購入価格 ¥18000くらいだったと・・・@ビックカメラ
馬鹿野郎!!
調光レンズが永久クリアレンズになったくらいでうろたえやがって・・・
お前らはレンズカラーに込められた開発者の思いを知っているのか!?
明るい色のレンズには、お前らが思いもつかない理由とこだわりがあるんだよ!
どうやら俺が酸っぱいコーヒーを飲んで悟りを開いたときの事を書くときがきたようだな・・・
あれはまだ俺が「コーヒー利きの牛(ギュウ)」の通り名で呼ばれていた頃。
いっぱしのコーヒー通を気取っていた俺の気性は炒る前の生豆の如く青かった。
俺の日課は、自転車に乗って景色のいい海岸線や山道を走っては、いい感じの喫茶店に通うことだった。
そんなある日、母に「車で買い物に連れていってくれない?」と頼まれた。
でも俺はちょうど走りに出かけるところだったから
「そんなの自転車ででも行っときなよ」
と言い捨て新たな喫茶店を求めて愛車のCAAD8にまたがると家を飛び出した。
あるところでいい感じの雰囲気の喫茶店を発見し、早速中に入った。
カウンター席が6席ほど、あとは2人掛けのテーブル席が2つあるだけのごく小さな店に髭面の熊のようなマスターが印象的だった。
その肩はまるで岩石のようにグラマラスなボリュームを有しており、またそこから伸びる二の腕は象の足のようにガッチリ感がある。
それでいて髭に覆われた眼の光は鋭く、俺はドアを開けたものの入るのを躊躇しそうになったが、
コーヒー道を極めるためにはここは逃げるわけにはいかないと思い、
あえてマスターの正面のカウンターにドカッと座ると「ブルーマウンテン」と注文した。
と、俺は今日のサングラスのレンズカラーのチョイスを軽く後悔した。
今日のレンズはピンク。
スペアレンズとしてグレーが付属しており、そっちはやや暗めのカラーである。
今日は走るコースを事前に決めていなかったので、木陰になる山間部や暗いトンネルなどを見越した薄いレンズカラーをつけていた。
相手からは度の入ったインナーレンズと目がはっきりと見える。
母は「目の表情が読めるから安心する」というがそれはレースを走るのにはマイナスになるし、
交差点進入時は俺の優しげな眼の表情がなめられてしまうのか、無理に右折をかぶせられる率が上がっているような気がする。
何より外見がこんなになってしまうのが頂けない。
これでは俺の内心の動揺を悟られてしまう―――
俺は知らないうちに心理的に後れを取ってしまっていたのだ。
俺はあわててバックポケットからグレーのスペアレンズを取り出すと、レンズを交換した。
マスターはそんな俺を一瞥すると、豆を挽いてネルをセットし、コーヒーにお湯を注ぎ始めた。
あたりに広がる芳醇な香りに、期待出来るぞと思い黙って待っていると程なくなかなかこだわりがありそうないい感じのカップに注がれたコーヒーとミルクが出てきた。
度入りサングラスゆえ視界の狭まった俺には、テーブルのわきに置かれた砂糖のつぼにも気がつくことはなかった。
俺は通ぶって
「ガハハハハハ!マスター!俺が砂糖やミルクを入れて飲むほどお子ちゃまに見えるのかい?」と言い、そのままブラックで一口すすった。
するとどうだろう。ブルマンの芳醇な香りと苦みと上品に広がる酸味を期待していた俺の口の中には、ただひたすら酸っぱく渋いだけのとても飲めた物ではない液体が入ってきた。
「ブハッ!すっぺー!なんだよこれ!!マスター、こんなんじゃ客こないぜ!。もうちょっとコーヒーの勉強した方が・・・」と、言い終わらないうちに目の前に象の足のような腕が迫ってきた。
ゴガァァァン!!!
