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V―BRAKE
は株式会社シマノの登録商標(商標登録第4612297号)です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/TR/JPT_4612297/EA1C143511DC33BB1A5671D85106719AJIS(D9414)では「キャリパブレーキ カンチレバーV形」と呼んでいるようだ。
まあ、デジカメ(三洋電機株式会社)だのホッチキス(マックス株式会社)だのキャタピラー(キヤタピラ- インコ-ポレ-テツド)みたいなもんだ。
で、面倒くさいから「Vブレーキ」で話を進めよう。
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非常に初歩的な話かもしれないので先輩諸兄には退屈な話題かもしれないが、お許しを。
1. ブーツ
Vブレーキにはお約束のように付いているブーツ。
シューが減ってくると、ある時点で突然効きが悪くなることがある。
原因の一つに、ブーツが突っ張ってレバーの引きを重くしている場合がある。
この写真のブーツは、外観は蛇腹状になっているが、内径はストレート(モールド時のヒケの分が凸凹にはなっている)。
つまり、結構固い。
泥除けの無い車体や、もっと泥が飛ぶMTBなんかだと泥詰まりが気になるが、そうでなければ外してしまえ。
と考えることもできるが…
ミニベロ乗りの私としては、ちょっと待てと言いたい。
電線の引き込み口は下向きにするという、屋外配線の常識。そうできなければ、きっちりシーリングする。
DAHONに代表されるミニベロのH形フレームでは、リアブレーキからワイヤーが一旦下がって前に行くというルートが多用される。
屋外配線の例に倣えば、アウターの口から入った雨水が一番下がっているところに滞留するおそれがある。
下引きのサイドプルブレーキにブーツを付けているのを見かけるが、分ってるやん、と思う。
幸い、このブーツはどこで切っても内径が同じだったので(アウター受けに上手く嵌る)、ぶった切って取り付けるだけでこの問題は解決した。
欲を言えば水抜き穴も欲しいところだが、回り止めが無いので諦めた。
2. シューの段
シューが減ってくると、片当りがなかなか直らないことがある。
Vブレーキを正面から見ると、大体こんな感じ。
この図はWikimediaからもらってきた著作権フリーの画像にリムやシューを描き足したもので、写っているのは私の自転車ではない。
シューの当たり面を拡大して見ると、こんな感じ。
シューの断面形状が台形だと、擦り減るにつれて上下方向の幅が広がる。
しかも、Vブレーキや旧来のカンチブレーキは、ピボットと当たり面の位置が近い割に、ピボットよりかなり内側に当たり面があるので、シューを斜めに押している。
そのため、シューが減ってくると下の方が減り残って(変な日本語だが)、青で示したようなツノ(出っ張り)ができる。
ミニベロの場合、リムのアールとシューの円弧が違うので、前後方向の真ん中辺りにツノができやすい。
赤い線の軌跡に沿ってブレーキが戻ろうとすると、このツノがリムに引っかかって戻り辛くなる。
ツノの大きい側が残って片当たりになるわけだ。
私が知る限り、大抵のVブレーキにはセンタリング用のねじが『両側に』付いていて、これを『個別に』回して片当たりを調整する。
なんで鍵カッコを付けているかというと、2つのばねで引っ張り合って、あるいは押し合ってセンタリングするというのは、確実性の面であまりよろしくない。
Vブレーキに使われるねじりばねの特性はほぼリニアで、アームの作動角とばね力が比例する。
参考:
https://www.tokaibane.com/tech/twist_info.html※記号一覧の「kr」は多分「kT」の誤記。
そして、Vブレーキのセンタリングは、左右のばね力の差がゼロになるようにアームが動いて行われる。
ところが、左右のアームの戻り角度がちょっと違う程度ではばね力の差もたかが知れているので、ちょっとツノが引っかかるだけで止まってしまうというわけ。
例えばこのようなサイドプルは、
左右のアームの相対位置関係を確実に調整するので、一方の抵抗が少し多くても真ん中に戻る。
引っ張り合い/押し合い方式のセンタリングを行う場合、一方のアームが所定位置に戻ったところにストッパーを設けるのが普通だ。
ストッパーがあれば、所定位置に戻った方のばね力がキャンセルされるので、もう一方のアームのばねは全力で仕事ができる。
残念ながら自転車のブレーキでこれをやろうとすると、タイヤを外すためのストッパー解除が必要になったり、ストッパーとブレーキレバーの遊び調整機構が必要になるので、そう簡単ではないだろう。
ちなみに、アーチワイヤーがある旧来のカンチレバー式であれば、チドリをセンタリングを工夫すればそう難しくないだろうと考えている。
話は長くなってしまったが、こうなった場合の対策。
ナイフでツノをカットする。
それだけ。
延々話を引っ張ったが、一番簡単な方法は、ケチケチせずにシューを交換する。
これに尽きるのは言うまでもない。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★☆☆(倹約家限定)