皆さんこんにちは! 第67回アンケートへのご協力ありがとうございました。今回は「話題の『アベノミクス』は私達サイクリストのショッピング行動にも影響を与えているのか」がテーマでした。「アベノミクス」と呼ばれる第2次安倍内閣の経済政策の詳細についてはここでは触れませんが、まだ基本的には「始まってさえいない」とされるこの経済政策の影響で円安が進行しているのは皆さんご存知であると思います。
約10年前にも遡るでしょうか、日本国内の通販ショップよりも欧米のショップで買ったほうが安い、しかも国内ショップより速く商品が到着することさえある。そのことに気付いた私たちは、以来、積極的に海外通販ショップを利用してきたわけです。円高の影響も手伝ってこの動きは加速し、この状況を「追い風」と捉えた一部の先鋭的な海外ショップはサイトのインターフェースに日本語を導入。さらに資金力のあるショップは常駐の日本人サポートスタッフを雇用し、ついには「海外からの荷物なのに一定金額の購入で送料無料」という衝撃のサービスを開始しました。代表的なショップは英国のWiggleとChain Reaction Cyclesです。これら二つのショップはCBNでも利用者が非常に多いらしく、レビューも数多く寄せられています。
参考:[海外通販] wiggle
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=5381&forum=125参考:[海外通販] Chain Reaction Cycles
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=5601&forum=125一方、日本国内でこの「海外通販ブーム」に真正面から対抗しようとする勢力はこれまで見られなかったのが実情です。送料無料サービスを開始しても閾値が1.5万円だったり、注文してから在庫確認報告まで中二日ということもざらで、販売価格は海外ショップの2〜3割増しが当たり前。あるシューズを買う場合、海外ショップなら1万円で買えて翌々日には届いている(しかも送料無料)。国内ショップだと1.3万円で到着まで一週間かかる(送料は別途発生)。そんな状況が本質的には長らく改善されず、今日まで続いています。
勿論、こうした状況の責任を小売店のみに押し付けるのは、やや筋違いではあるのでしょう。国内ショップが怠惰だから海外ショップに負けたのだ、という理解はたぶん間違っていて、「輸入代理店・問屋・小売店から成る日本の複雑な流通システム」が「外国のスマートな流通システム」に負けたのだ、という見方をする必要があるでしょう。日本のショップオーナーは日本の流通システムの外で商売をすることはまず無理でしょうから、どうにかしたくても何もできない状況であったとも言えるでしょう。日本の通販ショップは長年にわたり、こんな感じで国内の潜在的な顧客を海外ショップに奪われ続けてきたわけです。
しかしここで風向きが変わろうとしています。原因はこのところの円安基調です。アイテムによっては海外ショップと国内ショップの販売価格にほとんど差がないという事態が発生しています。すると誰でも思うはずです。「外国から買う必要が、あるのだろうか?」と。
そういう疑問をふと抱く今日この頃なわけですが、最終的に皆さんはどこで買っているのか。その理由は何なのか。また、今後どうなりそうなのか。それを知りたいと思ったのでした。
ではアンケート結果を見ていきましょう。
1. 現在主にどこで自転車関連の買物をしていますか?(あえて1つ) | 国内ショップ | 47 % (179) | Wiggle | 38 % (146) | Chain Reaction Cycles | 10 % (40) | 上記以外の海外ショップ | 3 % (13) | 投票者数 | 378 |
2. 今後は主にどちらで買物をすると思いますか?(あえて1つ) | 国内ショップ | 56 % (201) | 海外ショップ | 43 % (155) | 投票者数 | 356 |
3. 2番目の質問で「海外ショップ」と答えた方にお聞きします。その理由は?(いくつでも) | 安いから | 79 % (136) | 品揃えが良いから | 53 % (92) | いつも使っているから | 23 % (39) | 速いから | 17 % (30) | 安心感があるから | 9 % (16) | 投票者数 | 172 |
4. 2番目の質問で「国内ショップ」と答えた方にお聞きします。その理由は?(いくつでも) | 安心感があるから | 59 % (135) | いつも使っているから | 43 % (98) | 価格差がないから | 35 % (79) | 速いから | 29 % (66) | 内需拡大に貢献したいから | 28 % (63) | 投票者数 | 227 | | 海外自転車通販ショップ利用率の現状
最初の質問では、円安進行中の現在、皆さんがどこで買物をしているかをお聞きしました。結果、国内ショップと答えた方が47%。Wiggleをはじめとする海外ショップと答えた方が合計で52%。海外ショップ利用率の優勢が辛うじて保たれてはいますが、CBNが2012年7月に実施したアンケート「通販ショップ 2012」では、国内ショップ利用率はオンライン・路面店の合計で42%、海外ショップ利用率は56%でした。つまり、2008年からずっと利用率が右肩上がりを続けてきた海外通販ショップの成長に、はじめて歯止めがかかった、ということになります。そして国内ショップでの利用率が5%上昇しました。
参考:2012-07-16 【第59回】アンケート結果分析:通販ショップ 2012 https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=9750&forum=114
これはやはりじわじわと円安の影響が出てきていると考えるべきなのでしょうか?
