LASIK
------ (お約束) 以下は私の個人的感想であり、公平性、客観性とは無縁であることをまずご了承ください。LASIKに興味のある方は、専門医療機関にご相談されるようお願いいたします。 あと、長いです。すいません。 ------ 購入価格 ¥26万
もともとド近眼で、風呂に入る時もメガネが必要なほどだった。眼前10センチくらいまでしかピントが合わず、メガネを外すと本も読めない。
メガネは体の一部のようになっており、日常生活では困らなかったのだが、スポーツ時には困るのである。コンタクトレンズをすればメガネの問題点は解決するのだが、コンタクトレンズは体質的に合わない。2時間もすれば目がコロコロしてたまらなくなる。
というわけでLASIKにはずっと興味があった。いや、興味津々だった。だが高い。そして怖い。 踏ん切りがつかないまま10年の月日が流れた。私の近眼は良くならない。あたりまえだ。だが、LASIKは少し変わってきた。
LASIKとは、大雑把に言ってしまえば目の表面(角膜)にエキシマレーザーというレーザーを用いてコンタクトレンズを彫りこんでしまうというものである。自前の目を材料にするわけだから、人工物であるコンタクトレンズを装用したときのような違和感や取り扱いの煩雑さとは無縁となる。一方で、目の性能自体が上がるわけではないので、メガネやコンタクトレンズで見える以上にはならないし、老眼などが治るわけでもない。また、目の表面を彫りこむので、表面の厚みが足りなければLASIKはできない。そしてLASIK後の見え方は、エキシマレーザーの照射プログラムの出来と照射自体の精度で決まる。
この10年でLASIKには大きく分けて二つの変化があった。まずは低価格化。10年前は両眼で50万程度していたが、今では両眼で10万円を切るプランもあるようだ。自分の目の事なのであまりに安いプランは不安だが、高いプランでも30万円程度である。必死で頑張れば払えない額ではない。
次に技術的な進歩。照射プログラムと照射精度の面で進歩があった。照射プログラムについては、いろいろな面で進化があったようだが、老眼治療などの特殊分野を除けば、目の表面(角膜)を削る量の低減によりLASIKを受けられる人が増えたことと、派面収差解析装置(Wavefront analyzer)や角膜形状解析装置(Corneal topographer)とのリンクにより、より精度の高い照射が出来るようになった事が大きいと思う。個人的には、より良く見えるに越したことはないが裸眼で0.7くらいみえれば御の字なので、そこまで気にはならない。そもそも裸眼で2.0以上とか期待していないのである。そんなに見えたら疲れて気分が悪くなるし、老眼になったときに近くが見えなくて困る。軽い近眼が残るくらいが一番嬉しい。
照射精度については、高速化とアイトラッキング機能の実装、進化が挙げられる。個人的にはこれが一番の関心事だった。エキシマレーザー照射中はまっすぐ前を見て、目を動かしてはならない。目を動かすと偏心照射といって、変な削れ方になってしまう。これになると、メガネをかけてもちゃんと見えなくなってしまうのである。 近眼が多少残るとか、削りすぎて遠視になってしまうのは別にいい。メガネをかければ見えるし、今の裸眼よりは見えるようになるのだから。だが、偏心照射は嫌だ。レーザー照射中にまっすぐ前さえ見ていれば大丈夫なのだが、目を動かしてしまう自信がある。なんせ小学校のときから、通信簿には「落ち着きがありません」と書かれていたのだ。
高速化はレーザー照射時間自体が短くなるので、目を動かす危険性自体が減る。3分間まっすぐ見るのは無理でも、30秒なら頑張れるかもしれない。 アイトラッキングは、目を動かしてしまってもレーザーが追っかけてくれる装置である。これがあれば、目が動いても(理論上は)大丈夫である。アイトラッキング不能領域まで目が動けばレーザー照射を止めてくれる装置もセットになっているようだ。ただ、目の形の都合上、アイトラッキングが正常に作動しても目を動かさなかった場合に比べれば照射ムラは多少出てしまうようである。
時間がたてばたつほど技術は進歩するので、今受けるより10年後のほうがいいかもしれない。だが、それを言っていたらいつになっても受けられない。現時点でLASIKの新しいトピックは老眼治療などに向いているようであり、一般的な近眼治療に対してはそれなりに成熟していると判断し、LASIKを受けることを決意した。
後はどこで受けるかである。正直、アフターフォローを考えれば近くにLASIKしている眼科があればそこで受けるのが一番いいと思う。だが、地方都市の悲しさ、LASIKしている眼科が近くになかった。大都市まで行く事になる。どこの眼科でどの機械で受けようか。
LASIK用の機械で、現在日本で使われているものはいくつか種類がある。LASIKをする際のフラップを作成するマイクロケラトームもしくはフェムトセカンドレーザーは、調べた限りではどれでもよさそうである。フェムトセカンドレーザーのほうが優れているようにも見えるが、最近のマイクロケラトームであればフラップの厚みもフェムトセカンドレーザー並みに薄く均一に作成できている。未熟な術者が扱うとマイクロケラトームはトラブルが増える一方で、フェムトセカンドレーザーは誰がやってもトラブルが少ないという違いはあるようだ。また、目が規格外に大きいとか小さい場合はフェムトセカンドレーザーが良さそうである。
ReLEXというフェムトセカンドレーザーだけでLASIKを行う方法も最近出てきており、これはレーザー中に目を吸い付けて固定してしまうため、原理的には目が動かない。気になったし、しばらくしたらこの方式が主流になるのかもしれないが、まだ出たばかりなので今回は見送った。
