皆さんこんにちは、いつもアンケートへのご協力ありがとうございます。
第33回目のアンケートは「メンテナンス・調整作業」についてでした。
では今回も早速結果を見ていきましょう。
Q1. あなたはメンテナンス作業が好きですか?これは非常におもしろい結果だと思いますが、皆さんどうでしょう。メンテナンスは、「大好き」というより、「普通に好き」な何かである、という回答が多かったわけですが、この微妙な温度差がいい感じ。「メンテナンスは好きっていえば好きなんだけど、やっぱり乗るほうがもっと楽しいし、大好きってほどでもないんだよなー」というサイクリストの姿が見えてくるような気がします。一方、メカとしての自転車に大きい興味を持ち、それ故にメンテナンスや調整という作業に情熱を持つ「メンテ大好き」な人々も、4人に1人(25%)の割合で分布していることがわかりました。
そして「嫌い」という方が5%。このセグメントも興味深いですよね。自転車に乗るという行為が純粋に好きだけれども、メカにはあまり興味がないという方がいても不思議ではないでしょう。
ところで、「スポーツサイクルに乗る人は、メンテナンスが好きでないとダメ」なのでしょうか? これには様々な意見があると思います。個人的には、そんなことはない、と思います。メンテナンスが嫌いな人がいてもおかしくないし、それはそれで結構。ただし、メンテナンス作業が好きになるほうが「サイクリストとしての自然な成長の方向」であるとは思うし、好きになったほうが、様々な楽しみが増えていくし、新しい気付きや発見を得られるような気は、しています(メンテナンスという行為を通じて、自転車の機構そのものの理解が進み、その結果、走ることがもっと楽しくなる)。
Q2. パーツの交換・取り付け・メンテナンスは・・・パーツの交換・取り付け・メンテナンスは自分で行う、という方が8割を超えています。ショップに依頼する、という方々は、二つのグループに分かれると思います。まずQ1で「メンテナンス作業が嫌いである」と回答された方々のグループ。もう一つは、「メンテナンス作業は好きだし、ほとんど自分で作業をするけれど、特殊で高価な工具が必要であったり、技術的に非常に難しい作業はプロに依頼する」という方々のグループ。
例えば、フレームから新車を組み立てる際に、BBのねじ山をさらいなおしたり、面取りをしたりする場合。これらの作業に必要な専用工具を持っている人はそう多くはないでしょう。ヘッドパーツの圧入作業、フレームエンドの修正も同様ですね。私も、これらの作業に必要な工具は所有していません。ヘッドパーツ圧入やフェイシングの工具、スポークカッターなどを買う時、ひとは自転車屋さんになるのだと思っています(モニターの前でギクッとしたあなた。もう迷わず突き進みましょう!!)。
Q3. 腕のいいプロにメンテナンスしてほしいと思うことがありますか?この設問への回答結果は、「いいなぁ~」と思いました。なんだか嬉しくなるような回答です。というのも、「プロショップ」と呼ばれる存在や、プロのメカニックの方々がきちんと尊敬されているんだな、という印象を受けるからです。通販でパーツを購入する人はだいぶ増えているのではないかと思いますが、それはたぶん財布の事情が厳しいから安いところで買っているだけであって、近所のプロショップが信用できないとか、そういう理由からではないようですね。これはちょっと嬉しい結果。
どれだけ自転車が好きで、多大な時間と労力を自分の自転車の調整に割いてきていても、年間に何十台何百台という自転車を組み上げ、調整しているような一流のメカニックの方々には及ばない点が多々あるはずですよね。自分で頑張ってほとんどの作業を行えるけれど、プロは同じ作業をどこまで高い精度でやれるのだろうか、という興味も出てくると思います。非常に多くの方々が、「経験のある、腕のいいプロに自分の自転車を仕上げてもらいたい、そしてどれだけ自分の自転車が良い状態になるのかを知りたい」と思っているのではないでしょうか。
私自身も、時々そう思うことがあります。マニュアルを見ながら、適切な種類の工具を適切に用いることで、ほぼ完璧に取り付けられるパーツが多数ある一方で、プロショップの腕のいい店員さんにはとてもかなわないと思う作業が多々あります(ワイヤリングなど良い例かもしれません)。
一方、「プロに作業を依頼するつもりはなったくない」という方もいらっしゃいます。この人達は、では、プロ並みの技術と経験を持った素晴らしいサンデー・メカニックなのでしょうか。あるいは、プロのメカニックという存在をあまり信用していない人々なのでしょうか。
必ずしもそうとは言い切れないと思います。「プロに対しては最大限の尊敬を払い、プロがどのような作業をするかについても興味はあるが、それでも自分のマシンを調整するのは、自分だけである」というサイクリストは、数多く存在します。これは、大げさな言い方をすれば、一つの「生き方」です。この話は長くなってしまうので今回は深入りはしませんが、こうしたアティテュードを持った人々は、サイクリストだけでなく、モーターサイクリストにも、クルマの愛好家にも、楽器の愛好家にもいます。「自分はそれほど調整が上手ではないかもしれないけれど、自分のマシンは自分で面倒を見たいし、他の人に調整されても困る」という方。なんだか、そんな方々の気持ちもわかるような気がしませんか。
Q4. 全バラシのフルメンテナンスにいくらまで払えますか(消耗品代金を除く)?この質問への回答結果も、おもしろかった! パーツ交換費用抜きで、全てのパーツを取り外して清掃してもらい再組み付けしてもらい調整してもらう・・・その作業の対価として、自分ならいくらまで払えるか。20,000円という数字がおもしろい。現実的でおもしろい数字だし、様々な解釈を許しそうです。この「20,000円」には、「プロ・メカニックへの尊敬」がこめられているな、と私は思いました。思うに、経験を積んだ腕のいいプロメカニックにとって、20,000円での全バラシフルメンテナンスは「割りに合わない仕事」であるような気もします。持ち込まれる自転車の程度にもよると思いますが、程度がひどければ作業に丸一日かかることも珍しくないでしょうし、もっとかかることもあるかもしれない。もっとも、一般人の私が「それは丸一日かかるでしょう」と想像するような作業を、仮に二時間程度で終えてしまうようなすごいメカニックには、彼の丸一日分の給料分くらいはぜひ受け取ってほしい、と思うかもしれません(逆に、それくらいすごい人でなければ、サイクルベース名無しの訪問者はオーバーホールを依頼したりしないのかもしれませんが・・・)。
私は、今回のアンケートでとても大きい発見がありました。それは一言で表現すると、「みんないい人たちだな!」ということです。乗って楽しい自転車、そのメカニズムを理解したいという欲求があり、メンテナンス作業を楽しむことができて、やれることは自分でやり、向上心もあり、技術と経験のあるプロには敬意を払っている・・・なんだかいい感じですよね。
さて、今回のミニアンケートの結果は如何でしたか。
近日中にまたアンケートを実施しますので、ご期待ください。
また、いつもアンケートのテーマのご提案、ありがとうございます。現在、複数のリクエストもいただいておりますが、設問が難しいものもあるため、実施は順不同になることがあります。ご理解いただけると幸いです。
なお、アンケートのアイデアは常時募集しております。以下のリンクからお気軽にご連絡いただけると幸いです。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/inquirysp/それでは皆様、今回もご協力ありがとうございました!