大変おもしろい記事を見つけたので、需要があるかどうかわかりませんが勝手に要約してみました。長くなりましたが、一読の価値有りです。
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出典:Velo News Tech FAQ
http://velonews.competitor.com/2013/05/bikes-and-tech/technical-faq/technical-faq-carbon-rims-vs-car-exhaust-short-vs-long-braking_286605質問:下り坂でカーボンホイールを使う時、①弱めにずっとブレーキング、②強く短くブレーキング、はどちらが良いのか?
・Zipp回答
短い下りやスポット的なブレーキングだと、絶対的性能の観点から見れば、両者に違いはない。ほとんどの下り坂、98%くらいのケースはこれに相当する。
ただし、極めて長い下り坂で「ずっとブレーキング」を掛け続けるのはまずい。社内実験では「150kgの大人が、20%の下り坂を、5~6分下った場合」リムの表面温度は700℃に達することが確認されている(現実にはこんなことは起こり得ない)。ブレーキを数秒離すだけで、リム表面温度が100℃くらい冷却される。こする程度の軽いブレーキングでもリム表面に熱は溜まり続ける。チューブの選択で言えば、カーボンクリンチャーではラテックス系チューブは使わないほうがよい。ラテックスチューブはブチルチューブより熱に弱い。
・DTスイス回答
強く短いブレーキングが良い。定量速度でブレーキングをした場合、速度や斜度に関係なく停止までのエネルギーは常に一定だが、ブレーキング時間の差でリム表面の温度上昇が変わってくる。
長い下り坂の場合、ライダーは下記点を気をつけるべき。タイヤ圧は気持ち低めに。リム表面温度が上がるにつれて、タイヤ内部の圧力は上昇する。条件次第では、圧力上昇は、タイヤメーカー指定最大圧力を超える場合すら有る。タイヤサイズが大きければ、空気圧を下げてもコーナリング性能に差は出ない。ラテックスチューブは使用すべきではない。
・HED回答
現実世界での最悪のブレーキングとは、極めて軽いタッチでブレーキを掛け続けること。これは瞬間的にハードなブレーキを掛けるよりよっぽどひどい。カーボンという素材は極めて優秀な断熱素材であるため、ブレーキングによる熱は内部に蓄積される。例えばアルミリムだとどんなブレーキングであれリム温度を250℃以上にすることは不可能だが、カーボンリムだと450℃まで上昇したケースを弊社は確認している。
次の問題は、タイヤとチューブの劣化を防ぐことである。弊社はタイヤとチューブの加硫は320℃位で行われているものと考えている(訳者注:「加硫」とは、生ゴム+炭素を組み合わせた素材に硫黄を高熱で注入・加圧させてことで、皆様がご存知の「タイヤ」に仕上げる工程のことです)。つまり、タイヤとチューブがこれ以上の熱に繰り返しさらされると、劣化が促進されるということである。もしあなたがリム表面を高温まで加熱させたと自覚があるならば、(クリンチャーの場合)最低でもチューブは取り換えるべきだ。あと、タイヤがべたついていないか=劣化していないかもチェックすべきだ。
・Reynolds回答
最悪のライディングとは、「リアブレーキのかけっぱなし」だ。弊社のCTgラミネートが開発される前は、カーボンリムの熱問題は、ほぼ常にリアホイールだった。フロントホイールでは熱問題はほとんど発生しなかった。現在では弊社のCTgラミネートが採用されたホイールでは熱問題はリアホイールであれほとんど発生していない。
質問の回答は、短いハードなブレーキングのほうが望ましい。長時間のブレーキングによる熱の蓄積を避けることができるから。
他の製造業者やマリオ・チッポリーニなどのプロライダーと話をしてみても、彼らには超軽量カーボンホイールですら熱問題は全く発生していない。ただし、これは一般マーケットでの熱問題の原因は、やはり長いブレーキングの掛け続けた結果である。
・ENVE回答
リムの熱蓄積は、ブレーキングの方法より、下りの平均速度に強い関係がある。下りの最中、コーナーのみをブレーキングして、あとはブレーキングなしの惰性で下った場合、下りの平均速度は上がる。速い平均速度のほうが、リムの熱蓄積は下記の理由で低い。
-高速時のほうが低速時より、エアロダイナミクスの観点からも冷却効率が良い。
-リム表面の対流・乱流は高速のほうが起きやすい。
同じ速度で下り、ブレーキング方法の違いのみでリム表面温度に差異が出るのは下記の場合:
-ブレーキを掛け続けると、パッド表面は徐々に光沢を帯びてくる。一旦光沢の出たパッドは、ブレーキの際も光沢がなくなることはない。パッド表面を適度に削ることは、ブレーキング性能に絶大な効果を生み出し、リム・ブレーキの熱問題を上手くコントロールすることが出来る。光沢の出たパッドは、光沢のないパッドより極めて高熱になる。
一定速度・パワーで行われた弊社内テストでは、リム温度問題はライディングの方法が最も重要な要因であることを明らかにした。
リム内部の温度上昇については;
-アルミリムの内部のほうが、カーボンリムの内部より熱くなる。
-ラテックスチューブはブチルより熱に弱い。長いブレーキングを行った場合、タイヤトリムの境目や、リムの端部はラテックスチューブの急激な収縮を引き起こすことが有る。これはアルミリム・カーボンリムの両方で見られる現象。ラテックスチューブは長い下りのない場合は大変良く使えるかも知れないが、弊社はラテックスチューブがあらゆる状況で安全とは言い切れないので、ラテックスチューブは推奨しない。
・Mavic回答
熱量はどちらの場合も変わらない。
ただし、短くハードなブレーキングだと熱が長くリムにとどまることはない。逆に長く弱いブレーキングは熱をリムに蓄積させ、リム表面・パッド・チューブ・リム内部の液体に問題を引き起こす。
・Campagnolo回答
長いブレーキングはより多くの摩擦熱を生み出す。取り付け不良でリムに接触しているブレーキパッドですら熱のビルドアップを引き起こす。長い下りでは、ブレーキのかけっぱなし/弱いブレーキングのほうが、短いブレーキングより熱のビルドアップを引き起こす。
・Shimano回答
絶え間ないブレーキングの掛け続けは、より多くの熱ビルドアップを引き起こす。短くはより多くのブレーキングは、パッドがリムに触れていない間に冷却を引き起こすので、熱のビルドアップは低い。
・Dash Cycle回答
坂道でスローダウンする場合は、弊社は常に長いブレーキングに反対している。これはリムとパッドの品質にも寄るが、短く、より強いブレーキングのほうが熱のビルドアップは低い。
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ヒルクライムの帰り途でリムをダメにしたことがある人も多いと思います。上記を読んで、正しいブレーキングを身につけましょう。
価 格→★★★★★(←ダメにしたカーボンリムはプライスレス)
評 価→★★★★★(←各メーカーの見解を知ることが出来る貴重な記事)