気が付くと俺は数メートル離れた壁にめり込んでいた。
マスターの熊の一撃にやられたようだった。
なぜだ?俺はそこまで癇に障るようなことを言ってしまったのだろうか?
痛みと混乱で身動きが取れずにいた俺にマスターが近付いてきた。
人生の酸いも甘いも知り尽くしているようなマスターの眼光に射すくめられ、俺は目を反らすことさえできなかった。
俺はさらなる追撃を覚悟した。
するとマスターが語り出した。
「馬鹿野郎!うちのコーヒーが酸っぱいのにはちゃんと理由があるんだよ!!
酸っぱいと言うことは酸性だということだ。
理科でリトマス紙の反応を覚える時にこう教わらなかったか?
青を赤に変えるのは酸性であることから『おかあさん』と」
そうなのだ。マスターは酸味のあるコーヒーを客に飲んでもらっておかあさん、つまり母親の事を想い出してもらいたいと思っていたのだ。
それは同時にお母さんが歩んできた人生のほろ苦さを感じることにも通じるのだ―――
豆が浅煎りなのもそんなこだわりからきているのだろう。
「砂糖とミルクがあるのにキミは使わなかっただろう?
ここからは想像だが、それはキミの普段の性格をあらわしている。
通ぶったり、濃いめのレンズカラーのサングラスで外界と壁を作ることで、プライドを保とうとしているのではないかい。
しかしうちみたいに渋みのあるコーヒーにはミルクがよく合うんだ。
酸っぱくてもミルクを入れることによりコクが増しおいしく飲めるようになる。
ミルク、それはつまり母親の味なんだよ。
そこに砂糖を入れることによってさらに美味しく飲めるようになるんだ。
つっぱりや虚勢を捨てて素直になることで、身近な温かさに気付くことができるようになる。
そう、コーヒーとは甘酸っぱい青春そのものなのさ。」
そう言うマスターの目にはうっすらと涙がうかんでいた。
俺はすぐにさっきのコーヒーにミルクと砂糖を入れて飲み干すと代金を払い、追い風に乗って家に戻り、母を買い物に連れて行った。
もちろんレンズカラーは表情の見えるピンクに戻して。
お一人様2パックまでというたまごも4パック買うことができ母も喜んでいた。
レジの姉ちゃんがこんな顔
の俺を二度見したのも気にならなかった。
マスターが気付かせてくれなければ危うく親孝行出来ないところだったわけだ。
大切なものを思い出させてくれたマスターには今も感謝している。
【要点をまとめます】
私にとって初のスポーツ用サングラス。
裸眼では視力0.1を切る私にとって、度付きサングラスは必需品。
ビックカメラのめがねコーナーで購入。
たまたまそのときにいた店員さんも自転車乗りで、
スポーツ、特に自転車用途に適したサングラス選びについてアドバイスをもらえた。
「ヒルクライム好きなら、蒸れにくさも考慮したほうがいいですよ」
とのことで、このフレームになった。
確かに、レンズが曇った記憶がない。
インナーフレーム付きにしては軽量。
私の顔の形に合っており、走行中にずり落ちてくることもない。
また、フレームのおでこに沿うラインが私のおでこに合っており、
上目遣いになっても光が入ってこないのがよい。
ピンクレンズは光透過率が高く、暗いトンネルの中でも視界を確保しやすい。
スペアレンズとして付属するグレーレンズもそこまで暗いものではないが、
ピンクと比較すると若干暗めである。
見た目はグレーの方が好み。
しかし視界の良さで、私はほぼいつもピンクを装着している。
購入後5年が経過したが、関節部分がちょっと汚れてきた程度で
フレームのゆがみ、ネジのゆるみ、レンズのへたりなどなく
充分な耐久性を有しているといえる。
価格評価→★★★★★(度付きサングラスとしては安い)
評 価→★★★★☆(私の顔の形にも合った。外見だけが残念・・・)
<オプション>
年 式→2006
カタログ重量→実測重量38g