勝負はここからKinGi 2013-11-3 21:10 2505 hits KinGiさんのすべての写真 フォトギャラリーTOP 埼玉在住自転車乗りの憩いの場、白石峠。 その終盤1km地点に小さく設置された看板がある。 何の由来か、何の因果か、その名も「勝負平橋」。 全長6.3km、獲得標高約535m、平均斜度8.5%、数字を見るだけでも攣りそうになるほどの激坂である白石峠は、特に前半が厳しいことで知られている。 ゆるい直線と12%を超えるハイカーブが矢継ぎ早に現れ、高配差により脚の疲労は確実に蓄積していく。 2kmも過ぎると牛歩の歩みとなり、ありもしないもう一枚のアウターを求めてシフターを空振りしながら登ることになる。 この時点で既に脚は売り切れだ。 行程も半分も過ぎると多少はゆるくなり、大きな高配差もなくなるため、疲れ切った身体をいたわりつつ、ゆっくり登ることができる。 下がっていく心拍値と同時に、気分も落ち着いてくるのがわかる。 無理しなくても大丈夫、ここまで頑張ったから十分、脚をつかなかったからいいじゃないか、登り切っただけでも上出来だ・・・。 だがラスト1km、カーブの先にこの看板、”勝負”の文字が、半時間前の自分を思い出させる。 白石峠の看板の前で意気込んでいたはずだ。 今日こそは最速タイムを更新する、過去の自分との勝負だ、と。 確かに今のペースでは最速タイムは更新できない。 ”過去”との勝負は”現在”の負けだ。 だが今は無理でも、”未来”なら、”過去”を超えられるかもしれない。 そのためには今ここであきらめてはいけない。 勝負は、まだ終わってない。 ここからは”半時間前の意気込み”との勝負だ。 プライドがリアディレーラーを動かし、意地がペダルを踏み抜いた。 |