転がりは軽くならず、乗り心地の悪さばかりが目立つように感じるので、とりあえず最初は若干低めの空気圧から試した方が良いかもしれません。
ちなみに、タイヤ側面の空気圧表示は上限の8BAR(116PSI)としか書かれていませんが、製品ホームページをみると推奨空気圧は65Psi(大まかに4.5BARあたり)となっています。
また、性能的には守備範囲が広く、日常の普段使いからロングライド、スポーツ走行まで幅広い用途に対応できると思うのですが、前述のようにスポーティーなトレッドパターンになっているため、もしかすると伝統的な雰囲気を重んじるブロンプトン乗りの方には受け入れにくいかもしれません。
◆まとめ
軽快な走行感とグリップをうまく両立し、十分な耐久性も備えた、とてもバランスの良いタイヤだと思います。
前述のように乗り心地は若干硬いですが、不快な振動はしっかり吸収してくれている感覚があるので、決して安っぽい乗り味ではありません。(硬いと言ってもゴツゴツではなくコツコツという感じ)
ロードタイヤのグランプリ系統のような、「転がりが良く、尚且つグリップも良いけど、乗り心地は硬め」の走行感を想像していただくと傾向がわかりやすいかもしれません。
いかにもコンチネンタルらしい乗り味です。
値段はブロンプトン純正扱いのマラソンレーサーよりも1本あたり2200円、コジャックと比べると1本あたり約5000円(!)安いものの、走行感も作りも、安物感は全くありません。
今までブロンプトンのタイヤは、
●走行性能・耐久性・重量等、バランスを重視する場合はマラソンレーサー
●ロングツーリング用途や、ランニングコストを重視する場合はマラソン
●耐久性に目をつぶって舗装路での走行性能や重量の軽さを重視する場合はコジャック
という感じでした。
そんな中登場した本製品は、走行性能と耐久性、価格のバランスがとても上手く纏まっており、マラソンレーサーの代用として使えるのはもちろん、重量の軽さを求めなければコジャックの代わりとしても使えそうな、懐の深い製品だと思います。
今後、長期使用の間に思わぬ弱点が見えてくるかもしれませんが、現時点では、総合的に見て非常に気に入っている製品です。
何かあれば、また改めて追記レビューしたいと思います。
価格評価→★★★★★(ブロンプトンサイズのタイヤの中では、総合的なコスパはとても良いと思う)
評 価→★★★★★(乗り心地が若干硬い事以外、今のところ特に弱点は見当たらない)
<オプション>
カタログ重量→ 260g(実測重量264g)