購入価格 ¥13440
馬鹿野郎!
どいつもこいつも、「自転車専用品は高くて・・・」とか「ユニクロで代用できる」とかけちくさいことばかり言いやがって・・・
大人の趣味なんだろう?それなのに、いいものに相応の対価を払うのを惜しむとは自転車乗りの風上にも置けぬわ!!
とはいえ、俺も自転車ウェアの高級さに腰が引けてしまい、「発熱するアンダーだって!それで980円なんて安くね?」なんて思ってた時期がありました。
どうやらこれは、俺の体験談を語って納得してもらうしかなさそうだな・・・
あれは2年前の年末のことだった。
本格的にクライマーとしてのトレーニングを始めた俺は、「県道チェーン規制」の看板が出ても走る道さえ凍結していなければいつもの峠に通いつめる日々を送っていた。
「ガハハハハハ!こんなこともあろうかと、ヒートテックタイツ着てきたぜ!買い物上手な俺SUGeeee!!自転車専用品なんて無駄に高いだけだぜ!!」
上りはよかった。
しかし、上りきるころには、かいた汗が大量にインナーの内側にたまり、ピチャピチャと不快に肌にまとわりつくようになっていた。
そうなってくると、上りはいいのだが、下りが・・・冷えるのである。
上りでかいた汗が5分後には「凍ってるんじゃないか!?」と思うほどの冷たさで肌を刺し、
下りきるころには唇は真っ青になり、歯の根が合わなくなっているというありさまであった。
自転車の神の声が聞こえたような気がした。
馬鹿野郎!
暖かさと汗冷えを防ぐこと、この二つの相反する性能を両立するために技術があるんじゃよ!
いいものに相応の対価を払うのを惜しんだ罰じゃ!!
「どうやらヒートテックタイツでは限界のようだな・・・」
朦朧とする意識の中で襲ってくる睡魔と必死で闘っていると、幼少のころのおじいちゃんとの思い出がよみがえってきた。
「じいじー」
「つよしー」
「じいじー」
「つよしー」
「じいじー、クリスマスセールとお正月セールは、どっちがお買い得なの?」
「つよし、『欲しい時が買い時』じゃよ」
そうなのだ。
覚醒した俺はその足で行きつけのショップに向かった。
そこではパールイズミのウインドブレークタイツの取り扱いがあった。
裏はフリース地で表面はウインドブレーク素材。
これは見るからに暖かそうだ。
サイズ表を見ると
M・・・身長160~168、ウエスト74~82、股下
L・・・身長167~174、ウエスト78~86、股下
とある。俺は身長170cm、体重59kg、チェスト91cm、ウエスト73cm
ちなみに太腿の周長は膝上のポコッとなっているところで41cm、一番太いところで51cm。
身長(股下)で合わせるとウエストが余る。
ウエストで合わせると身長(股下)が足りない・・・
試着してみたところ、Lだとあからさまにウエストまわりがゆるゆる。
これだとペダリングするごとにカパカパと動いて不快であるばかりでなく、股ズレを起こしかねない。
Mだと、ちょっと足首部分が短いな・・・と思ったが許容範囲だったのでMにした。
ちなみに店長さんいわく、パールイズミの「MかLか」のサイズ問題はよく尋ねられるそうだ。
平均的日本人体型ってことね・・・
値段は13440円。当時の俺にとっては法外に高いという感覚があり、
「どうやら一生ものの買い物をしてしまったようだな・・・末永く大切に着よう」
と誓ったものである。
「ガハハハハハ!これでどんな寒さも怖くはないぜ!」
翌週、いつもの峠へ向かう県道を意気揚々と走る俺の姿があった。
おっと、ふもとの農協でコーヒーでも飲んでいくか・・・
その時であった。
自動販売機の横のごみ箱の陰から、一匹の猫が俺に向かってトコトコと歩いてきた。
猫はなぜか俺の前輪に真横から体当たりし
ふじこ
俺は横向きに半回転して地面にたたきつけられた。
停まるつもりでいたのでスピードは出ていなかったのだが、ロードバイクの車高から地面に落下したとというだけで痛い。
ウグゥゥゥゥ・・・
うめいている俺をじっと見つめたあと、「にゃあ」とひと鳴きして、猫は立ち去って行った。
気がつくと、太腿の外側と膝の部分が破れて、血が出ている。
俺は先週したばかりの誓いを胸に、ひとり涙した。
一生ものどころか着用初日で、しかも峠で勝負すらしていないのにダメにしてしまうとは・・・
完全に戦意を喪失した俺は、峠アタックをすることもなく、そのままとぼとぼと帰宅の途に就いた。
この期に及んで俺は往生際が悪かった。
家に帰ると裁縫セットを取り出し、修復を試みたのだ。
まずは、ふともも部分の最も大きな傷。
これを、内側から引っ張って、穴をふさいだ状態でつなぎ合わせていく。
一番破れが大きい部分を完全につなぐと、周囲にしわがよってしまうので、ほどほどにすることにした。
同じ要領で、膝まわりの小キズをふさいでいく。
見た目はみすぼらしくなってしまったが、どうやら穴はふさげたようだな・・・
その後200912月~2011年12月まで、冬のみ(当たり前だ)の使用で、今のところヘタリなし。
内股が擦り切れたりもしない。
内股ペダリングの私でも大丈夫なので、ここは非常に丈夫と言えよう。
穴をふさいだところも意外とスースーすることもなく、何の違和感もなく使えている。
気温3度程度の下り(道端は積雪。これ以上寒くなるとウェアどうこうでなく凍結で通行不可になる)の状況でも保温不足を感じることはない。
より暖かく、という場合は、下にヒートテックタイツでも重ねるなり、上にレッグウォーマーを重ねるなり、ご自由に。
価格評価→★★★☆☆
評 価→★★★★★(充分な暖かさ。耐久性も◎)
<オプション>
年 式→2009