皆さんこんにちは! 第48回アンケートへのご協力ありがとうございました。今年最初のアンケートのテーマは「今年のあなたの自転車目標は?」でした。CBNのレビュワー掲示板で「今年は○○が目標です」というトークが自然発生し、ここは一つ「今年の目標」をテーマにアンケートしてみてはどうか、とmk-2さんが提案してくださいました。mk-2さん素晴らしいご提案をありがとうございました!
ところで皆さんは、目標を立てる習慣はありますか。なんだかかったるくて面倒くさい。そんなふうに思っている方は、いませんか。他人に命じられて、他人の意向に沿うようなかたちでイヤイヤ立てられた目標は、確かに魅力のかけらもないでしょう。しかし、自分のために自分で立てた目標というのは、絶対に燃えます。やる気になります。これまでに目標を立てたことがない、という方は、ぜひ立ててみてください。目標を立てる過程で、自分が何をやりたいのか、何に興味を持っているのかがわかるようになります。自分の隠れた欲求や、志向性を発見できるのも、目標設定がもたらす良い効果の一つだと思います。
今年のあなたの自転車目標は?(いくつでも) | 安全運転を心がける(落車・事故・故障しない) | 14 % (381) | 去年より速く走れるようになる | 11 % (292) | 去年より遠くまで乗れるようになる | 11 % (291) | 月間・年間の総走行距離を伸ばす | 9 % (255) | メンテナンスの技術を上げる | 8 % (217) | ライディングスキル・テクニックを向上させる | 7 % (186) | 自転車をグレードアップする | 6 % (163) | サイクリングイベントに参加する | 5 % (149) | 地元から遠い場所(国内)に走りにいく | 5 % (136) | レースに出場する | 3 % (80) | 物欲から解脱する | 3 % (79) | 自転車以外の趣味との両立をはかる | 3 % (78) | 自転車の物理特性についての理解を深める | 2 % (62) | 運命のサドルに出会う | 2 % (54) | レースで入賞する | 1 % (51) | ロードにも挑戦する | 0 % (25) | 自転車通勤に挑戦する | 0 % (25) | MTBにも挑戦する | 0 % (18) | 工房にフレームをオーダーする | 0 % (14) | 地元から遠い場所(海外)に走りにいく | 0 % (10) | リカンベントにも挑戦する | 0 % (9) | その他 | 0 % (18) | 投票数: 2593 投票者数: 539 | | CBN1億人読者の今年のキーワードは "Safer, Faster, Longer"
さて、CBN訪問者の皆さんは、この2011年、具体的に何を成し遂げたいと考えているのか? 左の表を見てみましょう。トップスリーボックスから、多くの人が一年を安全に乗り切りたい、この一年でより速く走れるようになりたい、より遠くまで・長距離を乗れるようになりたい、という目標を持っていることが伺えます。より安全に、より速く、より遠く、ということでしょうか。
転んで怪我をしたり、無理なペダリングで膝を壊したり、交通事故に巻き込まれたり、他人に怪我をさせてしまったり・・・ということがあると、そもそも自転車を楽しむことができなくってしまいますから、安全第一を心がけて無事故・故障怪我なしで一年を乗り切るという目標は、いちばん大事ですね。その上で、どのような自転車活動に重きを置くかという話になってくるわけです。
思うに、誰でも「自転車と関わるのが楽しい」から自転車に関わっているわけです。そして、何が楽しいか、というのは、人によって、かつ、その時々で刻々と変わってくるものだと思います。自転車購入前は、何を買おうか、どんな色のフレームでどんなコンポの自転車にしようか、雑誌を眺めながらあれこれ妄想するのも楽しいでしょうし、ある程度乗れるようになってからは、メカいじりが楽しくなることもあるでしょう。のんびりまったり自分のペースで、時々写真を撮ったりしながらポタリングをするのが楽しいこともあれば、サイコンのメーターが常に30km/h以上の状態で走るのが、苦しいけれど楽しい、という方もいると思います。
左の表の中で、皆さんが今年の目標として選んだ項目は、かなりの確度で、皆さんが「いま、自転車で楽しいと思っていること」をあらわしていると言えると思います。今は速く走るのが楽しいから、速く走れるような身体を手に入れたい。いつもとは違う風景の中で走り、新しい出会いがあるとワクワクするから、体力を身につけたい。という風に、欲求と目標はリンクしているのが普通です。
ていうか、リンクしていないとダメですよね。というのも、心の奥底から本当にやりたいと思っていないことを目標にしても、まず達成できません。 |
たとえば、あなたはパンク修理がイヤでイヤで仕方ない人だとします。オイルでまみれたチェーンやスプロケットは、触るどころか見るのもイヤだ。変速の仕組みは全然興味がない。変速調整しているヒマがあったら一分一秒でも多く走りたい。もしあなたがそのように
