ティーブレイクSnail_Q 2013-2-10 22:11 3977 hits Snail_Qさんのすべての写真 フォトギャラリーTOP 上って下りて、また上り。 信号機が目の前でことごとく青になり、ネズミの心臓が悲鳴を上げる中、決して長くはないものの3つ連続で峠を越えて最後の坂を下る。見覚えのある、大きなケヤキの木が姿を現した。今年の4月、自転車仲間と走った際は青々と葉が茂っていたが、今は立派な幹と大枝が残り、来たる春に向けて英気を養っている。 大阪府豊能郡能勢町。樹齢千年の巨木「野間の大けやき」の手前にあるベンチで、自販機の紅茶を飲むのが好きだ。普段は珈琲派なのだが、なぜかここでは紅茶が欲しくなる。 訪れる人の憩いの場であるこの木の下でくつろいでいると、写真を撮る人や、他のサイクリストと出会い、しばし駄弁ることもあった。 自転車を始めてすぐ、坂で無茶をして両膝を痛めた。スクワットで脚の筋肉を付け、ビンディングペダルを調達し、完治するまでに半年以上を要した。今でも、走る時だけサポーターを装着するのが習慣になっている。 その際、リハビリと称して走り始めたこのコースも、今やすっかりホームコースだ。 真新しいカーボンソールを痛めないようにクリートカバーを嵌め、まだ霜が残るベンチでミルクティーを喉へと流し込むと、体の冷えが幾分か和らぐ。甘さとカフェインのせいだろうか、気力も沸いてくる。 そろそろ次の目的地へ向かうとしよう。すっかり冷えきった缶をゴミ箱に放り、次いでクリートカバーをバックポケットへと強引に突っ込んだ。 クリートの 音響かせて 別れ告ぐ 大けやき背に アウター入れる 所詮乗れても週1回、坂もスイスイ走れる筈がない。それでも僕にとって、たかだか120円の甘ったるい紅茶の為に時折ここまで来るのは、たまの週末における至福の楽しみの一つなのだ。 |