エキシマレーザーは、どの眼科も「自院の機械が最高」と書いてある。LASIK大手の中ではえらく詳しい某眼科の説明は当然読んだが、他に可能な限りの本を見た。大手書店で眼科コーナーの教科書も読んでみたし、各レーザーがFDA(米国食料医薬品局)に届け出た英文資料も読んだ。某眼科は嘘は書いてないが、比較している機械が古い。1世代前の機種と比較している。だがそういうことは抜いても、某眼科が使っている機械は良い機械である。結論から言えば、現行機種はどれも大差ないのではないか。機械の特性を熟知している医者にやってもらうことのほうが重要そうだ。エキシマレーザー照射時に瞳孔中心からずれて変な見え方になったという話も聞くが、最近の検査機器によっては角膜の屈折の中心部と瞳孔の中心部などを記録してガイドするような機種もある模様。結局目の前の医者を信頼して覚悟を決めて後悔しないのが一番だという、ありきたりな結論となった。
結局、うちから最寄の大都市、大阪の病院で受けることにした。まず術前検査。ド近眼だが、角膜の厚みが平均よりかなり分厚い650μmあるとのことで、問題なくLASIK可能という結果になった。色々プランがあるのだが、目のことなので一番高いプランでお願いした。両眼で26万円。派面収差解析で高次収差がほとんどなかったので、高いの頼んでも安いのと同じじゃないかと一瞬思うが、ここはケチるところではない。角膜厚に余裕があるのでOZを大きくしてくれとはお願いした。OZは夜間視力に関係し、大きいほど良いが角膜を削る量も増える。
仕事の都合で2ヵ月後に手術。高いプランなのでフェムトセカンドレーザーでフラップを起こす。右目に何かつけられ、目が押されて真っ暗になり、音がして終了。左目は何かつけられたときに目をつぶってしまい、何かがはずれた。一度つぶると癖になり、うまく目が開かず、最終的には金具で目を強制的に開かれて左目も終了。すでに前途多難である。
しばらく待ってから、今度はついにエキシマレーザー。目の前に明かりがあって、それをじっと見ているように言われ、レーザー照射開始。頑張って明かりを見るのだが、10秒もしないうちに目が動く。まばたきをしたいのであるが、金具で目を開いているのでまばたきできない。結果、目が上に動く。必死で目を戻して照射継続。30秒程度だったのだが、アイトラッキング機能大活躍であった。当たり前だが、本人は必死で前を見ているつもりである。
続いて左目。右目の教訓があるのでまばたきしないように必死で頑張り、、明かり自体が視界から消えた。軽いパニックになると同時に機械からピーという音がして、Drが「目の前の明かりを見てください」と言うのだが明かりが無い。「明かりが無い」というとDrが「わかりました、じゃあこちらで追いかけます」と言い、顔を支えられて機械も動いて、明かり発見。どうも、目が動くどころか顔自体が動いていたようである。全くダメである。ピーと言うのはアイトラッキング不能の報告音だった様子。 こちらも30秒ほどで照射終了。30秒なら耐えられるかも、と思っていたが何のことは無い、5秒も持たなかった。アイトラッキング機能があって本当に良かった。
術直後、全体的に霧の中にいるような感じだが、すでに見える。あきらかに見える。目が動いたのでもうダメかとブルーになっていたのだが、少なくとも致命的な状態にはなっていない。視力検査で裸眼で1.0(手術前は両眼とも裸眼で0.01)でて、本日は帰宅。ピントは合っているが、全体的に白くぼやけている感じ。
術翌日、かなり見える。霧は無くなった。時間によって右がボケたり左がボケたりする。特に左がボケる感じ。顔ごと動かしたからだろうか。左右で色が違って見える気もする。あと、立体感が減った感じがする。目を動かしまくったのは良くわかっているので、せめてもと目薬はきっちり時間通りに差した。あと、夜は明かりの周りに輪っかがみえる。これがハロというやつか?
術一週間後 安定してきたが、まだ時間によってはっきり見えたりボケたり。ハロは減ってきた。近くのかかりつけ眼科でLASIK中に目が動いたのが心配だというと、波面収差解析と角膜形状解析をしてくれた。LASIKについても相談していた眼科で、ここでLASIKしていたらここで受けたのだが。解析結果は、角膜形状解析で問題なし。この時点で酷い偏心照射にはなっていないという事である。波面収差解析ではLASIK前に比べ高次収差の増大が認められた。これは徐々に良くなることが多いから様子を見ようといわれ終了。フラップを起こすだけで高次収差は増えるので、致し方ない。
術1ヵ月後 ボケが無くなって、見え方が安定してきた。ハロも無くなった。立体感も戻り、色の違いも気にならなくなった。色の違いはもしかしたら前からあったのかもしれない。目は乾く。
術3ヵ月後 気になることが無くなった。目も乾かない。3ヶ月前までメガネをしていたのが嘘のようだ。人間は良いことにはすぐ慣れるというのを実感した。もっと早く受ければよかった。かかりつけ眼科で検査してもらい、高次収差の減少を認めた(少ないほど良い)。屈折は左右とも-0.5D。裸眼視力左右とも1.5。極めて快適。今のところ、近眼の戻りもきていない。目薬をしっかりさしたのが良かったのだろうか。
LASIKは近眼を軽く出来るが、1.0以上の視力を維持できる確率は90~95%程度。日本人はとかく100%で絶対安全を求めがちだが、そうでない事をきちんと理解できるのであればよいと思う。
価格評価→★★★★★ ケチるところではないと思う 評 価→★★★★★ もっと早く受ければよかった 重量 削った角膜の分、軽くなったはずだ
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