今後の傾向:海外自転車通販ショップの利用率は下がっていくか
では今後皆さんはどこで買い物をするのでしょうか。結果をドン。国内が56 %と、海外の43 %を大きく上回りました。これを上でのトレンドの変化と重ね合わせると、「今後海外ショップは下火になる」のは明白です(但し円安傾向の維持もしくは進行が前提かもしれません)。
今後、海外ショップを使いたい理由とは
このように利用率が下がりつつある海外自転車通販ショップですが、今後も海外を使いたいという方々による最大の理由は「安いから」。円安進行中とはいっても、価格差が完全に埋まったわけではなく、製品によっては価格差が大きく開いているものもあるからでしょう。二番目の理由は「品揃えが良いから」。「海外ショップは、安心感には欠けるが安くて品揃えが良い。」ということだと思います。この結果をちょっと忘れずに頭に留めておいてください。次に国内ショップが支持されている理由を見たいと思います。
今後、国内ショップを使いたい理由とは
今回のアンケートにあたっては、「円安で海外ショップでの価格が上がってきて(あるいは国内ショップでの価格も下がってきて)、その結果国内で買う人が増えてきているのではないだろうか」という仮説を持っていました。つまり、国内ショップ利用率が上がっていくとしたら、その最大の理由は「価格差の解消」だと思ったのです。しかし「価格差がないから」は上から三番目の理由で、トップではありませんでした。実際、現状では全体的に海外のほうがまだ安いということも言えるので、価格がトップの理由に来なかったのは自然なのかもしれませんが、個人的には「安心感・定番感というファクターは、少々の価格差なら吸収できてしまうすごいものなのではないか」という感想を持ちました。10,000円と15,000円だったら他の要素を度外視しても10,000円のお店で買うけれども、10,000円と10,500円だったら「いつも使っている安心できる店で買う」。ということではないかと思いますが、皆さんはどう思われますか。 |
価格差がなくなった時、「安心感・定番感」と「品揃え」のいずれか、あるいは両方を満たしているショップが利用されるこのアンケート結果には、海外ショップ・国内ショップどちらにとっても業績改善のための重要なヒントが隠されています。海外ショップにとっては、何よりもまず「安心感・定番感」の醸成が必要でしょう。「いつも使っている」という「定番感」は、「安心感」があってはじめて発生する要素だと思いますが、ではその「安心感」とは何でしょうか。注文したものが間違いなく確実に届く。万一間違いがあった場合はストレスなく、少ない手数で問題を解決できる。そのためには日本語でのコミュニケーションが必要。そう考えると、WiggleとCRC以外のショップが今後の円安の荒波の中で日本のサイクリストから支持を得続けるためには、日本語サポートの強化が必須でしょう。この点は既に着手済みのWiggleやCRCは、今後価格面でのアドバンテージがどんどん減っていく時のために備え、上述の「安心感・定番感」をさらに鍛えあげていく必要があるでしょう。トラブルを減らすという基本的な点以外に、外国のショップであるという「心理的な距離」をさらに埋める努力も必要になると思います。平たく言えば、もっと身近に感じてもらうということです。この点、日本国内のヒルクライムレースをスポンサードしているWiggleはそのあたりをよくわかっているなという気がします。CBNの「東京大阪キャノンボール支援プログラム」もスポンサードしてくれたらWiggle人気はもっと高まると思います。間違いありません。そうですよね皆さん。
一方、日本のショップはどうか。今後も海外ショップを使いたいという人々の要求、すなわち「安さと品揃え」にあらためて注目する必要があるでしょう。安さだけでなく品揃えも良くすれば他店を大きくリードできるのではないでしょうか。しかし言うは易し、これまで日本国内の小売販売価格が高かったのも、小売店が在庫リスクを回避できるような特殊な流通システムがあって、そのシステム利用料が高く付いていたからに他なりません(この小売店の在庫リスク回避費用を払っていたのは最終的なユーザーである私達だったのは言うまでもありません)。幅広い商品を在庫する、というのはそう簡単には行かないかもしれません。しかもこの問題は自転車業界に限ったことではなかったりします。日本中のいろいろなお店が直面している問題ですよね。また、「品揃えの拡充」を得意とするのは規模の大きいお店です。この点、小さいお店は規模の経済に太刀打ちできなかったりします。
今回のアンケート結果で、国内・海外どちらにもそれぞれの強みと弱点があることが鮮明になりました。いわゆる「アベノミクス」はまだ始まってさえいないわけで、今後の展開は未知数ではありますが、この円安と景気上昇をきっかけに国内ショップも海外ショップも顧客の維持・獲得のために競いあって欲しいと思います。
なお、当サイトでは様々なショップからの広告出稿を受け付けています。海外・日本国内の区別はありません。当サイトへの広告出稿・スポンサードから発生する収益は当サイトが主催する各種イベントに充当されます。CBNユーザーを応援したい、CBNユーザーに当ショップを使ってもらいたい、という方は、是非以下のリンクを御覧ください。固定広告以外にも、CBNの「ベストレビュワー賞」や「月間賞イベント」、「東京大阪キャノンボール支援プログラム」のスポンサード等、スポット的な依頼も歓迎です。お気軽にご連絡ください。
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https://cbnanashi.net/cycle/modules/static1/index.php?content_id=48それでは皆様、今回のアンケートへのご参加、どうもありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。
[管理人@サイクルベース名無し]