購入価格 ¥0(無料トライアル PC版・iPad版を試用)
https://rouvy.com/バーチャルサイクリングサービス。『ツール・ド・フランスやパリ・ルーベなど、世界各地1,500以上のコースの実写映像をパソコン・スマートフォンで映しながらバーチャルサイクリングができるソフトウェアです。「サイクルオプスバーチャルトレーニング」として好評を得ていたものが「Rouvy」と名前を変えてリリースされました。(シクロワイアードの記事
https://www.cyclowired.jp/news/node/251845 より引用)』
CycleOpsってトレーナーの製造販売を手がける会社で、ZWIFTでもソーシャルライドを頻繁に主催してたりしますよね? というか、PC版ZWIFTのスプラッシュスクリーンに出てくる画像で使ってるトレーナーってCycleOpsですよ。サービスとしては思いっきり競合してるハズなんですが、そこは清濁併せ呑む判断なのでしょうか。まあ、今の時代「競合とだって、組むべきところでは手を組む」ぐらいできないと、やってられないですよね!(とはいえ、現場はあちこちの調整で、大変な思いさせられるんですが…わかってんのか経営者!)
それはさておき、ROUVYの特徴的な点としては
(1)映像なし
(2)実写映像
(3)実写映像とCGの組み合わせ
という3通りの形式でサービスが提供されていることが、真っ先に挙げられます。特に「(3)実写映像とCGの組み合わせ」については、CG映像のみのZWIFT/Road Grand Tours。そして実写映像のみのFULGAZに対して、ハイブリッドでいいとこ取りをしようとする意欲的な開発意図を感じます。
---以下、チラシの裏---
日本語でのサービスが公式には提供されていないのと、お試しでライドしてみた第一印象だけでのレビューになってしまっていますので「こんなサービスあるよ!」という程度の内容であることを、お含みおきください。
-------------------------------------
(1)映像なし
-------------------------------------
地図が表示されて、自車アイコンが走行距離に合わせて移動。さらに斜度情報に合わせて負荷も変わる、というモードのようです。Google StreetViewを表示させて静止画を一定間隔で切り替える表示も可能らしいのですが、そちらは試せていません。アイディアとしては、まぁアリでしょう。たとえば日本国内のルートなど、他のサービスでは実装されるはずもないであろう場所をバーチャルライドできるのは、とても魅力的だと思います。とはいえ地図上を移動する自車アイコンを見ているだけで没入感を得るのは、普通に考えてさすがに激しく厳しいはず。ここは天下のGoogle様が、StreetViewを高精細360度動画に切り替えてくれるのを待ちたいところです。
▼この画面を見続けながらローラーを回して、自分は今この場所を走ってる!と思えるだけのたくましい想像力は、さすがに持っていません
-------------------------------------
(2)実写映像
-------------------------------------
セントラルパーク内を走るコースが映像付きで実装されていたので、試走してみました。実写映像ならではの圧倒的な情報量は、やはりCG映像との大きな差を感じます。ただ「リアリティと情報量が、バーチャルライド時の快適性や爽快感と比例するものではない」と、改めて思い知らされたのも正直なところです。
セントラルパークには、一度行ったことがあります。その時は早朝の時間帯でしたが(出張だったので自由時間ゼロ。自由の女神すら見にいけなかったんだよラスカル…)、とても静かで広々とした気持ちの良い場所という印象でした。
▼自分の中でのセントラルパーク
だがしかし!コース映像で見た昼間のセントラルパークは、もうグシャグシャ。まさにカオス。世界はDark!これ、どこの渋谷センター街ですか?という地獄の様相。延々行く手を阻み続ける子供とか、ノールック車線変更しそうな雰囲気プンプンの先行車両とか、バーチャルライドなのに、どうして実走みたいなストレス感じないといけないの!? そんな世界の不条理を感じずにはいられないシーンと、多数遭遇するハメになりました。
▼コース映像のセントラルパーク。バーチャルだとわかっていても、心の中で警戒警報が鳴り響く
また、映像が撮影時のリアル世界なのに対して、個人的に普段走っているセントラルパークはZWIFTの未来世界。なのでセントラルパークといえば、ZWIFTの民はそっちで刷り込みが完了されてしまっています(え?自分だけですか?)。スッキリ美しくて邪魔なものは何もない仮想空間から、グチャグチャカオスな現実世界への突然転移。未来世界で暮らしていたのに、祖母に時間魔法をかけられて60年の時を遡り、祖母の高校時代へ突然送り込まれてしまった主人公の戸惑いと絶望を大変よく理解できました。
▼いつも走ってるZWIFTのセントラルパーク。あ、たまたま獲れたグリーンジャージを自慢したくてこのキャプチャーにしたわけではありませんから!大事なことなのでもう一度書きますね。「グリーンジャージを獲った」ことを自慢したくてこのキャプチャーにしたわけではありません!