心の底から強く思っているのなら、「メンテナンスの技術を上げる 」という目標を立てても、成果はほとんど上がらないと思います。
勿論パンク修理くらいできないと一緒に走っているクラブチームのメンバーに迷惑がかかるから、最低限それくらいはできるようなりたい・・・という、「自分の致命的な欠点を補う」という目標を立てるのは十分にアリだと思います。ただその場合は、「必要に迫られて立てる目標」以外にも別途、「自分の欲求と欲望に基づいた目標」を立てたほうが良いと思います。というのも、特殊な例外を除いて、私たちの大部分は、趣味として、楽しむために自転車と関わっているわけですから。
ところで、一般的な話になりますが、目標設定にはいくつかの基本的な原則があります。皆さんもご存知だと思いますが、代表的なものは以下のような感じです。
・目標は達成可能なものにすること (achievable)
・目標はそれなりに困難なものにすること (challenging)
・目標は具体的なものにすること (specific)
・目標は測定可能なものにすること (measurable)
・目標は現実的なものにすること (realistic)
・目標は期限付きにすること (time-bound)これはどういうことかいうと、たとえば私が、次のような目標を立てたとします。
「俺はツールで勝つ! いつか必ず勝つ!」これは、いろんな意味で「ダメな目標」です。というのも、私がツール・ド・フランスに、そもそも出場することは現実的(realistic)ではないですし、ましてや「勝つ」というのも達成可能(achievable)ではありません。そして「勝つ」という表現が曖昧です。マイヨ・ジョーヌを獲るということなのか? それともステージ優勝を狙うのか? 山岳賞を狙うのか? 目標というのは、このあたり、具体的(specific)であるべきです。あと、「いつか必ず」というのもダメです。「来年は絶対に勝つ!」とか「三年以内に勝つ!」とか、期限付きにすべきでしょう。あと、何をもってしてツール・ド・フランスで勝ったといえるのか、測定可能(measurable)にしておく必要があります。たとえば、パリのシャンゼリゼでポディウムの中央に黄色いジャージを着て立つ、というのが測定可能な状態の一つです。これを曖昧なままにしておくと、
「今年のツールも、くだらん雑魚どもの低次元の争いだったな……今年のツールの勝者は、シュレックでもコンタドールでもない。真の勝者は、誰も気付いていないが、荒川で黙々と走っていたこの俺だ。俺がツール・ド・荒川の勝者だ。俺はツールといったがツール・ド・フランスなんて一言も言っていない」みたいなとんでもない自己正当化が可能になってしまいます。こういうのは目標達成とは言いません。ただの妄言であり、屁理屈です。こうならないよう気をつけましょう。人間は弱い動物なので、困難な状況に直面すると脳はすかさず自分自身をなぐさめるために都合の良い論理を展開しはじめます。
反対に、
「今年の6月までに、いつものあのコースで、無風の条件で、40km/hで30分間止まらずに走れるようになるぞ。あの峠でのタイムをあと3分縮めるぞ。今の自分は一日で200km走れるのはわかっている。12月までには自分のサイコン読みで一日で300km走ってみせる。」
こういうのは、具体的かつ現実的、測定可能で期限付きで、なかなか良い目標ではないでしょうか。具体性を持たせるという点では、「メンテナンスの技術を上げる 」や「ライディングスキル・テクニックを向上させる 」といった目標も、「何ができるようになったら、メンテナンスの技術が上がったといえるのか」や、「何ができるようになったら、ライディングスキルが上がったといえるのか」をあらかじめ明確にしておいたがほう効果的だと思います。「ホイールが組めるようになる」とか、「バニーホップができるようになる」とか、そういう具体的なレベルまで落とし込むといいのではないでしょうか。
また、目標には定期的なレビュー(見直し)が必要です。三ヶ月後、半年後、目標に対して自分はいまどのあたりまで来ているのか。努力は足りているか。そもそも最初に立てた目標は無謀すぎはしなかったか。逆に、安易すぎはしなかったか。そういう反省と見直しの必要も出てきます。 こういう目標管理は、他人に強制されたり、他人のために行っていると、本当につまらないし、苦痛以外の何物でもないと思いますが、自分のために自分の意志と欲求で実行すると、とてもやりがいがあって楽しいものです。いままでそんなことやったことない、という方、ぜひ一度お試しください。
今回は、主に「最近自転車をはじめたばかりだ。とても楽しいけれど、もっともっと楽しみたい」と考えている方々に向けて、まとめを書いてみました。
それでは皆さん、今年最初のアンケートへのご協力、ありがとうございました。また次回もご参加宜しくお願いいたします。
[管理人@サイクルベース名無し]