その他のコースもいくつか試走してみましたが、コースによって映像の品質に大きな差があります。これはどうも公式だけでなく、コミュニティ(=ユーザ?)も映像をアップしてコースを公開できる仕様になっているからのようですが、撮影機材や編集技術に成層圏と日本海溝ぐらいの差がある印象です。
精細感があって「これは…かなりいい線いってる!」と感じるコース映像がある反面、「俺の名前を言ってみろ~!」と叫びながら暴虐の限りを尽くしたくなるレベルのジャギジャギなコース映像も思いっきり混在していてこっちもケイオス。燃えよ混沌無敵です!また街中で撮影されたコース映像では、撮影時に信号で停車後に再スタートするようなケースで動画の繋ぎが不自然になるなど、実写映像を使うサービスならではの弱点はどうしても残ります。
▼この映像品質…俺の名前を言ってみろ~!!
▼これだけの精細感なら、いい感じでは?
-------------------------------------
(3)実写映像とCGの組み合わせ
-------------------------------------
実写映像に対して、CGのアバターのほかゲートや標識などがオーバーレイされて表示されます。背景のコース映像だけを実写にしたZWIFT、という感じです。CGのクオリティ的には「もうすこしがんばりましょう」と感じずにはいられませんが、目指すべきところはとてもよくわかります。
▼現実世界にCGオブジェクトが組み込まれる
▼前を走るライダーがどれだけ必至かを表示する謎機能。レースの時は面白いのかも
HD映像を事前にダウンロードして試しましたが、映像はジャギーが目立ちます。ちょっと粗すぎ。実写映像のみ版では良い感じに精細感のある映像が複数あったのに、どうしてそっち使わないんでしょう。
また、走り出してすぐに気になりまくってしまうのが、斜度を示す標識が地面から飛び上がって生えてくる謎の演出。映像のアラから目を逸らせる、という効果が確かにありますが、この表現はさすがに意味不明。さらに、かなりの頻度で出てくるので正直、実にウザイです。
▼すっぽーん!飛び出す標識
その辺りに目をつぶっても気になって仕方なかったのが「下り坂で気持ちよく下っているのに、なぜか突然スピードがガクッと落ちる」という現象。映像も速度表示に合わせてゆっくりになるので、処理落ちとかではなく映像と斜度データの同期が不十分なのではないか、という印象を受けました。
ただ、こうした一連のネガを差し置いても「すばらしい!君は英雄だ!大変な功績だ!」と開発陣を褒め称えたくなる、特筆すべき機能があります。それは「自車位置のアイコンを移動させると、コース上の好きな場所に移動できる」という機能。つまり「登りをすべてキャンセルして、延々と下りだけを走り続ける」という、バーチャルにしかできないハッピーでパラダイスでウェーイなライドができてしまうのです。これは、まさに全サイクリストの夢(ですよね?)を実現した!と言えるでしょう。
※iPad版はできました。PC版では試していません。
CGと実写を組み合わせた意欲的なサービス開発、走行可能なコースの多さ、そして走行箇所を自在に選べる…。実写映像の粗さは気になりますが、これからが非常に楽しみなサービスだと間違いなく言えると思います。それが毎月更新のプランで月額$8。執筆時点のレートでは約900円と、ZWIFTのおよそ2/3で使えてしまう。魅力は小さくありません。でも、だからといってZWIFTから即移行できるかと問われると、さすがにお断りの返事をせざるを得ません。先輩、ごめんなさい!
あ、あとコース映像は、ストリーミング/事前ダウンロードの選択が可能になっています。いずれにしても大容量の映像データを受信することになるので、モバイル回線での使用は現実的ではないでしょうね…。
価格評価→★★★★☆(ZWIFTのおよそ2/3!)
評 価→★★★☆☆(映像品質、演出、仕上がり等、もう少し頑張って欲しいです)